2023.08.30
インプラント治療は「生命保険」の対象になる?ならない?
インプラントで民間の生命保険を使用できる?
インプラント治療は、基本的に保険診療外の治療となります。
また、治療時には外科処置を伴うため、民間の生命保険が使えないかと考える方も多いでしょう。
しかし、残念ながらインプラント治療はどの生命保険会社も保障の対象外となっているのが現状です。
「なぜ手術の特約を使えないのか?」と不思議に思われる方もいらっしゃるかと思います。
まずはインプラント治療において生命保険が適用外となる理由について見ていきましょう。
そもそも「生命保険」とは?なぜインプラントで使えない?
対象外となる理由1.インプラントは自由診療であるため
インプラントは、基本的に自由診療で治療を行うものであり、保険を使った治療ができません。
それなら尚更個人の保険を使いたいという方も多いですが、民間の生命保険は「公的医療保険でカバーしきれない部分をカバーする」という目的として用いられることが多く、いわゆる自費治療には使えないことがほとんどです。
ホワイトニングをはじめ、美容医療の分野においても保険金が下りることはほとんど無いといっても良いでしょう。
対象外となる理由2.先進医療特約の対象外になっている
生命保険には「先進医療特約」というものがあります。
先進医療とは、厚生労働大臣が認めた高度な医療技術を用いた療養、その他の療養のことを指し、生命保険の先進医療特約に入っていれば治療を受けた際に給付が受けられます。
インプラント治療は高度な技術が必要なため、先進医療に該当するのではないかと考える方もいるでしょう。
しかしインプラントは、2012年以降先進医療の対象外になってしまったため、残念ながら民間保険の先進医療特約も合わせて給付が受けられなくなってしまいました。
保険が使える歯科治療・使えない治療について
そもそも歯科治療は、大きく分けて保険診療と自費診療の二つがあります。
保険診療の場合は費用が抑えられますが、自費診療ではかなり高額の負担となってしまうことも珍しくありません。
だからこそ個人の保険を使いたいところですが、実際はこちらも適用外となってしまう現状です。
ならば初めから保険の範囲で治療を受けたいと考える方も多いですが、実際に保険適用できるかどうかは、検査を受けてみなければ分かりません。
また、インプラント治療で保険が適用されるケースは極めて少なく、ほぼ自費診療となってしまいます。
保険が使える歯科治療はこんなものがあります
保険が使える歯科治療は、虫歯や歯周病の治療、一般的な入れ歯、ブリッジ治療などです。
さらに、上記の中でも必要最低限の健康を維持するための治療」に限られます。
治療に使用できる素材は限られており、例えば虫歯治療の詰め物や被せ物はプラスチックやレジン、銀歯などになります。
入れ歯治療でも、金具を使わないノンクラスプデンチャーや床部分の薄い金属床義歯は作成できません。
あくまでも最低限の「噛む」という行為を行えるようにするものが、保険の歯科治療です。
保険が使えない歯科治療はこんなものがあります
インプラントや歯列矯正、ホワイトニングなど、見た目を改善することを目的としていたり、より優れた治療を希望されたりするケースは保険診療が適用されません。
見た目や機能性の高いセラミックを用いた治療など、保険指定外の材料を使った治療は原則全て自由診療になってしまいます。
自費診療では、費用負担が大きくなる一方で、より優れた素材や患者様のこだわりに合わせた治療を選択できるというメリットがあります。
インプラントで保険給付が受けられるケースもあります
先天性疾患・事故が原因のインプラント治療
生まれつき顎の骨に形成不全が見られる方、事故や病気によって顎の骨の広範囲を失ってしまったという方は、保険適用でのインプラント治療が受けられます。
また、生まれつき永久歯が生えてこない先天性欠損歯(先天性欠如歯)が6本以上ある場合も、保険治療の対象となります。
これらの病気やトラブルによってインプラント治療を保険で受ける場合、あわせて保険給付も受けられる可能性がありますので、加入中の保険会社へ確認しましょう。
ただし、保険適用ができるのはあくまでも事故や病気などの事情がある場合に限られます。
虫歯や歯周病で歯を失ってしまったケースは対象外となるためご留意ください。
病気やケガの治療を目的としたインプラント治療
病気やケガの治療としてインプラント治療を受ける際は、民間保険の「手術・入院給付」が受けられる場合があります。
適用されるのは「先天性・事故・病気」などの原因に当てはまる場合に限られます。
通常のインプラント治療は対象外となるため注意が必要です。
事故やケガの状況については、実際に検査をしてみないと分からない部分もあるため、まずは歯科医院に相談の上、治療について考えていきましょう。
なお、保険金の給付が受けられるかどうかは加入中の保険によっても変わるため、保険会社へ確認しておくことも忘れないようにしましょう。
保険診療や生命保険以外でインプラント費用を抑えるには?
医療費控除を申請する
インプラントの治療費は、医療費控除の対象になります。
医療費控除は、申請を行うことで一定の所得を控除する制度です。
一年間の治療費を計上するために年末に確定申告を行う必要がありますが、インプラント治療のように大きな金額があった場合にはきちんと申請するようにしましょう。
インプラントは医療費控除が受けられる!申請方法や注意点を解説
デンタルローンを利用する
インプラント治療にかかる費用を一括で支払おうとすると、大きな負担になってしまいます。
なるべく金利を抑えながら分割で支払いたいという場合には、デンタルローンを利用して費用負担を分散する方法があります。
インプラントや矯正治療など、費用が大きくなり長い期間を要する治療では、デンタルローンを活用する患者様が多くいらっしゃいます。
デンタルローンについて気になる方は、ぜひ治療を始める前に歯科医院で一度ご相談ください。
まとめ
インプラント治療は、基本的に自費診療に分類されます。
「手術をするし、加入している保険が下りるのでは?」と考える方も少なくありませんが、残念ながらインプラント治療は保障の対象外となっています。
保険診療の範囲でインプラント治療を行うことはあまり現実的ではありません。
なるべく費用の負担を抑えたいという場合には、医療費控除やデンタルローンを活用することをおすすめします。