2024.02.17
インプラントの術後感染とは?症状や原因、対処法、予防策について解説
インプラント手術は受けたら終わりではありません。むしろ、術後にケアを怠ると手術した箇所の周辺が細菌に感染してしまう恐れがあります。
そこで今回はインプラントの術後感染をテーマに発生する症状や原因、対処法、予防策を解説します。感染の疑いがある方や感染を防ぎたい方は最後までチェックしてください。
インプラントの術後感染とは?
術後感染とは、文字通り手術後にインプラント周辺部分が細菌に感染することをいいます。感染した場合に発生する症状は次の通りです。
- インプラント周囲粘膜炎
- インプラント周囲炎
インプラント周囲粘膜炎
インプラント周囲粘膜炎とは、インプラントが埋め込まれた場所の周辺の粘膜が炎症を起こすことを指します。言い換えれば、インプラントのまわりが痛んでしまう状態です。
この状態が悪化した場合、次の症状が発生します。
インプラント周囲炎
インプラント周囲炎とは、インプラント周りの組織が歯周病菌に感染して炎症を起こす病気です。
症状が進行した場合、あごの骨や歯茎などが破壊される恐れがあり、インプラントと歯茎の間の溝が深くなり歯垢が貯まりやすくなる他、あごの骨量が減少してインプラントがぐらつく、膿が出るといった症状が発生します。
最悪の場合、インプラントが抜け落ちることもある危険な状態です。
インプラント周囲炎は進行スピードが早いという特徴があります。気付いたときには重症化していることもあり、注意が必要です。
術後感染が起こる6つの原因
術後感染が起こる原因は次の通りです。
- 口腔内のケアが不足している
- 歯科医院の感染対策が不足している
- 患者の抵抗力が低下している
- 煙草を吸っている
- 糖尿病や貧血の持病がある
- 手術前に歯周病にかかっている
口腔内のケアが不足している
口腔ケアが不十分な場合、細菌が繁殖しやすくなり、術後感染を起こすリスクが高まります。歯磨きが不十分なケースや、雑菌が繁殖した歯ブラシを使用しているケースでは、感染が発生しやすいでしょう。
歯科医院の感染対策が不足している
歯科医院の感染対策が不足している場合も、術後感染が起こりやすいといえます。
インプラント手術を個室で行わない、必要な機材が揃っていない、といった歯科医院は感染リスクが高いため、利用を避けた方がいいでしょう。
患者の抵抗力が低下している
患者の抵抗力が弱い低下している場合も、感染を起こす可能性があります。
インプラントの術後の経過は、患者の体の状態が大きく影響します。
また、患者の中にはもともと炎症を起こしやすい、過去に受けた美容整形が影響して感染を起こす、といったケースもあるため事前に相談した方がいいでしょう。
煙草を吸っている
煙草に含まれるニコチンや一酸化炭素は血液の流れを抑制する作用があり、必要な酸素や栄養が届かなくなるケースがあります。
また、喫煙により抵抗力が低下するため、インプラント周囲炎が発生するリスクが増加するため注意が必要です。
糖尿病や貧血の持病がある
糖尿病の持病があると、免疫力や治癒力が弱くなり、感染リスクが高くなります。また貧血になりやすい場合、歯茎に酸素が届きにくいため、抵抗力が低下し感染しやすくなります。
持病がある場合も、事前に歯科医師に相談しましょう。
手術前に歯周病にかかっている
インプラントの手術前に歯周病にかかっていると、術後感染を起こしやすくなります。感染が起きないように、術前に必ず完治させることが重要です。
術後感染が起きたときの対処法
術後感染が起きてしまった場合の対処法は以下の通りです。
- すぐに歯科医院に診察してもらう
- 刺激のある食べ物を避ける
すぐに歯科医院に診察してもらう
術後感染の疑いがある場合は、すぐに歯科医院の診察を受けましょう。早期発見と適切な治療が感染の進行を防ぐためです。
手術部位が腫れたり、痛みを感じたりした場合、感染の兆候である可能性があります。自己判断するのではなく、迅速に歯科医院に連絡して診察を受けることをおすすめします。
早めの対応が、健康な口腔状態の維持に繋がります。
刺激のある食べ物を避ける
術後感染が疑われる場合は、刺激の強い食べ物を取らないようにしましょう。炎症を悪化させ、回復を妨げる可能性があるからです。特に辛いものや酸っぱいものなどは手術部位に刺激を与え、痛みや腫れを引き起こす恐れがあります。
医師の指示に従い、柔らかくて刺激のない食事を心がけましょう。
術後感染を起こさないための予防策
術後感染を起こさないようにするためには、以下の予防策を意識しましょう。
- 口腔ケアで清潔にする
- 処方された薬を飲む
- 衛生管理意識の高い歯科医院に通う
- 歯科医師の指示やアドバイスを守る
- 禁酒禁煙する
口腔ケアで清潔にする
術後感染を防ぐために、口腔ケアを徹底しましょう。細菌の感染を防ぐためには、口の中を清潔な状態で維持することが重要だからです。
毎食後の丁寧な歯磨きはもちろんですが、傷口を刺激しないよういたわることも大切です。口内を清潔に保てば感染のリスクを最小限に抑えられます。手術部位の回復のためにも、ケアを欠かさず行いましょう。
処方された薬を飲む
術後感染を防ぐために、処方された薬は使い切ることが重要です。処方薬は手術後の感染防止や炎症の抑制、痛みの緩和の役割も果たすためです。
例えば、術後に処方される抗生物質は、手術部位周辺の細菌の繁殖を防いでくれます。指示通りに抗生物質を使い切れば、術後感染リスクを抑え、スムーズな回復を期待できます。
インプラント手術を成功させるためにも、薬の使用を怠らないようにしましょう。
衛生管理意識の高い歯科医院に通う
感染リスクを抑えるために、衛生管理意識の高い歯科医院を選びましょう。衛生基準が高い歯科医院では、手術器具や設備が適切に清潔に保たれており、感染症のリスクを低下させられるためです。
手術前や術後の説明があるか、手術・治療中は衛生マスクや手袋を着用しているかなど、細かい部分を確認しましょう。衛生管理意識が低いと感じた場合は、他の歯科医院を探すことをおすすめします。
歯科医師の指示やアドバイスを守る
術後感染を防ぐためには、歯科医師の指示やアドバイスを必ず守りましょう。歯科医師は、術後の適切なケアや感染予防のために患者に指示を出しているからです。
例えば、医師から特定の歯みがき方法や口腔ケアを指示された場合、これに従うことで手術部位周辺の細菌を適切に取り除けます。また指示通りに定期検診を受けることも感染予防にとって重要です。
安全で効果的な回復のためにも、手術後は医師の指示やアドバイスを尊重して着実に実行してください。
禁酒禁煙する
インプラント手術後に禁酒・禁煙すれば感染を予防しやすくなります。アルコールやタバコの摂取は免疫機能が低下する他、口内の血行を悪化させる可能性があるためです。
禁酒と禁煙によって血行が改善されたり、免疫が強化されたりするため、細菌に感染しにくくなります。インプラントの定着と回復にも影響するので、自身の健康のためにも高い意識を持ちましょう。
インプラントの手術後は口の中をしっかりケアしよう
インプラントは手術後のケアが非常に重要です。口腔ケアを怠ると術後感染が発生しやすく、場合によっては重症化することもあるため注意してください。
本記事を参考に、術後感染の適切なケア・対処をしていきましょう。お気軽にご相談ください。