2016.11.20
知覚過敏は正確にどこが染みて痛くなるの?
とにかく刺激物が歯にしみて痛くてしょうがない知覚過敏。歯がしみてるの?歯茎がしみてるの?とよくわからない方が多いと思います。知覚過敏とは何かをよく知ることで、予防や症状の悪化を防ぐことに役立てましょう。 ■まずは、歯の全体構造を把握しよう 歯は、歯槽骨という骨と、その周りにある歯肉(歯茎)によって支えられています。歯自体は、歯槽骨に突き刺さっている部分の外側がセメント質、内部は象牙質と象牙血管、その中を通る歯髄神経や血管で、私たちが見ている白い歯の部分は、内側が象牙質で外側はエナメル質でおおわれています。つまり、私たちが普段磨いている白い歯の部分はエナメル質で、その中身が象牙質というわけです。 ■知覚過敏のメカニズムはこうなっている! 歯の全体構造を把握したところで、本題の知覚過敏の原因についてご説明します。とても簡単に言ってしまえば、「内側に隠されているはずの象牙質がむき出し、あらわになってしまった」からです。象牙質は、その性質上とても刺激に弱く、少しの刺激に対してもとても大きく反応してしまいます。少し冷たい水を飲んだだけでも、「外部から刺激を受けたー!!」と大騒ぎして、痛みとして脳に伝えてしまうのです。つまり、知覚過敏で正確にどこがしみているのかという質問に答えるとするならば、「象牙質」が答えとなります。
象牙質がむき出しの状態になって空気に触れることがなければ、しみる痛みも感じず知覚過敏になることもありません。では、一体どうして象牙質がむき出しになってしまうのでしょうか。それは、象牙質を守っているエナメル質が傷ついていたり剥がれてしまっている場合、また、歯茎がやせて下がってしまうことで、隠れていた象牙質が表に出てきてしまうことが主な原因です。エナメル質は、刺激に弱い象牙質を外部の刺激から守るはたらきをしています。そのエナメル質に傷が入ったり、エナメル質自体がはがれてしまっては、象牙質を刺激から守ってくれるものがなくなってしまいます。歯茎は、エナメル質でおおわれていない部分の象牙質をカバーしています。私たちが歯磨きする際は、エナメル質でおおわれいる部分しか磨いていませんが、その下にも歯はもちろんあって、その部分の象牙質を歯茎がカバーしているのです。歯周病や口内トラブルで歯茎がやせて下がってしまったり、歯茎自体がめくれてしまったら、象牙質はむき出しの状態になります。外部からの刺激を直接受けることになってしまうのです。
知覚過敏は一体どこがしみているのか……その答えは、「象牙質」であるということがわかりました。そして、その象牙質を刺激から守ってくれているのはエナメル質と歯茎であるということもわかりましたね。そうすると、知覚過敏を予防、または症状の悪化を食い止めるには、エナメル質と歯茎にダメージを与えず健康的な状態を保つことが大切だということがはっきりと理解できます。 白くつやつやと輝いている歯は、エナメル質が良い状態であるということ。歯をゴシゴシと強い力で磨いたり、研磨剤の入った歯磨き粉をたっぷりとつけて長時間歯を磨くことは、歯の表面の汚れだけでなく、エナメル質まで削ってしまう可能性があります。また、毛束がかたい歯ブラシも要注意です。エナメル質は意外とデリケートなので、歯磨き粉は少なめに、そして、歯ブラシは歯に優しく触れさせて、ソフトタッチで優しく磨いてあげてください。 歯茎に関しては、歯周病と深くかかわっていることが多いです。歯周病で歯茎が歯周病菌などの細菌からダメージを受けて炎症を起こすと、まず腫れたり歯茎から血が出たりします。だんだんと歯茎が歯周病菌に侵されていき、歯茎や歯の周辺組織が弱まり、歯茎がやせていってしまいます。そうすると、しっかりと象牙質をおおって張りのあった歯茎が、弱弱しく下へとさがっていき、象牙質をカバーできなくなってしまうのです。歯周病からも知覚過敏を起こす場合があるということは、しっかり頭に入れておきましょう。気になることがあれば、安岡デンタルオフィスに歯科検診や相談してみましょう。