2024.02.17
歯が根本から抜けてしまった!すぐにできる応急処置とケース別対処法を説明
転倒や事故など、何かのはずみで歯が根本から抜けてしまうと、多くの人はとても焦ってしまうのではないでしょうか。
このまま元に戻らないのでは?と考えて、パニック状態に陥ってしまう人もいるかもしれません。
万が一、歯が根本から抜けてしまった時は、焦らずに歯の保存をして、できるだけ早めに歯科医院へ向かいしましょう。
本記事では、歯が根本から抜けてしまったときの基本的な対処法や、元に戻すための治療法などを説明しています。記事の冒頭部分から確認してもらえれば焦らずに対処できますので、ぜひ、記事内容をご確認ください。
歯が抜けた時に取り急ぎ行いたい応急処置
突然歯が抜けてしまうと、ほとんどの人はびっくりして慌ててしまうのではないでしょうか。
まずは落ち着いて応急処置を行いましょう。
歯が根本から抜けた時に対応すべき応急処置を4つ、ピックアップしました。
- 抜けた穴に歯を差し込む
- 差し込めない場合の歯の保存方法
- 抜けた箇所の止血
- 口の中を清潔に保つ
抜けた穴に歯を差し込む
まず抜けた歯を流水で20秒ほど軽くすすいで、汚れや歯垢を取り除きます。
次に、抜けた穴の周りの歯肉を傷つけないように注意しながら、抜けた歯を穴に差し込みましょう。この時、歯の根が骨の中にしっかりと入るように、ちょうど良い力の加減を探し当てます。
歯を差し込んだら、ガーゼやティッシュで軽く押さえ、歯が動かないようにします。そして、すぐに歯科医院へ向かいましょう。抜けた歯が元に戻る見込みがある場合、再植治療ができるかもしれません。
差し込めない場合の歯の保存方法
もし、歯が抜けた穴に収まらない場合は無理をせずに頬の内側や舌の下に歯を挟むようにします。
歯を保存することが目的なので、口の中で保存できれば、どんな収納方法でも構いません。
間違えて歯を飲み込んでしまわないように注意しましょう。
口の中で抜けた歯を保存する自信がない人は、牛乳か生理食塩水を使って保存する方法もあります。もし入手できる環境であれば、学校の保健室などに常備してある「歯の保存液」の中に歯をひたすのも良い方法です。
歯が抜けた箇所の止血
歯が抜けたときの出血がひどい場合は止血を優先しましょう。綺麗なガーゼを歯が抜けた穴に当てて止血します。ガーゼが見当たらない場合は、ティッシュでも代用できます。
あまり力強くあててしまうと余計に出血が激しくなることがありますので、適度な力で押さえるようにしましょう。
出血が治ったら、水やぬるま湯で口をすすいで口内を綺麗な状態にしましょう。抜けた穴は過敏な状態になっています。歯ブラシで磨く、綿棒や爪楊枝でつっつくなど、抜けた穴の患部を刺激しないようにしましょう。感染症や骨髄炎など、深刻な症状につながってしまう恐れがあります。
抜けた歯は捨てずにできるだけ急ぎで歯科クリニックへ
抜けた歯は捨てずに保存して、できるだけ急ぎで歯科クリニックへ急ぎましょう。歯科クリニックで対応できる治療について、次の2つのポイントにて説明します。
- 怪我が原因の場合
- 歯周病が原因の場合
怪我が原因の場合は急ぎで歯科クリニックへ
怪我や転倒などによって、根本から歯が抜けた場合、20分〜30分以内に治療をすると元通りに再生できる可能性があります。
抜けた歯の再生で重要なポイントは、抜けた歯根の表面にある「歯根膜」という膜を乾燥させないことです。
歯が抜けた後、歯根膜が乾燥していなければ、歯根膜とあご骨の歯槽骨と結合する再植治療によって、おおよそ1ヶ月程度で歯を元通りに修復できる可能性があります。
乾燥防止の目的で、水道水やミネラルウォーターを保存液として利用するのはやめておきましょう。浸透圧によって、歯根膜の組織が変性してしまう可能性があります。
歯周病が原因の場合
歯周病で歯が根本から抜けてしまった場合、残念ながら再生はできません。抜歯や義歯による治療が必要です。
抜けた歯を元通りにする治療
抜けた歯の治療方法は症状ごとに大きく分けて3つの方法があります。治療ごとの違いを一覧表にまとめました。
再植治療 | インプラント | ブリッジ | |
概要 | 抜けた歯を元の位置に戻す治療 | 歯根がない部分に人工歯根を埋め込む治療 | 隣の歯を削って、人工歯を支える治療 |
メリット | 自分の歯を残せる | 歯根がない部分にも歯を植えることができる | 比較的短期間で治療できる |
デメリット | 時間が経過すると、治療の成功率が低下する | 治療費が高額になる | 隣の歯を削る必要がある |
治療期間 | 1〜3ヶ月 | 3〜6ヶ月 | 1〜2ヶ月 |
治療費 | 保険適用 | 保険適用外 | 保険適用 |
抜けた歯を元に元の位置に戻す再植治療は保険適用されますが、意図的に歯を抜いて再植する意図的再植治療は保険適用外です。
それぞれの治療法ごとに、詳細を説明します。
- 再植治療
- インプラント
- ブリッジ
再植治療(H3)
抜けた歯の再植治療とは、抜けた歯を元の位置に戻す治療です。外傷や事故などで抜けてしまった歯や、治療をしても上手くいかない歯を一度わざと抜いて、再度歯を元の場所に戻すことをいいます。
再植治療の成功率は、歯が抜けてからの時間と、歯の状態によって異なります。前述の通り、成功には、歯が抜けてから30分以内の再植治療が望ましいです。
30分以上経過すると歯根膜の乾燥によって成功率は低下します。1時間以上経過すると成功の見込みはかなり薄くなります。また、歯の根が折れていたり、骨が損傷していたりする場合は、再植が難しい場合もあります。
再植治療の流れは、以下のとおりです。
- 歯が抜けた原因や、歯の状態を確認
- 歯の根に汚れや歯垢が付着していないか確認
- 歯の根にヒビや割れなどがないか確認
- 歯の根膜が死んでいないかどうか確認
- 歯を元の位置に戻し、周りの歯にワイヤーや接着剤で固定
再植治療の後は、歯の状態を確認しつつ仮歯やインプラントなどの治療を行うこともあります。
再植治療と意図的再植治療では、保険適用の兼ね合いで治療費が大幅に異なります。治療にあたっては歯科医師と相談の上、納得のいく治療方法を選びましょう。
インプラント
インプラント治療は、歯根がない部分に人工歯根を埋め込む治療です。人工歯根が骨と結合することで、歯と同じように噛むことができます。
再植治療ができなかった場合、別の選択肢として候補に上がる治療方法の一つです。
インプラント治療の流れは次の通りです。
- 骨の状態を確認
- 問題がなければインプラント体を埋め込む
- 仮歯を入れてインプラントが骨と結合するのをまつ
- アバットメントと人工歯を取り付けて完了
インプラントは自分の歯を残すことができ、ブリッジなどの義歯に比べて自然な噛み心地を味わえる点がメリットです。
一方で、手術が必要になる点や治療費が高額になるなど、デメリットもあります。
ブリッジ
再植治療ができなかった場合、インプラント以外の選択肢にブリッジがあります。ブリッジは、両隣の歯を支えにして人工歯を装着する治療法です。
ブリッジは支える歯の種類によって、次の3つに分類されます。
- 3本ブリッジ
- 2本ブリッジ
- 1本ブリッジ
3本ブリッジは2本、2本ブリッジは1本、両隣の歯を削って義歯を装着します。1本ブリッジは片側の歯を削って、人工歯を装着する治療方法です。
ブリッジは比較的短期間で治療を完結できます。基本的に保険適用の治療になるため、インプラントよりも治療費が安いです。
全てのブリッジ治療が保険適用になるわけではないため、治療にあたっては歯科医師によく相談して納得の上、治療法を選びましょう・
歯が根本から抜けたときはまず歯科医院へ問い合わせましょう
歯が根本から抜けたときは、まず歯科医院へ問い合わせることを覚えておきましょう。抜けた後30分程度で再植治療をスタートできれば元通りになる可能性が高いです。
万が一、元通りにならなかった場合、インプラントやブリッジなどの治療によって、抜けた箇所を義歯で補います。
基本的にブリッジや再植治療は保険の適用ができますが、インプラントは自由診療となるため、治療費は割高です。
治療にあたっては、歯科医師と相談の上、納得のいく最善の治療を選ぶようにしましょう。