2024.11.19
虫歯じゃないのに奥歯が痛い! その原因と対処法、放置リスクも紹介
急な歯の痛みを感じるとまず考えるのが虫歯。しかし、虫歯などの治療を終えたばかりの時や歯科医院で定期的にメンテナンスを受けているなど、歯の痛みの原因が虫歯とは考えにくい時もあります。
虫歯じゃないのに歯が痛い時に考えられる原因と共に、歯に痛みがある時の応急処置や歯の痛みを放置するリスクについても紹介します。
虫歯じゃないのに歯が痛い! その原因は?
虫歯じゃないのに、
- 歯がうずく
- 歯がしみる
- 歯がジンジンする
- 歯に強い痛みを感じる
などの症状がある場合、いくつかの原因が考えられます。
大きく分けて「歯や歯茎に原因がある場合」と「それ以外に原因がある場合」があります。
歯や歯茎に原因がある場合
虫歯じゃないのに歯が痛む場合、歯や歯茎に原因があることがほとんどです。代表的な原因を以下に紹介します。
疾患名 | 症状 |
歯周病 | 歯周病が進行すると、歯茎が腫れて膿が出たり、歯を支える骨(歯槽骨)が溶けて歯がグラつくようになったりします。噛む時に痛みが出るほか、重症になると何もしていない状態でも痛みを感じるようになります。 |
知覚過敏 | 強い力で歯磨きをする習慣がある方や、食いしばりや歯ぎしりがひどい方は、歯がすり減る可能性が高くなります。歯がすり減ると食べ物の冷たさや熱さが歯の神経に触れやすくなり、しみるような痛みを感じるようになります。
他にも、歯周病や老化により歯茎が下がり、歯の内部にある象牙質が露出することも知覚過敏の原因として挙げられます。 |
歯にヒビが入っている | 歯ぎしりや食いしばり、外傷などで歯に強い力がかかるとヒビが入ることがあります。また、虫歯治療などで神経を抜いた歯は強度が落ちるため、割れたりヒビが入ったりしやすくなります。
放置しているとヒビ割れが大きくなるほか、細菌感染を起こして急に強い痛みが出る場合もあるので注意しましょう。 |
親知らず | 親知らずは斜めに生えやすく、隣の歯を圧迫して痛みを引き起こすことがあります。
また、隣の歯との隙間が狭いため、食べかすが詰まりやすく、細菌が増殖し、歯茎が腫れるなど、親知らずの周辺には痛みが出やすい傾向があります。 |
歯内部の炎症
(歯髄炎) |
歯の内部には歯髄と呼ばれる神経が通っています。虫歯を放置すると、虫歯菌や虫歯菌が生み出す毒素が歯髄に達して炎症を起こしてしまいます。
初期では一時的な痛みを感じる程度ですが、進行すると強い痛みが常時出るようになり、歯髄を取り除かなくてはいけなくなる場合もあります。 |
歯肉の炎症
(歯肉炎) |
歯と歯の間に詰まった食べかすを放置していると、歯肉が炎症を起こすことがあります。実際は歯肉が腫れて痛みが出ているのですが、歯に痛みがあると感じる方も多いのです。
丁寧な歯磨きに加え、デンタルフロスを使って食べかすを取り除き、口腔内を清潔に保つようにしていると、比較的早く症状が落ち着くことがほとんどです。 |
歯根を包む膜の炎症(歯根膜炎) | 歯の根っこの周りには歯根膜という膜があります。
この膜には、
などの働きがあります。 歯ぎしりや食いしばり、姿勢の悪さから特定の歯に負担がかかった結果、その歯の歯根膜が炎症を起こし痛みが出る場合があります。 |
歯や歯茎以外に原因がある場合
歯や歯茎に原因がないのに、歯に痛みが感じる状態を「非歯原性歯痛(ひしげんせいしつう)」と呼びます。痛みが歯だけにとどまらず、あごや顔などに波及することもあります。
疾患名 | 症状 |
関連痛 | 関連痛は、簡単にいうと脳の勘違いです。例えば、心臓発作による痛みが腕の痛みに感じられることがあるのですが、これは心臓からの感覚情報と腕からの感覚情報が脊髄の同じ神経経路に集まることに理由があります。
歯でも同じように、上の歯の痛みが下の歯のもののように感じられたり、あごの痛みが歯の痛みに感じられたりすることがあります。特に強い痛みを感じる時に出やすく、上半身の左側に多く起こると言われています。 |
筋肉や筋膜の炎症 | 食べ物を食べる時に使う咬筋や側頭筋などの筋肉、それらの筋肉を覆う筋膜が炎症を起こした結果、歯が痛いように感じることがあります。
食いしばりや歯ぎしりなど、上下の歯を強く接触させることが多い方に出やすい症状です。 |
神経障害性疼痛 | 神経障害性疼痛とは、神経そのものが障害を受けて、歯が痛むように感じる症状のこと。突然痛みが走る「突発性神経痛」と鈍い痛みが常時ある「持続性神経痛」の2種類があります。
最も多いのは、突発性神経痛のひとつである「三叉神経痛」です。三叉神経は顔面にある神経で、血管などで圧迫されると激しい痛みがあります。 |
上顎洞性歯痛 | 頬骨の奥にある上顎洞が急性の炎症を起こすと、炎症がだんだんと広がって歯痛が生じることがあります。 |
その他 | 頭痛や気圧の変化、心臓疾患の発作、精神疾患、ストレスに伴って歯に痛みが生じることがあります。また検査では異常が見つからないのに、寝ている時以外は痛みを感じる「突発性歯痛」と呼ばれる症状もあります。 |
奥歯が虫歯じゃないのに痛い時に考えられる原因
まず奥歯に痛みが出る原因として挙げられるのが「親知らず」に関連する痛みです。上でも説明しましたが、親知らず周辺の歯茎は腫れやすく、痛みが出やすくなっています。
また、非歯原性歯痛の中でも、筋肉や筋膜の炎症によって起こる「筋・筋膜性歯痛」や「上顎洞性歯痛」は、主に奥歯に現れやすい痛みです。
奥歯は強い力がかかりやすい歯で、日々のお手入れがしにく場所でもあります。歯科医院に定期的なメンテナンスに通うことは、奥歯に痛みが出る可能性を抑えることにもつながります。
夜になると歯の痛みが増す理由は?
日中は気にするほどの痛みではなくても、夜になると痛みが増すことも少なくありません。これには次のような理由が考えられます。
副交感神経が優位になる
代謝や血圧、体温などを調節する自律神経には、交感神経と副交感神経の2つがあります。通常、日中は交感神経が優位で血管が収縮しています。しかし、夜になって身体がリラックスすると副交感神経が優位になり、血管が拡張し、血流が増加します。その結果、痛みも感じやすくなります。
入浴により血流が増える
入浴をすると全身の血行が良くなり、血管が膨張します。すると、歯の神経に流れる血流も増えるので痛みを感じやすくなります。痛みが辛い方は、湯にゆったりと浸かるのは避けて、シャワーで軽く流す程度に抑える方が良いでしょう。
身体を横にすると頭部への血流が多くなる
日中は立ったり座ったりしていることが多いため、体内の血液は重力によって下に流れやすくなっています。しかし、夜にソファやベッドなどで横になる時間が長くなると、血液が頭部に流れやすくなり、血管が膨張。神経を圧迫し、痛みが強くなる場合があります。
就寝中の歯ぎしりや食いしばり
自覚はなくても、寝ている間に歯ぎしりや食いしばりをしている人は少なくありません。強い力で噛みしめることで、痛みが強く出る場合もあります。
歯ぎしりや食いしばりは就寝中にマウスピースを着用することで、大きく軽減できる場合もあります。当院でもマウスピースの作成を承っていますので、ぜひお問い合わせください。
虫歯じゃないのに歯が痛い時の応急処置
歯に痛みがあっても、仕事や育児などで忙しく、すぐに歯科医院を受診できないことも多いと思います。歯科医院に受診するまでの間、一時的に痛みを和らげるための対処法を以下でご紹介します。
市販の鎮痛剤を飲む
痛みが気になる場合は、鎮痛剤を使っても良いでしょう。鎮痛剤は、頭痛や生理痛などで普段飲んでいるものは、歯の痛みにも適用できます。
患部を清潔に保つ
飲食をした後は、歯磨きやフロスなどで食べかすを残さないようにお手入れしましょう。時間がない時は、うがいをするだけでも効果があります。
ただ、痛みがある部分を強く磨いたり、フロスを差し込んだりすると、症状が悪化する可能性もあります。優しく使うか、痛みや腫れがひどい場合はその部分は避けるようにしてください。
痛みがある部分を冷やす
腫れや痛みがある部分を冷やすことで、痛みが和らぐ可能性があります。ただ、患部に冷たいものが直接当たると、その刺激で痛みが増す場合があります。冷たい水や氷を口に含んで、口の中から冷やすのではなく、濡れタオルや保冷剤などで頬の上から冷やすようにしてください。
充分な休養をとる
風邪などの病気や疲れで免疫力が低下することで、歯や歯茎の炎症が起こることもあります。
免疫力を回復させるには、
- 温かく消化のよい食べ物を取る
- 睡眠を取る
- リラックスする
など、体を休めることが大切です。
免疫力が回復すると、細菌にも抵抗する力が戻り、症状の緩和が期待できます。
歯の痛みを放置するリスク
歯の痛み、特に虫歯じゃない場合は「放っておいたら良くなるかもしれない」と考える方も多いと思います。
ただ、歯の痛みには必ず原因があります。痛みを放置することで、原因となる疾患が進行し、その結果、歯を失ってしまったり、治療が難しくなり治療に掛かる時間も費用も増えてしまう可能性も考えられます。
また最近の研究で、歯の疾患が心臓病や糖尿病などの全身疾患につながる場合も多いことも分かってきました。以上のことから、歯に痛みがある場合は、早めに歯科医院に受診するようにしましょう。
虫歯じゃないのに歯が痛い時は安岡デンタルオフィスへ
歯の痛みにはさまざまな原因があり、放置することで他の疾患を引き起こしてしまう可能性もあります。歯に痛みがある時は、早めに歯科医院を受診するようにしましょう。
当院では24時間WEB予約フォームを設けています。LINEでの相談フォームも用意しておりますので、気になる症状がある方は、ぜひお気軽にお問合せください。