2026.10.22
寝ている間の歯ぎしり症状を自分でチェックする方法と歯科へ相談する時期

歯ぎしりの有無を確かめる手軽な判断基準と受診の目安
寝ている間の歯ぎしりは、起床時の顎のだるさ、歯のすり減り、家族から指摘された音の3つを手がかりに自宅でチェックできます。 無意識のうちに行われるため自分では気づきにくく、疲れのせいだと見過ごしてしまうことも珍しくありません。この記事では、自分で確認できる具体的なサインや、セルフチェックだけでは判断しきれない理由を整理しました。強い痛みがない段階で歯科医院へ相談する目安や、受診時に役立つ症状の記録方法、マウスピースの基本的な役割まで順を追って解説します。
この記事の要点まとめ
- 朝の顎のだるさ、歯のすり減り、家族からの音の指摘を手がかりに、寝ている間の歯ぎしりを振り返れます。
- 複数のサインや歯の欠け、続く違和感がある場合は、症状を記録して歯科医院へ相談しましょう。
- ナイトガードは歯や被せ物への負担を和らげる目的で使われ、装着後も定期的な点検や調整が必要です。
寝ている間の歯ぎしりは、自宅でどんな症状からチェックできる?

寝ている間の歯ぎしりを自宅で確かめる手がかりは、「起床時の顎や頭の重さ」「歯や口の中の変化」「家族が聞いた音」の3つです。歯ぎしり(ブラキシズム)には、眠っている間に起こるものと、日中起きているときに起こるものがあります。眠っている間の歯ぎしりは本人が気づきにくいため、体に現れるサインから振り返る必要があります。
歯ぎしりには主に、上下の歯を横にこすり合わせる「グラインディング」と、音を出さずに強く噛みしめる「クレンチング」があります。これとは別に、日中に上下の歯を軽く触れさせ続ける癖は「TCH(歯列接触癖)」と呼ばれ、歯ぎしりとは分けて扱われます。まずはご自身の状態がどれに近いか、順番に見ていきましょう。
起床時に出やすいサイン:顎のだるさ、こめかみの重さ、口の開けにくさ
朝起きたときに顎のまわりがだるい、こめかみや首筋が重く感じる、あくびや食事の際に口が開けにくいといった状態は、就寝中に顎の筋肉へ力がかかっていたサインと考えられます。睡眠中の歯ぎしりがある子どもで、顎まわりの筋肉の痛みなどのサインがどのくらい見られるかを調べた報告もあります。
これらの違和感が朝に強く出て、昼から夕方にかけて少しずつ軽くなるかどうかも確かめておきたい点です。起床時だけ重だるさがある場合、眠っている間に強く噛みしめている可能性が浮かび上がります。
鏡で見られる変化:歯のすり減り・欠け、舌や頬の内側の歯の跡
洗面所の鏡でお口の中を見たとき、歯の先端が平らにすり減っていたり、小さな欠けが見つかったりすることがあります。あわせて、舌のふちに歯の形に沿った波のような跡(舌の圧痕)がついていないか、頬の内側の粘膜に白い筋のような線(頬粘膜の圧痕)がないかも確認してみてください。
すでに奥歯にセラミックなどの被せ物や詰め物を入れている場合は、その表面のツヤが落ちていないか、縁に小さな欠けがないかも見ておくとよいでしょう。ただし、こうした見た目の変化だけで原因をひとつに決めることはできません。
家族が聞いた音と、日中のパソコン作業中の食いしばりを分けて振り返る
「夜中にギリギリと歯をこする音がしていた」というご家族からの指摘は、睡眠中の歯ぎしりに気づく大きな手がかりになります。ご自身やご家族からのこうした申告や問診の内容は、歯科医院でブラキシズムを診断する際にも使われる方法のひとつです1。
一方で、日中のパソコン作業や家事に集中しているとき、無意識に上下の歯が触れ続けていないかも振り返ってみましょう。唇を閉じてリラックスした状態では、上下の歯の間にわずかなすき間があるのが本来の位置です。睡眠中の歯ぎしりと日中の食いしばりは起こる場面が異なるため、分けて整理しておくと受診時に状況が伝わりやすくなります。
いくつ当てはまったら相談を考える?チェック結果の受け止め方
セルフチェックの結果から歯科医院への相談を考える目安は、「家族からの音の指摘」と「朝の顎のだるさ」のように種類の異なるサインが2つ以上重なる場合です。また、当てはまる項目が1つだけであっても、歯の欠けや噛んだときの痛みがある場合は早めの相談が向いています。
| サインの種類 | 自宅で確認できる主な項目 |
|---|---|
| 起床時の感覚 | 顎のだるさ・疲れ、こめかみの重さ、口の開けにくさ |
| 鏡で見る変化 | 歯の先端のすり減り・小さな欠け、舌のふちの波形、頬の内側の白い線 |
| 周囲の指摘・日中の癖 | 就寝中の歯をこする音、作業中に上下の歯が触れている感覚 |
ここに挙げた項目数はあくまで受診を考えるための目安であり、これだけで歯ぎしりと断定するものではありません。ご自身の状態を整理する材料として受け止めていただければと思います。
ポイント
朝起きたときの顎のだるさ、鏡で見える歯や口の中の跡、家族が聞いた音の3つから振り返りましょう。いくつかのサインが重なるときや歯が欠けているときは、歯科医院に相談してみてください。
セルフチェックで当てはまれば、歯ぎしりと決めてよい?
セルフチェックの項目にいくつか当てはまったとしても、それだけで睡眠中の歯ぎしりだと決めることはできません。似たような歯や粘膜の変化は別の理由でも起こるため、原因を見極めるには歯科医院での診察が必要になります1。
私たちは普段、家族に指摘された「音」のように分かりやすい変化には注目しやすい一方で、音の出ない噛みしめや被せ物にかかり続ける負担は見落としてしまいがちです。
歯のすり減りや舌の跡が、歯ぎしり以外の原因で起こる場合
歯の先がたいらになる変化は、年をとるにつれて自然にすり減ることや、かたい食べ物を好む食生活でも見られます。お酢やみかんなどの柑橘類、炭酸飲料のような酸っぱい飲み物や食べ物で、歯の表面が少しずつ溶けるときにも起こります。また、舌のふちの跡や頬の内側の白い線も、歯並びや噛み合わせ、舌を歯に押し当てる癖、お口のむくみなどがかかわることがあります。
冷たいものがしみる知覚過敏も、歯ぎしりだけが原因とは限りません。たとえば、ホワイトニングのあとに一時的に軽くしみることもあります2。見た目の変化や症状ひとつだけで、原因を歯ぎしりに絞り込むことはできません。
「疲れが取れれば治まる」とは限らない、ストレスと歯ぎしりの関係
大人の睡眠中の歯ぎしりとストレスとの間に関わりがみられたという報告はありますが、その根拠はまだ十分とはいえません3。それでも、仕事や生活が忙しい時期に朝の顎のだるさを感じ始める方は少なくありません。そのため「決算期や繁忙期が過ぎて疲れが取れれば、自然に治まるだろう」と考えるのは自然なことです。
しかし、忙しい時期が落ち着いたあとも無意識の習慣として歯ぎしりが続く場合があります。また、様子を見ている期間にも歯や奥歯の被せ物には毎晩のように力がかかり続けており、気づかないうちに負担が積み重なっていく点には注意が必要です。
歯科では何を確かめる?問診・口腔内カメラ・レントゲンの役割
歯科医院では、ご本人やご家族から聞いた様子に加えて、お口の中を見たり、必要に応じて機器を使ったりして状態を確かめます。具体的には、ふだんの暮らしぶりや、いつごろから気になり始めたかをお聞きします。そのうえで、歯や被せ物のすり減り方、目に見えにくい細かなひび、顎の関節の動きや筋肉の張り具合を見ていきます。
一般的には、口腔内カメラでお口の中を撮影し、モニターに映した画像を一緒に見ながら、どの歯にどのような力のサインが出ているかを説明します。歯の根や顎の骨の状態まで確かめる必要がある場合には、レントゲンや歯科用CTを使うことがあります。細かい部分はマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)などで確かめ、お口全体の噛み合わせのバランスも含めて判断します。
強い痛みがなくても、歯科へ相談してよい?

強い痛みがなくても、違和感や気になるサインがあれば歯科医院へ相談してかまいません。とくに奥歯に被せ物を入れて間もない方や、朝の顎のだるさが続いている方は、痛みがなくても早めに状態を確かめておくことが将来の歯を守ることにつながります。
家を長持ちさせるために屋根や外壁だけでなく土台や全体のバランスを点検するのと同じように、お口の中も1本の歯だけでなく全体の噛み合わせや周囲の環境を一緒に診ていく視点が欠かせません。急いで受診したい場合と、様子を見ながら相談を考える場合の目安を整理しました。
受診を急ぎたい症状:歯の痛み、被せ物や詰め物の欠け・浮き、口が開けにくい
次のような症状がある場合は、様子を見ずに早めの受診をご検討ください。
- 食事のときに噛むと特定の歯が痛む、または冷たいものが急にしみるようになった
- 詰め物や被せ物の縁が欠けた、あるいは噛んだときに浮いたような違和感がある
- 朝だけでなく日中も口が開けにくい、顎を動かすと音が鳴って痛む
こうしたサインがある場合、すでに歯の内部や根のまわり、顎の関節に強い負担がかかっている可能性があります。そのままにしておくと、歯が大きく欠けたり、せっかく入れた被せ物を外して作り直さなければならなくなったりすることがあるため、早めの確認が望まれます。
様子を見ながら相談を考えたい場合:2週間以上続く朝のだるさ、被せ物を入れて間もない場合
強い痛みがない場合でも、起床時の顎のだるさが2週間以上続いているときや、ご家族から繰り返し歯ぎしりの音を指摘されるときは、定期検診やクリーニングの機会も活用して相談することをおすすめします。また、半年以内など、最近になって奥歯の被せ物を入れた方も、噛み合わせの馴染み具合を確かめておきましょう。
セラミックをはじめとする被せ物の寿命や破損の可能性を考えるときは、材質だけを見るのでは足りません。歯ぎしりや食いしばりの癖、噛む力の強さ、噛み合う反対側の歯(対合歯)の状態、普段の食べ物の好みなどもあわせて確認する必要があります。痛みの有無にかかわらず、お口全体の力のバランスを点検しておくことが被せ物を長く保つ助けになります。
寝ている間の症状を伝えるための記録のつけ方
「寝ている間のことだから、受診しても上手に説明できないかもしれない」と心配される方もいらっしゃいます。自己申告の情報を整理しておくことは診察の大切な手がかりになるため1、受診前の数日間、スマートフォンのメモ機能などに以下の項目を記録してみてください。
1. いつ頃から朝の違和感や音の指摘が始まったか(発症時期と仕事の忙しさなどの変化)
2. 起床時の顎やこめかみの状態(だるさの強さを3段階でメモする、日中に消えるかなど)
3. 家族が歯ぎしりの音を聞いた日と、そのときの様子
4. 日中のパソコン作業中などに、上下の歯が触れていることに気づいた回数
睡眠中の音については、スマートフォンの睡眠記録アプリや録音機能を補助的に使ってみるのもひとつの方法です。夜の症状と日中の気づきを分けてメモしておくと、歯科医師に状況が伝わりやすくなります。
ポイント
強い痛みがなくても、朝のだるさが2週間以上続く場合や被せ物を入れて間もない場合は相談のタイミングです。起床時の状態や家族の指摘をメモして持参すると診察がスムーズに進みます。
マウスピースで歯ぎしりは治る?役割と通院の流れ
歯科医院で作製する就寝用のマウスピース(ナイトガード・スプリント)は、歯ぎしりそのものを根本から止める装置ではありません。主な役割は、眠っている間に無意識にかかる強い力を分散・吸収し、ご自身の歯や被せ物への負担を和らげることにあります。
特に歯ぎしりや食いしばりの力が強い方には、歯やセラミックなどの被せ物を保護する目的でナイトガードの使用をおすすめすることがあります。ここでは、その役割と作製から通院までの基本的な流れを見ていきましょう。
ナイトガードは歯を守る道具、歯ぎしりそのものを止めるものではない
「マウスピースをつければ、歯ぎしりをしなくなる」と思われがちですが、ナイトガードはあくまで歯や顎関節への負担を和らげるクッションのような役割を果たす道具です。装置が代わりに摩耗することで天然の歯や奥歯の被せ物への負担の軽減を図りますが、効果には個人差があり、強い力がかかった場合には被せ物や歯が欠けたり割れたりするリスクもあります。また、作製には型取りから装着まで何回かの通院が必要で、装着後も続けて使うことと定期的な調整が求められます。
一方で、歯ぎしりにはストレスとの関わりを示す報告もあるため3、睡眠環境を整える工夫や、日中に上下の歯が触れていたら離すといった意識づけは別に取り組む必要があります。夜の歯を守る対策と、日中の力を抜く対策の両面から向き合うことが大切です。
型取りから装着後の調整までの流れと、費用を確かめるときの観点
歯科医院でナイトガードを作製する場合、まずは問診とお口の中の診察を行い、歯型を採取します。歯型の採取には、粘土のような材料を使う方法のほか、口腔内スキャナーという小型カメラでお口の中を撮影して記録する方法が用いられることもあります。その後、完成した装置を装着し、全体の噛み合わせに合わせて細かな高さを調整するため、通院は2〜3回程度になるのが一般的です。
費用は、歯ぎしりの治療として保険で作るか、保険を使わずに作るかで変わります。保険で作るときは、ご自身の負担の割合に応じた金額になります。特別な材料や作り方を選ぶなど、自由診療(公的な医療保険が使えない診療)で作るときは、合わせて1万〜5万円ほどが一般的です。
ここに記載した金額は一般的な相場であり当院の費用ではありません。当院の費用は診察のうえでご案内します。実際の費用は医療機関や選択する治療内容により異なるため、診察・型取り・装着後の調整費がどこまで含まれるかを含め、受診先の歯科医院でご確認ください。
ナイトガードの主なリスクとして、使い続けるうちに装置そのものがすり減ることが挙げられ、定期的な点検や調整が必要です。また、強い力がかかったときには、被せ物や歯が欠けたり割れたりすることもあります。
仕事帰りに相談する場合のスケジュール調整と、作製後の点検
お仕事の繁忙期などで何度も受診する時間が取りにくい場合は、まずご自宅でつけた症状の記録を持って一度相談し、無理のないスケジュールを歯科医師と一緒に立てる進め方が向いています。当院は吹田市の大阪メトロ御堂筋線「江坂」駅より徒歩2分(北出口5号)にあり、駐車場も3台完備しているため、お車でも立ち寄りやすい環境です。
当院は月曜から土曜の9:30~13:00と14:30~18:30に診療しており、最終受付は18時です。診療時間の詳細はアクセスページでご確認ください。
また、ナイトガードは作って終わりではなく、使っているうちに少しずつすり減って噛み合わせが変化していきます。被せ物の状態や装置の削れ具合を確かめるためにも、定期検診の際にナイトガードを持参して点検を受けるようにしましょう。朝の顎のだるさやご家族からの指摘が気になるときは、一人で抱え込まずにお気軽にご相談ください。
よくある質問
Q. 市販のマウスピースと歯科医院で作るナイトガードは何が違うのですか?
A. お口全体の噛み合わせに合わせて細かく高さを調整できるかどうかが大きな違いです。 市販品は自分で温めて形を合わせるものが多く、特定の歯だけに強い力が集中したり、顎の関節に違和感が出たりすることがあります。特に奥歯に被せ物が入っている場合や顎のだるさがある場合は、歯科医院で噛み合わせを確認しながら作製・調整することをおすすめします。
Q. 歯ぎしりをしている人の特徴や、なりやすい傾向はありますか?
A. 大人の睡眠中の歯ぎしりは、日常的なストレスとの関わりを示す報告がありますが、根拠はまだ十分とはいえません3。 日中に上下の歯を触れさせる癖(TCH)や、エラの部分の筋肉(咬筋)の張り、お口の中の骨の盛り上がり(骨隆起)が気になる方もいますが、これらだけで歯ぎしりと決めることはできません。気になるときは、歯科医院で診察を受けて確かめましょう。
Q. 歯ぎしりを自分で治す方法はありますか?
A. 眠っている間の歯ぎしりは無意識の現象であるため、自分の意思だけで完全に止めることは困難です。 ただし、日中にパソコンの画面などへ目印のシールを貼り、それを見たら「上下の歯を離して肩の力を抜く」という習慣をつける方法があります。就寝前にリラックスする時間を作ることも、顎まわりの筋肉の緊張を和らげる助けになります。
Q. 一人暮らしで家族に音を確認してもらえない場合、就寝中の歯ぎしりはどう確かめればよいですか?
A. 起床時の顎のだるさや、鏡で見える歯のすり減り・舌の跡などのサインを組み合わせて振り返る方法があります1。 音の有無を確かめたい場合は、いびきや寝言を検知するスマートフォンの睡眠記録アプリを枕元に置いて眠ってみると、歯をこすり合わせる音が録音されて手がかりになることがあります。
参考文献
1. Raja HZ, Saleem MN, Mumtaz M et al. Diagnosis of Bruxism in Adults: A Systematic Review. Journal of the College of Physicians and Surgeons–Pakistan : JCPSP. 2024. PMID: 39410693 / DOI: 10.29271/jcpsp.2024.10.1221
2. 日本歯科医師会「知覚過敏 – 歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020」 https://www.jda.or.jp/park/trouble/index12.html
3. Polmann H, Réus JC, Massignan C et al. Association between sleep bruxism and stress symptoms in adults: A systematic review and meta-analysis. Journal of oral rehabilitation. 2021. PMID: 33377534 / DOI: 10.1111/joor.13142
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