2023.06.29
年収300万でも安心してインプラント治療が受けられる?治療費で困らない「医療費控除」とは?
医療費控除とは
初めに、医療費控除とはどのような制度なのかを簡単にご説明します。
医療費控除は1月1日〜12月31日の1年間で、高額な医療費を支払った場合に、税金が一部還付される制度です。
大まかに言うと、年間医療費が10万円を超えた場合、所得税や住民税から控除されるというものです。
歯科治療は医療費控除の対象です
医療費控除と聞くと自費診療の高額な治療をイメージされる方も多いかもしれませんが、歯科治療では、自費診療はもちろん保険診療も適用されます。
インプラント治療の前に虫歯治療をしていたり、矯正治療中の歯周病治療なども医療費控除が適用されますので、きちんと活用してしっかり治療を行っていくようにしましょう。
インプラントで医療費控除を受ける条件
インプラント治療を行った後、医療費控除を申請できる条件は以下の3つです。
- 治療を受けたご自身が納税者である、もしくは生計を一緒にされている配偶者や親族の方の医療費であること
- 支払った医療費がその年(1月1日から12月31日)に支払われた金額の合算であること
- 1年間に支払った医療費の総額が10万円であること。
また、総所得金額が200万に達していない場合、総所得金額の5%を超えていること
上記の条件を満たした上で、医療行為としてインプラント治療を行われた際は、医療費控除を申請して、一定の所得控除を受けられます。
インプラント以外に○○も医療費控除の対象!
歯科治療では、以下のような診療において医療費控除の対象となるとされています。
- 虫歯、歯周病の治療費
- 親知らずの抜歯
- 成長阻害防止のための矯正治療(小児矯正)
- 処方された薬の購入費
- 治療のための通院費(バス、電車など)
通院費に関しては、バスや電車などの公共交通機関を利用したときは対象となりますが、自家用車で通院した際のガソリン代・駐車場代は含まれないので注意が必要です。
医療費控除の対象とならない歯科医療もあります
インプラントをはじめ、多くの歯科治療が医療費控除の対象となりますが、一方で医療費控除の対象外となる診療項目も存在します。
- ホワイトニングの費用
- 美容目的の歯列矯正費
- 通常使用の歯ブラシや歯磨き粉、入れ歯安定剤の購入費
- デンタルローンで支払った利息など
一般的に、予防や美容を目的とした診療に関しては対象外となることを覚えておきましょう。
年収300万の人は医療費控除でいくら戻る?
控除額は、条件によって大きく変わります。
一例として「年収300万円、インプラント治療で100万円を支払った場合」をシミュレーションしてみましょう。
条件は、保険による補助金0円、所得税率10%の場合を想定します。
- 医療費控除の対象となる金額の算出方法
100万円(インプラント費用)−0円(保険による補助金)−10万円=90万円(医療費控除対象額)
- 医療費控除の還付金
90万円(医療費控除対象額)×10%(所得税率)=9万円(医療費控除の還付額)
- 医療費控除の申請による住民税の減額
90万円(医療費控除対象額)×10%(一律)=9万円(住民税の減額)
上記の計算通り、年収300万の場合は、還付金及び住民税の減額でそれぞれ9万円控除されるようになります。
医療費控除の準備
治療後は、医療費控除を受けるための準備に取り掛かりましょう。
必要な書類をきちんと揃えた上で確定申告を行うことで、正確な控除額が算出されます。
必要な書類
初めに、確定申告を行う際には以下の書類が必要です。
- 医療費控除の明細書
- 医療費のお知らせ(医療費通知)
- 確定申告書
- 源泉徴収票
- マイナンバー
- 還付金の振込口座(申請者名義)
源泉徴収票や医療費通知など、年末に手元に届く書類のほか、医療費の明細など都度手元で管理している書類も忘れないように準備しましょう。
確定申告で医療費控除申請
確定申告は、慣れるまでとても大変な作業に感じるかもしれません。
書類一つとっても何をどこに記載するのかわからないと言うこともあるでしょう。
初めのうちやわからないことがある場合には、地域の税務署で直接提出することをおすすめします。
申請方法や記載方法がわかるようになったら、インターネットからの提出や郵送での提出も可能です。
基本的に確定申告は3月15日頃が提出期限となりますが、医療費控除は過去5年まで遡って申請することができるため、期限を過ぎていてもきちんと対応するようにしましょう。
医療費控除の注意点
これから医療費控除について知っていきたい方、活用したいと考えている方の中には、
「医療費控除がどこからどこまで適用されるのかわからない」
「現金で支払っていない場合、医療費控除が受けられない?」
「治療を受けた日を覚えていないと申請ができなくなってしまう?」
そんなお悩み、疑問を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで最後に医療費控除の注意点として、よくある疑問をいくつかピックアップしていきます。
医療費控除についてわからないことは確定申告の時期に税務署で相談することをおすすめします。
クレジットカードやデンタルローンは対象?
インプラント治療を受ける際、費用をクレジット決済やデンタルローンで支払う方は多いと思います。
現金以外の決済方法を使用した場合でも、実際に支払いが発生している場合は医療費控除の対象となりますのでご安心ください。
なお、デンタルローンの利息は対象外になります。
治療を受けた日ではなく、支払い日が対象です
医療費控除というと、治療を受けた日を対象として申請するイメージがありますが、実際は治療日ではなく、支払いを行った日が対象になります。
例えば年末から治療を開始して年明けに支払いを行った場合、その金額は翌年分の確定申告で申請する必要があります。
タイミングによっては申請条件の金額を満たさないことで申請ができないということも有り得るので、事前にきちんとスケジュールを立てた上で治療を進めることが大切です。
医療費控除は家族単位!と覚えておきましょう
家族が同じタイミングでインプラント治療を受けたり、矯正治療を受けたり、それ以外の医療機関で治療を受けたりすることもあるかもしれません。
こうした医療費は、全て医療費控除の対象として一括で申請が可能です。
一年間の家族分の医療費と考えると、意外と10万円を超えていることも珍しくないでしょう。
医療費控除の条件を満たすかわからないという場合でも、領収書は都度保管するようにしておくことをおすすめします。
まとめ
医療費控除は、1年間に支払った医療費の金額が10万円を超えている場合に、税金が一部還付されるという制度です。
歯科治療ではインプラントをはじめ、医療目的の矯正治療や虫歯治療、歯周病治療など幅広い診療項目が医療費控除の対象となります。
一方で、美容を目的とするホワイトニングなどは対象外となりますので注意しましょう。
医療費の控除額は条件によって異なりますが、例えば「年収300万円で100万円のインプラント治療を受けた」というケースでは、還付金及び住民税の減額でそれぞれ9万円ずつが控除されると考えられます。
インプラント治療は基本的に自費診療となるため、高額な治療費がかかってしまいますが、医療費控除を活用することで、経済的な負担を抑えながら健康なお口づくりに取り組んでいけるでしょう。