2024.02.16
根っこがない歯は差し歯ができない？噛む機能を取り戻すための3つの選択肢！
お口のトラブルには虫歯や歯周病、怪我による破折など、さまざまなものがあります。歯が少し欠けてしまった、虫歯で歯の上部が溶けてしまったというケースでは、部分的に補うための差し歯治療が可能です。しかし、虫歯が進行して歯の根っこまで破壊されている場合はどうでしょうか？今回は、差し歯治療とはどのようなものか、そして歯の根っこがない状態でできる3つの選択肢、さらに治療の必要性も含め、順を追って解説していきます。
失った歯を補うための治療
差し歯とは
「差し歯」というと、入れ歯のような着脱式のものをイメージされる方も多いかもしれませんが、実際は歯の土台に合わせて人工の歯を被せる治療を指します。
つまり、被せ物治療・クラウン治療と呼ばれるものが、本来の差し歯治療です。差し歯は大きく分けて保険適用でできるものと自費診療で選べるものがあり、治療の際には患者様の希望に合わせた素材を選ぶことができます。
保険適用の被せ物治療とは？
保険適用の被せ物は、いわゆる銀歯や硬質レジン、CAD／CAM冠と言われる素材を用いたものが一般的です。患者様のご希望にもよりますが、保険適用での治療の場合、奥歯は銀歯で、前歯はレジンで治療を行うケースが多いです。
自費診療の素材と比べて劣る印象が強い方も多いかもしれませんが、2年以内であれば破損にも無料で修理対応してもらえるなど、保険診療ならではのメリットもあります。なるべく費用を抑えて差し歯治療を受けたい！という方は、ぜひ保険診療の素材を検討してみてください。
自費診療の被せ物治療とは？
近年の歯科治療では、自費診療の素材を用いた詰め物・被せ物が注目されています。中でもジルコニアやセラミックは患者様にとっても聞き慣れたものではないでしょうか。
自費診療の被せ物は、保険適用のものと比べると耐久性があり、見た目にも優れているなどの特徴があります。奥歯の治療＝強度のあるジルコニアクラウンで、というイメージが強い方もいらっしゃるでしょう。見た目や強度にこだわりたい、費用をかけてでも美しさを追求したい！という方は、ぜひ自費診療の被せ物をご検討ください。
「根っこがなくても差し歯治療は可能？」ずばり回答します！
多数種類がある差し歯（被せ物）治療について紹介しましたが、患者様の中には「歯の根っこがない」という方もいらっしゃるかと思います。歯の根っこがなくても差し歯治療は受けられるのか…という疑問を抱かれている方も多いでしょう。
結論から言うと、根っこがない状態では、差し歯治療を受けることはできません。冒頭でも触れましたが、差し歯治療には土台となる根っこ部分が必要です。土台が失われてしまっている場合には、差し歯以外の選択肢からご自身に合った治療を選ぶようにしましょう。
歯の根っこ＝土台を失った場合の3つの選択肢
被せ物を乗せる土台が失われている状態で行える治療は、大きく分けてインプラント・ブリッジ・入れ歯の3つがあります。まずは患者様がどのような治療を受けたいか、どういった部分に重きを置いて治療を選んでいきたいかを明確にしましょう。
根っこ自体を補うインプラント治療
インプラントとは顎に人工の根っこを埋め込んで土台を作り、その上に被せ物をするという治療方法です。
自費診療になりますが、見た目が自然でしっかり噛めるなどメリットも大きいことから近年は欠損を補う選択肢として注目を集めています。
また、インプラント治療は、周囲の歯に負担をかけることなく失った部分を補えるため、お口全体の健康を重視されたいという方にとっても魅力的な治療と言えるでしょう。
治療には外科的なアプローチが必要ですが、場合によっては従来の差し歯よりも強度があり、失った奥歯も補いやすいなどリスク以上のメリットが期待できます。
根っこがない状態で「歯冠」部分を作るブリッジ治療
ブリッジは、基本的に保険適用で行える治療です。土台を失った部分の隣の歯を支えとして、橋渡しをするような形の被せ物を装着していきます。
土台自体を作る必要がないため治療の負担は少ないですが、健康な歯を少し削って被せ物を乗せる必要があるという点がリスクとして挙げられます。奥歯が一本足りない場合などに適した方法で、費用を抑えた治療や保険適用を希望される方におすすめです。
患者様の希望に合わせて作製できる入れ歯治療
入れ歯は、失った歯を補う治療として最もメジャーな方法と言っても過言ではないでしょう。保険適用で作製できるものから自費診療でこだわり抜いた入れ歯作製まで、患者様のニーズに合わせた治療が可能です。
入れ歯というとお口全体を補う総入れ歯をイメージされる方も多いかもしれませんが、差し歯の代用としては、一部分を補う部分入れ歯という選択肢もあります。
保険の部分入れ歯は金具を隣接する歯に引っ掛けて使うため、見た目が気になるという方もいらっしゃるかもしれません。
一方、自費診療の入れ歯は「見た目が目立たないようにしたい」「なるべく違和感の少ないものを使いたい」など、患者様のこだわりに合わせて作製できるというメリットがあります。
根っこがない状態や差し歯が取れた状態を放置することのリスク
もし「差し歯が取れてしまった」「根っこがない状態を放置している」という方がいらっしゃいましたら、なるべく早く歯科医院に相談されることをおすすめします。
というのも、根っこがない状態や差し歯が取れたままにしておくことは、お口にとって大きなリスクにつながる可能性があるためです。
根っこがない状態は、お口全体の歯並びにも影響を与えます
根っこがない状態をそのままにしておくと、隣接する歯が傾いてくることがあります。そうすると、噛み合わせが乱れてしまったり歯並びに影響が出たりと、お口全体の問題に発展してしまうでしょう。
インプラント治療で土台から補う、ブリッジで歯を上から支える、部分入れ歯で隙間を作らないようにするなど、ご希望に合わせた方法で治療を行うようにしましょう。
特に奥歯は、見た目が気にならないということから放置してしまっている方が多い傾向にありますが、噛むという歯本来の力を機能させるためにも、きちんと治療を受けることをおすすめします。
外れた差し歯を放置しておくと、虫歯が進行するリスクが高まります
差し歯とは、見た目に他の歯と遜色がなくても、土台の上に人工の被せ物をしているという状態です。被せ物の経年劣化やお口の健康状態の変化、根っこのトラブルなどによって差し歯が外れてしまうことも考えられます。
差し歯が取れてしまった場合は、早めに歯科医院で再治療を受けるようにしましょう。お口に大きな変化がなければ、外れた差し歯を再利用することも可能です。差し歯が取れた状態をそのままにしてしまうと、歯の根っこが虫歯に感染するなどさまざまなリスクにつながってしまいます。
とにかく「噛めない」という状態は、早めに改善しましょう！
歯にとって最も重要な働きは、噛むことです。差し歯の脱落や根っこがない状態の放置は、総じて「しっかり噛めない」という状態を引き起こしてしまうでしょう。
「まだ反対側で噛めているから大丈夫」「1本くらい歯がなくたって平気」と考えることはとても危険です。前歯が抜けてしまった場合だと見た目の問題から早めに治療を受ける方も多いですが、外から見えない奥歯は放置しがちになっていませんか？
強く噛む機能の大半を担うのは奥歯です。土台の有無にかかわらず、奥歯はきちんと補う治療を受けることをおすすめします。
まとめ
根っこの有無に合わせて、できる治療を考えていきましょう
今回は、差し歯治療に関する内容と、根っこがない場合の治療の選択肢について解説していきました。残念ながら根っこがない部分は、差し歯治療ができません。
しかし、現代の歯科治療ではインプラントやブリッジ、入れ歯といった複数の選択肢から、ご希望に合ったものを選ぶことが可能です。「根っこがないからもう治療できない」ということはありません。
まずはどのような方法で治療を受けたいかを考え、早めに歯科医院で相談されてみてください。また、差し歯のトラブルを放置している、欠損をそのままにしているという方も、お口全体に影響が出る前にきちんと治療を受けるようにしましょう。
