2024.09.19
矯正するとブラックトライアングルができる? 原因や治療法を紹介!
歯の根元にできる三角形の隙間・ブラックトライアングル。気がついたらできていた方も多いと思います。ブラックトライアングルは加齢や歯周病などによる歯茎の退縮以外にも、実は矯正治療の結果できることも。
ブラックトライアングルの原因やそのままにしておくことのデメリット、治療法について、この記事では紹介します。ブラックトライアングルになってしまい、これからどうしたら良いかをお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。
ブラックトライアングルとは
ブラックトライアングルとは歯の根元部分にできる歯茎の隙間のこと。隙間部分が黒い三角形に見えることから、そう呼ばれています。
前歯にできることが多く、奥歯にはあまりできないのが特徴です。これは歯の形によるもの。歯茎が下がった場合、前歯は逆三角形で下に行くほど細くなるので、隣の歯との隙間ができやすくなる一方、奥歯は四角形に近いため、隙間ができにくいのです。
ブラックトライアングルが前歯、特に上あごの前歯部分にできると、口を開いた時によく見えるため、最近では審美面を気にされて治療する方も増えてきました。
ブラックトライアングルができる原因
歯茎が下がることで、歯の根元部分露出し、隣の歯との隙間が見えるようになります。つまり、歯茎が下がることがブラックトライアングルができる原因と言えるでしょう。
では、なぜ歯茎が下がってくるのでしょうか? その理由は大きく分けて、下の4つがあります。
加齢
歯茎は、その下にある歯槽骨と呼ばれる骨で支えられています。歯槽骨が少なくなると歯茎の高さも低くなります。歯槽骨が減少する要因のひとつとして挙げられるのが加齢です。加齢と共に歯槽骨が少なくなった結果、歯茎が下がり、ブラックトライアングルにつながります。
加齢によるブラックトライアングルは、個人差がありますが、早い方では30代ぐらいから現れ始め、40代以上ではある程度見られるようになります。
歯周病
歯周病も歯槽骨を減少させてしまう大きな要因です。歯周病で歯茎の炎症が長く続くと、骨の高さが低くなり、ブラックトライアングルを出現させてしまうのです。ブラックトライアングルには食べかすなども詰まりやすく、歯周病が悪化する悪循環にもつながります。
その一方で、歯周病を治療することで歯茎の腫れが治まり、ブラックトライアングルができてしまうケースもあります。
歯列矯正
実は歯列矯正もブラックトライアングルにつながる可能性があります。
- 元々が凸凹した歯並びの場合、歯や歯肉が重なることで見えなかったブラックトライアングルが、歯が正しい位置に並ぶことで目立つようになる
- 歯を抜歯することで、並ぶ歯が少なくなり、ブラックトライアングルができやすくなる
- ワイヤー矯正で歯に強い力を掛けた場合、新しい歯槽骨の再生が追いつかず、その結果、歯槽骨が少なくなり、ブラックトライアングルができる可能性がある
- 歯列矯正で歯並びが良くなった結果、お手入れがしやすなり、歯茎の腫れが治まってブラックトライアングルが目立つようになる
以上のような状態が考えられます。
なお、歯列矯正によるブラックトライアングルができる可能性は中高年の方が高いと言われています。
矯正治療を開始する前にブラックトライアングルができる可能性の高さについてはある程度、予測ができるので、治療開始前のカウンセリングで担当医師に相談するようにしましょう。
日常のお手入れ習慣
歯と歯茎の境目や、隣の歯との間をキレイにしようと、毎日に歯磨き時に強い力でブラッシングをしたり、無理矢理フロスを入れたり、一日に何度もフロスで刺激を加えたりすることで、歯茎が下がってしまうことがあります。
歯ブラシが適切な角度で歯に当たっていると力を入れなくても十分汚れは落ちます。またフロスも歯間に入りにくすぎるものは太さが合っていないことも考えられます。歯科医院での定期メンテナンス時に、歯科衛生士などに相談してみましょう。
ブラックトライアングルをそのままにしておくことのデメリット
結論から言うと、ブラックトライアングルはそれ単体で問題を引き起こす病気ではありませんので、基本的には放っておいても問題ありません。しかし、以下の理由から、最近では治療する方が増えています。
審美面で気になる
ブラックトライアングルが人目に付きやすい位置にできた場合は、程度によっては老けた印象を与えてしまう可能性があります。また、その部分に食べ物が詰まりやすくなるので、食事時や食後に何かが詰まっていないか気になる方もいらっしゃるでしょう。
虫歯や歯周病のリスクが高まる
ブラックトライアングルに食べかすが残った状態が続くと、虫歯ができやすくなったり、口腔内の衛生状態が悪くなり、歯周病になるリスクが高まります。
発音が不明瞭になる可能性がある
隙間があまりにも大きい場合、そこから空気が漏れることにより、発音が不明瞭になってしまう可能性も否定できません。
ブラックトライアングルは自然に治る?
特に原因に思い当たることなくできてしまったブラックトライアングルだから、しっかり歯磨きをしたりすることで自然に治るのではないかと考える方もいらっしゃいます。残念ながら、個人ができることで治せるケースはほぼありません。
気になる方は、自由診療となりますが、歯科医院での治療を検討するようにしましょう。
ブラックトライアングルの治療法
ブラックトライアングルの根本的な原因である歯槽骨の減少を効率よく補う治療法は、まだ確立されていません。現在、歯科医院で提供されている治療法は、基本的には隙間を目立たせなくするものとなります。
IPR(ストリッピング)
IPRは歯と歯の間を1本あたり0.1mmから0.5mm程度だけわずかに削ることで、歯並びを調整する矯正治療のひとつです。
歯の形状が原因でできたブラックトライアングルの場合、IPRで歯の形を逆三角形から四角形に近づけることで、改善が見込めます。ただ、あくまで矯正治療の一環として使われる治療法のため、矯正を目的としないブラックトライアングルだけの治療には適用されません。
ダイレクトボンディング
レジンという歯科用のプラスチック素材を歯の表面に塗り重ねて、歯の色や形を整える治療法です。 歯の表面を滑らかにしたり、歯と歯のすき間を詰めたりする時に使われ、ブラックトライアングルの状態により対応できるケースもあります。
歯を削る必要がなく、短期間で終わるメリットがあります。その一方、充填したレジンが少しずつ変色してきたり、汚れが付着しやすかったりするため、日々のお手入れに気を付けなければいけないという注意点もあります。
ラミネートべニア
歯の表面のエナメル質を約0.5mmほど削り、セラミック製の薄い素材を歯に貼り付ける治療法です。ネイルのつけ爪のようなものです。
ブラックトライアングルを埋めるだけでなく、治療した歯の見た目が美しくなるメリットもあります。また、短時間で治療ができ、持続時間が長いことも特徴です。注意点としては、健康な歯を削らなければならないことが挙げられます。
ヒアルロン酸注射
体内にもともとある保水成分であるヒアルロン酸は、水分の保持だけでなくクッションのような役割を果たします。そのヒアルロン酸を歯肉に注入することで、ブラックトライアングルの改善を図る治療法です。
注射をするだけの簡単な治療法で短時間で終了します。痛みに弱い方は麻酔を併用すると、注射の痛みもほぼ感じずに受けることができます。効果を注入直後に鏡で見て確認でき、ダウンタイムもほぼ必要ありません。効果は半年から1年ほど持続しますが、継続的な治療が必要な点に注意が必要です。
歯茎の移植
歯茎移植手術では、主に口蓋部(上あごの裏側に位置する部分)から組織を採取し、ブラックトライアングルの部分に移植します。手術は局所麻酔や全身麻酔を使用して行われ、移植後は縫合されます。この外科手術は高度な専門技術が必要とされるため、専門的な歯科医院や大学病院でのみ対応可能です。
つめ物・かぶせ物
虫歯などの治療では、つめ物やかぶせ物を作る段階で大きさなどを調整することで、ブラックトライアングルの改善が見込めることもあります。ただし、かぶせ物についてはブラックトライアングルの大きさによって難しいこともあります。
ブラックトライアングルを予防するには?
ブラックトライアングルができる根本的な原因は歯槽骨の減少によるもので、多くの方が加齢によってなる可能性があります。そのためブラックトライアングルにならないようにするのは難しいことですが、間違った歯磨き習慣やお手入れ不足により、ブラックトライアングルになりやすくなってしまうことは確かです。正しい日々のお手入れ方法を身に付けることが、ブラックトライアングルの予防にもつながります。
正しいお手入れ方法は歯のプロから学ぶのが一番! 歯科医院の定期検診などを積極的に利用するようにしましょう。定期検診を受けることで、ブラックトライアングルの原因ともなる虫歯や歯周病を早期発見できるメリットもあります。
当院では予防歯科にも力を入れており、4階をメンテナンス専門フロアにしています。歯科医院の機械音が苦手な方も安心して来院いただける環境です。
また、定期検診は一般的にPMTC(歯科衛生士による専門的な器械を使ったクリーニング)という方法に基づいて進めています。手順としては、口の中の状態を見て問診させていただいた後、歯石や歯肉、虫歯等のチェックを行い、クリーニング作業に入ります。そしてクリーニングが終了した歯に仕上げの作業を行い終了となります。
江坂でブラックトライアングルにお悩みなら安岡デンタルオフィス
今回の記事ではブラックトライアングルの原因やその治療法などについて説明しました。当院でもダイレクトボンディングやラミネートベニアなどのセラミック治療、根面被膜など、ブラックトライアングルに対応できる治療を提供しております。
また矯正治療を検討されている方でブラックトライアングルに不安を感じておられる方もいらっしゃるでしょう。治療前の診断やシミュレーションによりブラックトライアングルができるリスクをある程度予測することができます。
当院ではインビザラインやワイヤーなどの歯科矯正も取り扱っており、事前に歯科医師が丁寧にカウンセリングいたしますので、不安があれば、お気軽にご相談下さい。