2023.12.26
歯の神経は抜くべき?神経を抜くメリット・デメリットを解説
歯の神経を抜く根管治療を進められたものの、本当に抜いてしまって良いのか不安や疑問を感じている方もいるでしょう。虫歯が歯の奥まで進行してしまうと根管治療が必要になりますが、メリットとデメリットどちらもあります。
この記事では、歯の神経を抜くメリットとデメリットについて解説しています。歯の神経が持つ役割や歯の神経を残す治療法やよくある質問についても解説していますので、歯の神経を抜く治療に不安を感じる方はぜひ参考にしてみてください。
歯の神経がもつ役割とは
歯の神経は正確には「歯髄」と呼ばれ、神経や血管などの細胞が入り混じったものを指します。歯の神経は歯に対して栄養を与えたり、老廃物を取り除く代謝の手助けをする役割があります。また神経は感覚器官でもあるため、痛みや違和感など歯に関するトラブルを自覚するための機能もあり、歯の健康にとって重要な役割を持っているのです。
歯の神経を抜くと、痛みや不快感が無くなる一方で、栄養を運んだり代謝する機能やトラブルを自覚する機能が失われてしまうデメリットもありますので、理解しておきましょう。
歯の神経を抜くメリット
歯の神経を抜くメリットは以下の3つです。
- 自分の歯を残せる
- 痛みや不快感が無くなる
- 虫歯の悪化を防げる
自分の歯を残せる
歯の神経を抜いて自分の歯を残せるのは大きなメリットです。虫歯が進行して症状が酷くなると、歯が損傷してしまい、最終的に歯が抜け落ちてしまう可能性もあります。
歯が抜けてしまうと、インプラントやブリッジなどで人工の歯を入れることになりますが、人によって人工物に違和感や抵抗感を感じてしまうことも珍しくありません。
神経を抜くことで、自分の歯を健康な形で維持できるのは大きなメリットです。
痛みや不快感が無くなる
神経を抜いた歯は感覚が無くなるため、痛みや不快感がなくなるのもメリットの一つです。歯の痛みや違和感は食事中や睡眠時など日常生活に支障をきたす場合もあり、患者様にとって大きなストレスになります。
神経を抜き、根管治療を行うことで、歯から来るストレスから開放されるのは大きなメリットといえます。
虫歯の悪化を防げる
虫歯の悪化を防げるのも大きなメリットの一つです。虫歯の菌は歯の表面から侵入し、最終的に神経を通って他の歯や顎の骨まで広がっていくため、虫歯ができた歯以外にも悪影響を与えます。
歯の神経を抜いて根管治療をすることで、虫歯の進行を食い止め、虫歯の感染拡大を防げます。口内全体の健康を考えるうえでも、神経を抜く根管治療は大切な処置の一つです。
歯の神経を抜くデメリット
歯の神経を抜くデメリットを紹介いたします。
- 歯が脆く、欠けやすくなる
- 歯が変色する可能性がある
- 虫歯などのトラブルに気付きにくい
- 治療期間や費用が多くかかる
歯の神経を抜いてしまう前に、しっかりとデメリットも把握したうえで歯科医師と相談し、治療を行いましょう。
歯が脆く、欠けやすくなる
歯の神経を抜く根管治療では歯に通っている血管も一緒に除去するため、歯に栄養補給ができず、脆く欠けやすくなります。治療の仕上げに行う被せ物によりある程度の強度は保てるものの、硬い食べ物や歯ぎしりなど、治療した歯に強い力がかかる行為を避けるよう注意しなければなりません。
歯が脆く、欠けやすくなるのは神経を抜くデメリットの1つです。
歯が変色する可能性がある
神経を抜いた歯は、黒や茶色っぽく変色してしまう可能性があります。
歯の根管治療では神経と一緒に血管等も除去するため、神経を抜いた歯は代謝機能が無くなり、組織の変異物や鉄分などの付着によって、変色してしまうことがあります。歯の内側から変色してしまうため、歯磨きやホワイトニングでは対処できず、白く戻すには専門の治療を受けなければなりません。
神経を抜いた歯は変色する可能性があるということを理解しておきましょう。
虫歯などのトラブルに気付きにくい
神経を抜いた歯は痛みや不快感がなくなるため、虫歯などのトラブルに気付きにくくなるので注意しましょう。痛みがないため、虫歯などのトラブルが進行していることに気付かず、適切なタイミングで治療を受けられなくなる可能性もあります。
虫歯などのトラブルは、進行して悪化する前に早めの治療を受けたいもの。神経を抜いた歯はトラブルに気付きにくいため、定期的に検診をうけることが重要です。
治療期間や費用が多くかかる
歯の神経を抜く治療は、他の治療に比べて時間や費用が必要になることもあります。
神経を抜く歯の根管治療は、細菌などの汚れの除去だけでなく、薬剤を浸透させる時間などが必要なため、複数回に分けて治療を進めていきます。治療回数が多くなると、それだけ治療が終わるまでの期間も費用も多くかかってしまうのです。
治療費や治療計画で不安を感じる方は歯科医師やカウンセラーと相談し、納得してから治療を受けるようにしましょう。
歯の神経を残す治療法を紹介
神経を抜く歯の根管治療とは別に、歯の神経を残す治療法についても紹介いたします。
- 歯の神経を残す歯髄温存療法
- 歯の神経を移植して再生する歯髄再生治療
神経を残した治療が行えるかは患者様の口内状況によって異なり、全ての方に適応できるわけではありません。担当の歯科医師と治療方針や選択肢についてしっかりと相談し、ご自身に合った治療を受けるようにしましょう。
歯の神経を残す歯髄温存療法
歯の神経を残す「歯髄温存療法」は、できる限り歯の神経を抜かずに保存して治療を行う方法です。
近年、高精度なマイクロスコープの登場により、感染している神経のみを除去し、健康な部分は残すという治療方法が取れるようになりました。ただし全ての方に適用できるわけではなく、虫歯の進行状況によって利用できない場合もあるため、できるだけ早いうちに治療を受けるのが重要です。
また、歯髄温存療法は保険適用外となるため、事前に治療費の概算を出してもらうようにしましょう。
歯の神経を移植して再生する歯髄再生治療
親知らずなどの不要な歯から神経細胞を培養し、神経を抜いた歯に移植する「歯髄再生治療」という方法もあります。歯髄再生治療は元の歯さえ残っていれば、神経を抜いた後でも利用できるのが大きなメリットです。
ただし、歯髄再生治療は2020年に日本で認証されたばかりの最先端の治療法なので、治療が受けられる歯医者が限られているというデメリットがあります。保険適用外のため治療費も高額になる可能性がありますが、選択肢の一つとして検討してみましょう。
歯の神経についてよくある質問
歯の神経についてよくある質問を紹介いたします。
- 神経を抜いた歯の寿命は?
- 神経を抜くのと抜歯はどちらがいいの?
- セカンドオピニオンを受けるべき?
神経を抜いた歯の寿命は?
神経を抜いた歯は、神経のある歯と比べて10年短くなると言われています。健康な歯にも言えることですが、歯の寿命は歯磨きやデンタルフロスなど、日々のセルフケアによっても大きく変わります。
神経を抜いた歯はトラブルが起きても自覚症状が無く気が付きにくいため、少しでも長持ちさせ、健康な口内を保つためにも定期的に検診を受けるのがおすすめです。
神経を抜くのと抜歯はどちらがいいの?
患者様の状況によって異なるため一概には言えませんが、どちらか2択であれば神経を抜くほうが良いと言えます。抜歯してしまうと、入れ歯やインプラントしか選択肢はありませんが、神経を抜く場合は歯が残るため、将来的に「歯髄再生治療」により神経を移植できる可能性があります。
もちろん歯や神経を抜かずに治療を進めるのが最善ですが、虫歯の症状や歯の状態次第で、歯や神経を残した治療ができるとは限りません。担当の歯科医師としっかり相談し、患者様にとってベストな治療計画を立てるのが大切です。
セカンドオピニオンを受けるべき?
歯の神経の治療について不安を感じる方はセカンドオピニオンを利用し、第三者の意見を聞くのがおすすめです。
歯を削ったり神経を抜いたりといった治療は、1度治療を始めてしまうとやり直しができないというリスクがあります。根管治療などの大きな治療を受ける際は、ご自身にとって最適な治療法を見つけるためにもセカンドオピニオンを活用し、十分に納得してから治療を進めるのがおすすめです。
歯医者でセカンドオピニオンを受けるタイミングは?メリットやデメリットも解説
歯の神経は信頼できる歯医者で治療しましょう
歯の神経を抜くと痛みや不快感が無くなる一方で、歯の変色や劣化だけでなく、トラブルを自覚する機能が失われてしまうというデメリットも。歯を削ったり神経を抜いたりといった治療は、1度治療を始めてしまうとやり直しができないため、患者様ご自身が治療方針に納得し、信頼できる歯医者の元で治療を進めるのが大切です。
安岡デンタルオフィスではインプラント世界一のスペシャリストから指導を受けた経験豊富な歯科医師やスタッフが在籍。虫歯や歯周病などの痛みをその場限りの治療ではなく、症状の原因そのものを根本から治療し、人生を変える歯科治療を目指しています。歯の治療について少しでも不安を感じている方はお気軽にご相談ください。