歯科医師が教える歯の健康のための【歯のコラム】

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親知らずの抜歯や顎関節症を治療する「口腔外科」とは

歯科医師が教える歯の健康のための【歯のコラム】

2018.11.01

医療は、医科と歯科にわかれます。
内科や脳神経外科などは医科で、医科の先生は医師免許を保有しています。
歯と口と顎を診る歯科の先生は歯科医師免許を持っています。

そして歯科医療のなかに「口腔外科(こうくうげか)」という領域があります。
「外科」とついていますが、歯科です。

ちなみに虫歯や歯周病を治す歯科クリニックのいわゆる「歯医者さん」は「一般歯科」と呼ばれることがあります。
専門分野を分けることで、口腔外科も一般歯科も、より高度な歯科医療を提供することができます。

され、その口腔外科では、抜くことが難しい親知らずの抜歯や顎関節症(がくかんせつしょう)などで、外科処置を行っています。

口腔外科の「治療内容」を安岡デンタルが紹介します。

抜くことが難しい親知らずとは

抜くことが難しい親知らずとは

親知らずとは20代ごろに生えてくる歯で、上下の歯の左右の最奥部に計4本あります。
ただ人によっては親知らずが1本も生えなかったり、1~3本しか生えない人もいます。

親知らずの抜歯は、一般歯科、つまり地域の歯科クリニックでも行います。
しかし、親知らずは通常、縦方向に成長するのですが、なかには横方向に成長してしまうことがあるのです。

親知らずは「健康な歯」なので、通常の生え方をしていても抜くことは簡単ではありません。
それが横に生えたり斜めに生えたりしたら、抜歯は困難を究めます。
メスで歯肉(歯茎)を切開して、歯の根や顎の骨を露出させて抜かなければならないこともあるのです。

そうなると口腔外科の歯医者の出番になるわけです。

親知らずの抜歯の難しさは、レベル1から8まであります。

例えば、下顎の親知らずが下に向かって成長し、さらに2本の歯根が異なる方向に伸びていると、レベル5となります。

「下の親知らずが下に向かって成長する」とは、成長するほど奥に向かって進んでいってしまうのです。

2本の歯根が異なる方向に伸びていると、歯根を引っ張るだけでは抜けないので、親知らずを割ってから抜き出すことになります。

レベル5の親知らず抜歯手術は1時間以上かかります。

親知らずが歯肉の下に埋没していて、なおかつ水平に成長して他の健全な歯を押すようになると、レベル7や8と判定されます。

このレベルになると、高いレベルの抜歯スキルを持つ口腔外科歯科クリニックでも手に負えず、大学病院などで抜くことになるかもしれません。
手術が2時間以上に及ぶことも珍しくありません。

親知らずの抜歯方法

親知らずの抜歯手術では、歯肉を切開して親知らずの歯根と顎の骨を露出させた後、ドリルを使って顎の骨を削ったり、親知らずを割ったりします。

親知らずの抜歯は通常は局所麻酔で行いますが、大学病院で行う「大手術」では、全身麻酔を使うこともあります。
入院が必要になることもあります。

親知らずの抜歯のリスク

親知らずの抜歯リスクは、生え方が悪く抜きにくくなるほど高まります。
歯の根の近くには、上顎神経(頬骨神経や眼窩下神経、上歯槽神経など)と下顎神経(頬神経、耳介側頭神経、下歯槽神経、舌神経など)が走っているからです。

生え方が悪い親知らずは一般の歯よりさらに神経に近付いていて、抜歯するときに神経を傷つけてしまうことがあるのです。

また歯の近くには太い血管も通っています。 親知らずの抜歯には次のようなリスクがあります。

●舌の感覚がなくなる
●味覚障害
●出血
●口腔と上顎洞(じょうがくどう)の貫通

「口腔と上顎洞の貫通」について解説します。

上顎洞とは、上顎の上部の「骨の空洞」のことです。
そして上顎洞は「顎」と書いてありますが、どちらかというと鼻の空洞で「副鼻腔」の一種です。

上顎に生える親知らずでは、まれに、歯の根が上顎洞に突き出てしまっていることがあるのです。
この親知らずを抜くと、口のなか(口腔)と上顎洞(鼻の穴)がつながってしまいます。
そのため、口から飲んだ水が鼻から漏れてくることがあるのです。

口腔外科ではこうしたリスクにも対応しながら難治療を行います。

顎関節症の治療

顎関節症の治療

顎関節症は顎がカクカクしたり、痛みで口が開けられなかったりする病気で、口腔外科で治療します。

顎関節症を放置しておくと、頭痛や耳鳴り、目の痛み、さらに手足のしびれにまで進んでしまいます。

顎関節症の8割は外来治療で対応します。
スプリント(またはプレート)と呼ばれる器具を使って噛み合わせを調整(咬合調整)したり、関節腔注射をしたりします。

そして残り2割の重症の顎関節症では、手術が必要になることもあります。
顎関節の形(形成)を直接物理的に修正していくのです。
顎関節症の手術は、口腔外科のなかでも大学病院などの大きな歯科医療機関で行います。

口腔外科で診るそのほかの病気

口腔外科ではそのほかに、口のなかにできた嚢胞(のうほう)や腫瘍を取り除く手術も手掛けます。
腫瘍のうち悪性腫瘍(がん)は、医科と協力して治療することが一般的です。

また、交通事故などで顎の骨が損傷したときの整復や固定も口腔外科で行います。
医科の整形外科でも「骨をつなぐ」ことはできますが、歯や顎の骨は生活の質(QOL)に大きく関わる「噛み合わせの調整」が必要なので、口腔外科で診るのです。

顎の発達異常で変形した場合、口腔外科の歯医者と矯正歯科の歯医者が共同で治療にあたることもあります。

唇や上顎、口蓋(口の天井)が割れて生まれてくる唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)という先天性の病気も口腔外科の領域です。

そのほか、顎が外れる顎関節脱臼も口腔外科で診ます。

まとめ~異なる病気だから別の歯科診療科で診る

一般歯科と口腔外科の共通点は「歯や口や顎を診る」ことと「歯医者が治療する」ことぐらいで、それ以外はまったく異なる歯科診療科といえます。

口腔外科は手術がメーンになります。
しかも一般歯科の歯医者が手に負えない難治症例を診ることが多いので、口腔外科での治療はリスクが高くなったり治療期間が長期化したりします。

一般歯科と口腔外科はお互いに連携しながら患者さんの歯と口と顎を守っているのです。

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