2018.03.25
美味しくご飯を食べるために知っておきたい知覚過敏のこと
知覚過敏と虫歯のちがい
知覚過敏も虫歯も、歯がしみたり痛みが伴うことが特徴的です。「虫歯かな?」と思って歯医者さんに行くと、実は知覚過敏だったということはよくあります。知覚過敏と虫歯の大きな違いは、症状の出方にあります。
知覚過敏の場合、歯に何らかの刺激を受けることでしみたり痛みを感じます。しみる・痛むといった症状は長くても1分ほどで治まり、後を引くことはほとんどありません。
一方虫歯の場合は、何の刺激を受けていなくてもしみたり痛みを伴ったり、一度しみ・痛みの症状が出るとだんだんと痛みが強くなってきたり、症状が長引くことがあります。知覚過敏の症状は一時的なものですが、虫歯の症状は継続性があるのです。
「歯がしみるな、痛いな」と感じたとき、症状が一時的なもので、それが何度も繰り返されるようあれば、虫歯ではなく知覚過敏かもしれません。
知覚過敏の原因とは
冷たいものだけでなく、甘いものや酸味のあるもの、さらには歯に何かが当たるだけで歯がしみたり痛みがでる知覚過敏。虫歯ではないとすると、何が原因で起こるのでしょうか。
知覚過敏の症状が出る部分は歯の表面と思いがちですが、実は、象牙質という歯の内部の組織が露出した歯の根の部分でしみや痛みを感じています。歯の表面というのは、空気が触れる部分は通常エナメル質というものに覆われており、たとえエナメル質を削ったとしても、歯に痛みを感じることはありません。しかし、歯の根の部分はエナメル質に覆われておらずむき出しになっているので、冷たいものや刺激のあるもの、歯ブラシなどの物質が当たると、その刺激が内部の神経に伝達され、痛みとして表れることになります。象牙質はエナメル質とはちがい、痛みを感じる部分なのです。
口内環境が整っていて何のトラブルもなければ、通常象牙質は歯茎に覆われているのでしみたり痛みを感じることはありません。ですが、何らかの原因で象牙質がむき出しになると、刺激が痛みの症状として出てくることになります。
■歯周病
歯周病とは、食べかすや口内細菌が歯と歯の間や歯と歯茎の間に溜まっていくことで、歯の歯周組織が炎症を起こす疾患です。歯茎が腫れたり、出血したりすることがあります。さらに病状が悪化すると、歯周病が歯茎の奥へ奥へと進行していき、歯茎がやせてしまって歯の根の部分が露出してしまったり、最悪の場合は歯を支える骨が弱り、歯が根元から抜け落ちてしまうことがあります。歯茎がやせ細ると歯の根の象牙質がむき出しになるので、知覚過敏の症状を引き起こしやすくなります。
■歯のすり減り
食事をしたり歯を磨いたりと、日常生活を送っているだけでもわずかですが歯はすり減っていきます。すり減り方は人によってそれぞれですが、毎日必要以上に力をこめてゴシゴシと歯みがきをしていたり、歯ぎしりや食いしばりのクセがある方は、歯を余計に削っている可能性があります。歯の表面のエナメル質が削られていき、象牙質があらわになってしまうと、しみる・痛むなどの知覚過敏の症状がでてきます。
■歯が溶ける
日々の食事のほとんどは酸性のものなのですが、特に炭酸飲料や酸味が強いものを食べ続けると歯の表面が溶けてきてしまうことがあります。炭酸ジュースや発泡性のお酒をよく飲むという方は、エナメル質が酸によって溶かされてしまい、知覚過敏を引き起こす可能性が高くなります。
美味しく楽しく食事をするためにできる対策
知覚過敏は、歯の表面が削れたり、歯茎がやせて下がってしまうことによる象牙質の露出が原因ということがわかりました。では、知覚過敏にならないように、または知覚過敏の症状をやわらげるためには、どのような対策をすればよいのでしょうか。
■正しい方法で歯みがきをする
歯ブラシを大きく動かしながら、力を込めてゴシゴシと磨いてはいませんか?歯ブラシを大きく動かしていては、歯と歯や歯茎の間の汚れや細菌を取り除くことが難しく、歯の隙間に歯垢をため込んでしまいます。知覚過敏の原因となる歯周病を引き起こす可能性が高まりますので、歯を1本1本丁寧に磨くよう心掛け、歯と歯茎の間にブラシの毛先が当たっているか確認しながら磨きましょう。また、あまり力を込めて磨いてしまうと歯の表面を削り取ってしまいますから、歯みがきをするときは優しく丁寧に磨くようにしましょう。
■歯医者さんの定期健診を受ける
歯に何のトラブルがなくとも、数か月に1度は歯医者さんで定期健診を受けましょう。歯周病など歯のトラブルは、病状が進行するまで気が付かないことがよくあります。予防や病気の早期発見、対処につながりますから、歯医者さんできちんと診察してもらうことが大切です。