2025.03.15
乳歯が抜けない原因は?歯の生え変わりのメカニズムをご存じですか?
乳歯が抜けるタイミングについて
乳歯が抜けて永久歯に生え変わる年齢は、ある程度決まっています。
とはいえ、あくまでも生え変わりには個人差があるため、必ずこの時期に抜けなくてはならない、というものではないということを事前に知っておきましょう。
まずは、乳歯が抜ける時期(あくまでも目安です)と、生え変わる順番について紹介していきます。
乳歯が抜け始める時期
乳歯が抜け始めるのは、大体6歳前後と言われています。
小学校に進学するくらいのタイミングで永久歯に生え変わるお子さんが多いでしょう。
乳歯が抜けていく順番
生え変わりは、手前から奥へかけて進むことが一般的です。
まずは下の前歯が2本、それから上の前歯が2本生え変わります。
その後、前歯に隣り合う横の歯が生え変わり、左右の手前の歯、そして最後に奥歯が生え変わります。
本来抜けるべき乳歯が抜けないのはなぜ?
本来抜けるべき乳歯が抜けない原因としては、いくつかの可能性が考えられます。
以下では、その主な原因となるものをいくつかピックアップしていきます。
永久歯の先天的な欠如が原因となっているケース
乳歯を押し上げる永久歯がない場合、乳歯はそのまま歯茎に収まっているでしょう。
先天的な欠如は、遺伝によって起こると言われています。
歯科医院でレントゲンを撮った際に、歯茎の中に永久歯がない場合には、生まれつき永久歯が少ない状態と診断されます。
永久歯の萌出異常
永久歯が正しい位置に向かって成長していない場合、乳歯を押し上げる力が不足してしまい、乳歯が抜けないままになってしまうことがあります。
永久歯が異なる方向に生えてしまうケースや、歯茎や顎骨の中に埋まったままの永久歯は、専門的な治療を行うことで改善されます。
乳歯の根が吸収されない
通常、乳歯は永久歯の萌出に伴い、根っこが徐々に吸収されて自然に抜けやすくなるものです。
しかし、何らかの原因で根っこが完全に吸収されないことがあり、そうすると乳歯が抜けにくくなってしまうでしょう。
根っこが吸収されず乳歯が自力で抜けない場合には、専用の処置を行う必要があります。
乳歯が抜けないときに考えるべき対処法
「なかなか乳歯が抜けず、永久歯が生えてこない」「永久歯がズレて生えてきてしまったらどうしよう」など、お子さんの歯の生え変わりに関する悩みは尽きません。
乳歯がなかなか抜けないという場合には、親御さんお一人で悩まず、以下のような対処法を検討してみてください。
まずは歯科医院で相談してみる
わからないことや不安に思うことがあった場合には、歯科医院で相談してみることが大切です。
歯科医院ではレントゲンや歯科用CTなど専門的な検査機器を用いて乳歯と永久歯の状態を検査できます。
「もしかしたら永久歯がないのかも」といったご不安を解消することもできるでしょう。
リスクがなければ自然に抜けるまで様子をみるのも◎
レントゲンなどの検査結果を踏まえて、永久歯が歯茎の正しい位置に埋まっている状態であれば、もう少しの間、経過観察をしても良いかもしれません。
しばらく様子を見て、乳歯がグラグラしてきたら自然と永久歯に生え変わるでしょう。
検査結果に応じて抜歯も検討
「このままでは永久歯がズレて生えてしまう」など、乳歯が残っていることでお口の状態が悪くなってしまうようであれば、抜歯を検討しましょう。
後々、歯並びの治療をすることを考えると、早めに抜歯をして歯並びを安定させてあげる方がお子さんにとっても負担が少なく済みます。
抜歯した方がいい乳歯とは?
乳歯が自力で抜けない場合、かつ、お口全体の健康状態に悪影響を及ぼす可能性がある場合には、歯科医院で抜歯を提案されることがあります。
なお、抜歯の際には麻酔を使用して痛みがないように処置を行いますのでご安心ください。例えば以下のような状態がみられる場合には、お口全体の健康を守るために乳歯を抜いてしまうことが多いです。
乳歯自体が折れていたり割れていたりする場合
綺麗に抜けていない乳歯は、歯茎に炎症を起こしたり、その後生えてくる永久歯の邪魔になってしまったりします。
そのため、部分的に残っている乳歯に関しては歯科医院で早めに抜歯してしまうことが望ましいです。
すでに永久歯が生えてきている場合
乳歯が残っているにもかかわらず、内側や外側から永久歯が生えてきているケースは多くみられます。
こうした場合にも、不要となった乳歯は抜いてしまう方がいいでしょう。
乳歯を放置することは、永久歯のバランスが悪くなってしまったり、虫歯になりやすくなってしまったりとデメリットが大きいです。
乳歯の周りの歯茎が炎症を起こしている場合
抜けない乳歯と、その下から生えようとする永久歯の力によって、周囲の歯茎が押されて炎症を起こしてしまうことがあります。
放置していると永久歯が萌出できないだけでなく、歯茎の痛みにもつながるため、乳歯を抜歯して永久歯のスムーズな萌出をサポートします。
「子どもの乳歯が抜けない」という場合によくある質問
いつかは抜けると思っていても、周りの子どもと比べて極端に生え変わりが遅いと心配になってしまうのも当然です。
以下では、子どもの乳歯が抜けない場合によくある質問をいくつか紹介していきます。
乳歯が抜けない=永久歯は生えてこない?
本記事で紹介した内容にはなりますが、乳歯が抜けない状態でも永久歯が生えてくるケースはあります。
こうしたケースを二重歯列と言い、歯並びや噛み合わせ、虫歯などのリスクが高くなってしまうため、早めに乳歯の処置を行う必要があります。
そもそも、永久歯がないかもしれないことが不安
先天性欠如の場合、乳歯が抜けづらいことはもちろん、その後に永久歯が生えてこないため歯の欠損が生まれます。
こうしたケースでは、歯の欠損を補う治療を行ったり、矯正治療を用いて欠損部分の隙間を改善したりする治療を検討しましょう。
永久歯がないから一生抜けたまま、ということはありませんのでご安心ください。
昔のように、糸を引っ掛けて抜くべき?
一昔前によくみられた方法ですが、お子さんの負担を考えると推奨できる方法とは言えません。
過度な力で引っ張ることで歯茎を傷つける可能性があることはもちろん、傷口から感染症を引き起こしたり、そもそも歯がうまくぬけず根っこが残ってしまったりするリスクも考えられます。
グラグラしているのが気になってしまう場合には、歯科医院で抜歯を行うことを検討しましょう。
乳歯が抜けるまで親子で取り組むべきこと
遅かれ早かれ、乳歯はいずれ永久歯へと生え変わることがほとんどです。
平均よりも少し生え変わりが遅い程度であれば、成長の個人差として考えても良いでしょう。
一方で、専門的な診療や経過観察が必要と認められた場合には、歯科医師の判断に沿って治療を行うようにしましょう。
以下では、お子さんの乳歯が抜けて健康な永久歯は生えてくるために、親御さんに知っておいていただきたいポイントをご紹介していきます。
永久歯が生えそろうまで、定期的に歯科医院で検査をしましょう
乳歯から永久歯に生え変わるタイミングは、虫歯のリスクが高くなる傾向があります。
なかなか乳歯が抜けない部分と、すでに永久歯が生えている部分では、歯の高さが違ったり隙間ができていたりすると思います。
こうしたスポットから虫歯や歯周病を引き起こさないためにも、定期的に歯科医院でクリーニングを受けたり、乳歯の状態をチェックしたりしていきましょう。
歯間ブラシやフロスを使って丁寧な予防に取り組みましょう
これまで歯ブラシでのケアのみ取り組んでいたという場合には、セルフケアの中で歯間ブラシやデンタルフロスを取り入れることも検討してみてください。
歯間ブラシやフロスは、歯ブラシでは落としきれない隙間の細かい汚れを除去するのに効果的です。
歯並びに違和感を覚えたら、早めに歯科医院で相談しましょう
乳歯がなかなか抜けないことで、お口全体の歯並びに影響を与えてしまう可能性があります。
歯並びは日々少しずつ変化していくため、噛んだ時にズレた感じがする、うまく噛めないなど、お子さんが違和感を訴えた場合には早めに歯科医院で相談するようにしましょう。
早い段階で歯並びを改善する治療をできれば、お子さんの負担も軽減されます。
まとめ
多くのお子さんは、小学校に上がる頃から卒業する頃までにお口全体の乳歯が永久歯に生え変わっていきます。
しかし中には、自力で乳歯が抜けず、抜歯を必要とするお子さんも多くいらっしゃいます。
抜けない乳歯を放置していると、永久歯が正しく生えそろうスペースが損なわれてしまうなど、さまざまな問題が起こります。
なかなか乳歯が抜けずに困っている、歯並びに違和感を覚えるようになった、など、気になることがあった場合には早めに歯科医院へ相談されてみてください。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。お子様のお口のことでお悩みの方は安岡デンタルオフィスまでご相談くださいませ。
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