2023.06.28
インプラント治療は保険が適用される?将来性や高い理由について解説!
インプラント治療は基本的に「自費診療」です
失った歯を補う治療というと、インプラントをはじめ、入れ歯やブリッジなどの方法もあることをご存じの方は多いでしょう。その中で、インプラントだけが保険適用外であることに疑問を覚えたことがある方もいらっしゃると思います。
前提として、インプラント治療は全てのケースで保険が適用されないわけではありません。実は、一定の条件を満足している場合飲み、保険適用でインプラント治療が受けられるのです。
とは言え、保険が適用される範囲は非常に狭いため、一般的な治療はほぼ自費診療で行われます。
インプラント治療で保険が適用されるケースとは?
インプラント治療の一部で保険が適用になったのは平成24年のことです。国が定めた一定の条件を満たすことで、保険が適用されるようになりました。
しかしその範囲は狭く、一般的な治療ではほぼ適用外になってしまうのが現状です。
インプラントが保険適用されるケースの一例を下記に挙げます。
- 生まれつき、顎の骨が「3分の1以上連続して欠損している」ケース
- 生まれつき、顎の骨が正しく形成されない「形成不全」と診断された場合
このように、先天的な疾患であることが認められた場合のみ、保険適用でインプラント治療が受けられるようになりました。
インプラントが保険適用されない理由とは?
歯科治療では、一般的に見た目にこだわった「審美治療」が自費診療、お口の機能を取り戻す治療は保険診療という考え方があります。ならばどうして、噛む機能を改善するインプラントが保険診療に含まれないのかと疑問に思われることでしょう。そういった疑問を解消するために、ここからはインプラントが保険適用されない理由について、解説していきます。
インプラントは、他に選択肢がある外科治療という特徴があります
まずは「他に選択肢がある」という部分について考えていきましょう。
歯を失ってしまった場合の治療法は、インプラント以外にもいくつかの選択肢があります。失った歯の両隣へ橋渡の要領で被せ物をするブリッジ治療、広範囲の欠損を補う場合には入れ歯治療も効果的です。
こうしたインプラント以外の選択肢があることで、インプラント治療は「最低限必要な治療」と見なされていないのが現状です。
その上で、治療には外科処置が必要という面でコストがかかるということも、保険診療が適用されない理由の一つです。
他の治療法と比較して、審美性にこだわった治療と考えられています
インプラント治療を選択される方の中には「見た目が自然だから」「入れ歯やブリッジよりも審美性に優れているから」というメリットを重視される声も少なくありません。
事実、インプラントは他の治療と比べて見栄えにもこだわった治療方法です。
審美的なメリットが大きい一方で、保険適用でここまでする必要がないと判断されてしまっているのです。
インプラント治療で使用するセラミックを用いた治療も同様に自費診療に分類されます。
インプラント治療はどうして高額になってしまう?
歯科医院によって詳細な費用は異なりますが、一般的には1本あたり30万円〜40万円ほどに設定されていることが多いでしょう。他の治療方法と比べると、驚くほど高額です。
インプラントの他にも保険が適用されない治療はさまざまありますが、流石にここまで高額な治療は矯正治療くらいしかありません。
インプラント治療は、なぜここまで高額なのでしょうか?その理由について、詳しく見ていきましょう。
対応できる歯科医師が少ないという背景があります
インプラント治療は、歯科治療の中でも比較的難易度が高いものだと言われています。検査の段階から正確さが求められ、外科処置には高度なスキルが必要です。
患者様によってお口の状況はさまざまであり、画一的な治療が行えません。
そのため、歯科医師には豊富な経験と高度な技術が必要なのです。このように専門性の高い人材を確保するために、治療費が高くなってしまう傾向があります。
設備費が高いのもインプラントのリスクの一つです
インプラント治療を行うためには、さまざまな設備や材料が必要です。
リスクを軽減して安全に処置を行うためのコンピュータシステムなどを揃えようとすると、かなりのコストがかかってしまいます。
さらに、治療に使用する良質なインプラント体を導入するためにも費用がかかります。
設備費や材料費が高額になるため、一般的な歯科治療に比べてインプラント治療の費用が高くなってしまうのです。
インプラント治療が高額の理由
インプラント治療は、1本あたり約30万円〜40万円と高額です。
そもそもなぜここまで費用が高額なのでしょうか?
理由は、インプラント治療における高いスキルを持った歯科医師が少ないこと、また設備費が高額であることが挙げられます。
次から詳しく紹介していきます。
インプラント治療ができる人材が少ないため
インプラントは、手術もさることながら、検査の段階から知識や正確さといった高度なスキルが求められます。患者さんごとの状態や希望に合わせてカスタマイズが必要で、治療を行う歯科医師には豊富な経験と高度な技術が不可欠です。しかし、このような専門的な人材はまだまだ少なく、需要に対して供給が追いついていないのが現状です。
高度な技術を習得するために、歯科医師は研修を受けたり、海外で技術を学んだりすることもあります。このように専門性の高い人材を確保するために、治療費が高くなってしまう傾向があります。
設備費が高いため
インプラント治療には、高額な設備や材料が必要とされています。
例えば、正確な検査をするためには、3DCTと呼ばれる検査器具が必要ですが、その費用は約2,000万円にも上ります。さらに、治療に使用する良質なインプラント体や外科手術に必要な設備も高額です。
これらの設備や材料は、安全で長期的にインプラントを維持するために欠かせません。設備費が高額になるため、一般的な歯科治療に比べてインプラント治療の費用が高くなります。
今後インプラントが保険適用になる可能性は?
上記の理由から考えると、将来的にもインプラントが保険診療の範囲に含まれる可能性は低いと言わざるを得ません。
専門性が求められ、それだけのコストをかけなくてはならないうえに、他の治療方法という選択肢がある中であえてインプラント治療を選ぶことは、最低限の治療とは認められないでしょう。
とは言え、日々進歩する歯科医療の中でインプラントが「敷居の高い治療」のままであるとも言い切れません。
これからの保険制度の改革によって、保険適用の範囲が広がる可能性もゼロではありません。
明確にいつから、という話は難しいのが現状ですが、より多くの方がもっと身近にインプラント治療を検討できる体制ができることを願います。
インプラント治療を受けたい!という方に知っておいていただきたいこと
インプラント治療は保険適用外で、高額な費用がかかってしまうのが現状です。
しかし、歯を失ってお困りの方の中には「どうしてもインプラント治療を受けたい!」「他の治療方法ではしっかり噛めなかった」という方も少なくありません。
インプラントが持つ「見た目の自然さ」と「本物の歯に近い噛み心地」は、他の治療では得られない大きな魅力です。
次の項目では、インプラント治療を検討されている方に知っておいていただきたい内容です。少しでも費用を抑え、納得のいく治療に繋げていただけたら幸いです。
医療費控除を利用することで節税に繋げていきましょう
医療費控除とは、「1年間に合計10万円以上を医療費として支払った場合、納めた金額の一部が返金される」という国の制度です。
インプラント治療は原則保険適用外の治療ですが、医療費控除の対象になっています。
治療を受けたご本人様、そして生計をともにするご家族の医療費が年間(その年の1月1日~12月31日までの期間)で10万円を超えた場合には、しっかり確定申告をするようにしましょう。
複数の歯科医院を比較する
自費診療の治療を受ける際には、ぜひセカンドオピニオンをおすすめします。
保険診療であれば、どの歯科医院であっても費用は一律です。しかし、自費診療の場合、医療機関ごとに価格を設定できるため、治療にかかる費用は歯科医院によって異なります。
また、使用する素材や機材なども歯科医院によって異なるので、ご自身の希望に合った場所で治療を受けることが大切です。
比較する際には、インプラント治療の経験や症例が多くある場所、専門の歯科医師が在籍している場所、メンテナンスまでしっかり対応してくれる場所を選ぶことがポイントです。
安さだけで選んでしまうと、せっかく治療を受けても長持ちしなかったり、理想と違う治療になってしまったりする可能性もあります。
まとめ
歯を失った際の治療法には、いくつかの種類があります。その中でも機能性・審美性の両方に優れたインプラント治療は、多くの患者様に注目されている方法です。
一方でインプラントは保険適用外の治療となってしまうため、費用の負担が大きくなってしまいます。その背景には、インプラント治療にかかるコストや専門性の高さといった理由があります。
それでも「インプラント治療を受けたい!」という場合には、まずはいくつかの歯科医院で相談されてみることをおすすめします。
費用面だけではなく、歯科医師の経験や実績、アフターフォローなども含めてしっかりと確認して、納得できる歯科医院で治療を受けるようにしましょう。