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2026.02.20

歯並び矯正で「滑舌」が変わる?低学年からの小児矯正が発音に与える影響と、親ができるサポート

「最近、音読の宿題を聞いていると、特定の音が聞き取りにくい気がする」「もしかして、この滑舌の悪さは歯並びのせい?」
小学校低学年頃から、人前で話す機会が増えると、お子さんの話し方が気になる親御さんも多いのではないでしょうか。実は、お口の成長期であるこの時期、歯並びを整えることは見た目だけでなく、一生モノの正しい発音を手に入れる大きなメリットがあります。
「矯正をするともっと喋りにくくなるのでは?」という不安から、将来得られる劇的な変化まで、親御さんが今知っておきたい、矯正と発音の本当の関係を分かりやすく解説します。

 

歯並びが原因?発音に影響が出やすい3つのケース

歯並びは少なからず発音に影響を及ぼします。
発音に影響を与えやすい3つの歯並びのケースを、それぞれ詳しく説明します。

  • 前歯が噛み合わない(開咬)
  • 受け口(反対咬合)
  • 出っ歯(上顎前突)

前歯が噛み合わない(開咬)

奥歯でしっかり噛んでも、上下の前歯の間に隙間ができてしまう状態を「開咬(オープンバイト)」と呼びます。開咬は、口が笛のような構造になり、発音に大きな影響が出る状態です。
一番の影響は「サ行」などの音に現れます。本来、サ行は上下の前歯を近づけ、そのわずかな隙間から息を出すことで「スッ」とはっきり聞こえます。しかし、開咬だと隙間が広すぎるため、空気が余計に漏れてしまい「ヒュ〜」という抜けたような音や、舌が前にはみ出した「シャ」に近い不明瞭な音になりがちです。
また、無意識に隙間を埋めようとして舌を突き出すクセ(舌突出癖)がつきやすいのも開咬の特徴です。舌突出癖は、さらに滑舌を悪くする悪循環を生みます。低学年のうちに矯正でこの隙間を閉じておけば、発音に悩まされる可能性は少なくなります。

受け口(反対咬合)

通常、上の前歯は下の前歯をわずかに覆うように並んでいますが、これが逆になっている状態を「受け口」と呼びます。受け口は、言葉のハキハキ感に直結する舌の動きを制限してしまいます。
特に受け口の影響が出やすいのは、「タ行・ナ行・ラ行」です。これらの音は、舌の先を上の前歯の裏(歯茎)に弾かせて発音しますが、受け口だと舌を置く位置が本来より低くなったり、前に突き出しすぎたりするため、音がこもったような、不明瞭な響きになりがちです。また、サ行の際にも、下の歯が邪魔をして空気が正しく抜けず、独特の「シュ」という音が混じることがあります。

出っ歯(上顎前突)

出っ歯の状態は、歯そのものよりも唇の動きに大きな影響を与えます。特に、唇を一度しっかり閉じてから音を出す「パ行・バ行・マ行(唇音)」が不明瞭になりやすいのが特徴です。
出っ歯の状態では発音の際、上下の唇を合わせようとしても前歯が邪魔をしてしまい、無理に閉じようとすると口元に余計な力が入ります。その結果、破裂音が弱くなったり、モゴモゴとした話し方になったりします。また、前歯の隙間から常に空気が漏れやすいため、サ行の音が「ス」ではなく「フ」に近い抜けた音に聞こえることも少なくありません。
低学年のうちに前歯の位置を下げ、唇を楽に閉じられるように整えることは、お口周りの筋肉(口輪筋)を正しく育てることにつながります。口周りの筋力の充実が、一音一音をハキハキと、聞き取りやすく発音するための土台です。

 

矯正装置でもっと喋りにくくなるって本当?

矯正装置をつけると発音に影響が出るのでは?と心配している親御さんも多いのではないでしょうか。
矯正装置と発音の関連性について、詳しく説明します。

  • 一時的に喋りにくくなる原因
  • 喋りにくいのはいつまで?
  • 装置の種類ごとの喋りにくさ

一時的に喋りにくくなる原因

矯正装置をつけた直後に喋りにくいと感じる原因は、口の中のスペースの変化です。
口蓋(上顎の天井)を覆う拡大装置などが入ると、今まで舌が自由に動けていた場所に壁ができた状態になります。サ行やタ行など、舌を上顎に当てて出す音は、わずかな隙間の変化で音が変わってしまうため、脳と舌が新しい環境に慣れるまで、どうしても音がこもったり漏れたりします。
また、装置という異物が入ることで、口が「食べ物が入ってきた」と勘違いし、一時的に唾液の量が増えることもしゃべりにくさの原因の一つです。唾液が溜まると、どうしても「フガフガ」とした話し方になってしまいます。
しかし、これらの状態はすべて一時的なものです。
多くの場合、数日から1〜2週間もすれば、装置がある状態での「正しい舌の位置」を自然にマスターし、元通りにお喋りできるようになります。

喋りにくいのはいつまで?

多くの子供は3日から2週間で装置がある状態の喋り方に慣れてしまいます。大人が思うよりも、子供の柔軟性は驚くほど高いものです。
最初の3日間は、違和感がもっとも強い時期です。サ行やタ行が言いづらかったり、唾液が溜まりやすかったりします。この時期は無理にハキハキ喋ろうとせず、ゆっくり話す練習をしましょう。
1週間経つと。脳が装置の形を自分の一部として認識し始めます。無意識に舌の位置を微調整できるようになり、日常生活で不自由を感じることは少なくなるでしょう。
2週間後にはほとんどのお子さんが、装置を入れる前とほぼ変わらない発音に戻ります。学校の音読や発表もこの頃には普段通りこなせるようになっているはずです。
もし2週間を過ぎても極端に喋りづらそうであれば、装置の調整が必要な場合もありますので、主治医に相談してみましょう。

装置の種類ごとの喋りにくさ

小児矯正で使われる装置は、形状や口のどこに付くかによって、発音への影響が大きく異なります。親御さんが子供の装置を選ぶ際に、以下の3つのタイプを知っておくと安心です。

  • 夜間のみ装着するマウスピース
  • 日中も使うマウスピース
  • 固定式の拡大装置

もっとも影響が少ないのは、夜間のみ使用するマウスピース型です。学校では外しているため、授業中の音読や発表への影響は全くありません。次に、日中も使うマウスピース型は、全体を薄く覆うため多少の違和感はありますが、数日で慣れて滑舌もほぼ元通りになります。
固定式の拡大装置などは舌が直接装置に触れるため、サ行やタ行などの「舌を上あごに当てる音」が最初は出しにくくなります。
最初は大きな違和感がありますが、1〜2週間で舌が装置を避ける動きを覚え、自然に喋れるようになるでしょう。装置の特性を理解し、最初は「ゆっくり話せば大丈夫だよ」と声をかけてあげることが大切です。

 

矯正で滑舌が良くなるメカニズムとメリット

矯正治療を進めると滑舌が次第によくなります。

滑舌がよくなるメカニズムとメリットを3つのポイントにて、詳しく説明します。

  • 空気漏れが止まる
  • 舌のホームポジションが定まる
  • 唇の閉じやすさが正しい発音に導く

空気漏れが止まる

サ行やザ行、タ行などの音は、上下の前歯をわずかに近づけ、その隙間から息を出すことで作られます。
しかし、開咬のように前歯が噛み合わなかったり、歯の間に大きな隙間があったりすると、そこから不必要に空気が漏れてしまいます。音が抜けてヒュ〜という音になったり、不明瞭な聞き取りにくい発音になったりするのは少なからず、噛み合わせの悪さが影響しているとみて良いでしょう。

矯正治療で上下の歯が正しく噛み合うようになると、この「空気の逃げ道」がふさがれます。すると、空気の流れを一定にコントロールできるようになり、言葉にキレが生まれます。学校での音読や発表の際にも、一音一音がはっきりと届くようになり、お子さんが自分の声に自信を持てるようになるのが大きなメリットです。

舌のホームポジションが定まる

口の中は、いわば「舌という筋肉が定住する場所」です。顎が狭かったり、歯が内側に倒れていたりすると、この場所が狭くなり、舌は行き場を失ってしまいます。その結果、舌が常に下の歯を押し出したり、発音のたびに変な動きをしたりして、タ行やラ行が「モゴモゴ」とこもった音になってしまうというわけです。
矯正治療の中でも、顎を広げる一期治療を行うと、舌が自由に動ける十分なスペースが確保されます。十分なスペースが確保できれば、舌の先を上の前歯の裏にある正しい位置(スポット)に置く「ホームポジション」が定まります。
舌が正しい位置でスムーズに動けるようになれば、言葉のキレは劇的に良くなるでしょう。矯正は単に歯を並べるだけでなく、話しやすさの土台を整えることでもあるのです。

唇の閉じやすさが正しい発音に導く

出っ歯などで悩んでいる子どもにとって、矯正で唇が閉じやすくなることは、発音の明瞭さを決める大きなターニングポイントです。
バ行、マ行などの音は、一度上下の唇をしっかり閉じてから、一気に開放する「破裂」の動きで生まれます。
しかし、前歯が突出していると物理的に唇が閉じにくくなり、どうしても口が開いたままの甘い発音になりがちです。無理に閉じようとすると、今度は口元に余計な力が入り、不自然な話し方になってしまいます。
矯正治療で前歯の位置が適切に収まると、力を入れなくても自然に唇が重なるようになります。唇の筋肉が正しく使えるようになれば、一音一音がはっきりとした、聞き取りやすい発音も難しくありません。

また、唇が閉じると口呼吸が改善され、お口の中が乾きにくくなることで、滑らかな舌の動きを助けるという相乗効果も期待できます。

 

舌のトレーニング(MFT)の重要性

発音をよりよくするには舌や口のトレーニングが効果的です。

MFTの重要性と方法について詳しく説明します。

  • お口の筋トレ(MFT)がなぜ発音に欠かせないのか
  • 家庭でできるMFT

お口の筋トレ(MFT)がなぜ発音に欠かせないのか

矯正装置が「ハードウェア」なら、MFTは「ソフトウェア」の更新に例えられます。
歯並びが整っても、舌を突き出すなどの悪い癖が残ったままだと、発音はきれいになりません。
例えばサ行が苦手な子は、舌の筋力が弱く、発音のたびに舌が歯の間からはみ出してしまう傾向があります。MFTでお口周りの筋肉を正しく鍛えておけば、やがては舌を正しい位置に素早く、正確に動かせるようになるでしょう。
また、MFTは後戻りを防ぐためにも不可欠です。舌の筋肉が正しく機能していれば、天然の保定装置となり、矯正後のきれいな歯並びとハキハキとした滑舌を一生維持する力になります。
装置で形を整え、MFTで正しい動きを覚え込ませる両輪が揃って初めて、お子さんの自信あふれる話し方が完成するのです。

家庭でできるMFT

家庭でのMFTは、特別な道具を必要とせず、親子で遊びながら「お口の正しい使い方」を学べる貴重な時間です。
まずは基本のスポットチェックから始めましょう。お口を閉じているとき、舌の先が上の前歯の少し後ろにある、ポコっと膨らんだ歯茎に触れているか確認してみてください。ここに舌を置く習慣がつくだけで、発音の土台が整います。
具体的なトレーニングとしては、「あいうべ体操」が有名です。「あー」で口を大きく開き「いー」で横に広げ「うー」で前に突き出し、最後に「べー」と思い切り舌を出します。これを毎日繰り返すだけで、唇や舌の筋肉が鍛えられ、滑舌が良くなるだけでなく口呼吸の改善にもつながります。大切なのは、歯磨きのように「毎日の習慣」にしてしまうことです。最初から完璧を目指す必要はありません。

 

小児矯正が繋ぐ明るい未来〜安岡デンタルオフィス江坂院より

歯並びで発音に支障をきたすことはあっても、小児矯正治療の過程で発音が悪くなることはありません。装置の装着当初は一時的に発音しにくくなることがありますが、矯正の効果とともにやがては正しい発音が身につきます。
将来の発音に支障をきたす可能性を考慮すると、できるだけ早めに矯正治療に取り組んでおいた方が得策です。
安岡デンタルオフィス江坂院は、お子さまの自信と明るい笑顔をサポートします。歯並びの良さやハキハキとした発音は、自信の源です。
お子さまの歯並びや発音が気になる方は、お気軽にご相談ください。将来を見据えた最適なご提案をさせていただきます。

 

小児矯正について詳しくはこちら

 

この記事の監修医師
安岡デンタルオフィス院長
長野 繫彦
スタディーグループ歯庵、大阪SJCD 会員、COI(国際口腔インプラント学会) 会員、学術団体JAID 会員

目標を持つことが人の努力を支えると考え、歯科医療においても患者様の価値観に合った目標を共に作り上げることが大切です。痛みを治すだけでなく、人生を豊かにする歯科医療の実現が私の目標です。監修者プロフィール詳細を見る⇒

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