2024.11.29
その痛みは歯髄炎かも!歯髄炎の種類や原因は?治療法なども解説
「冷たいものがしみる」「歯がズキズキと痛む」このような症状があるときは、歯髄炎の可能性があります。歯髄炎は、初期段階では痛むことも少ないので、歯科医院に行くのを後回しにする人も少なくありません。
しかし、症状が悪化すると歯の神経を取り除く必要が生じるケースもあります。本記事では、歯髄炎の特徴や症状などについて詳しく解説します。痛むときの応急処置や歯髄炎の予防法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
歯髄炎とは
歯髄炎とは、細菌が歯髄(歯の神経が存在する組織)に侵入して感染し、歯髄が化膿して炎症を起こしている状態のことです。ズキズキ・ジンジンと歯が痛むほか、冷たいものや熱いものがしみるのも、歯髄炎に見られる症状といえるでしょう。
知覚過敏との違い
歯髄炎は知覚過敏と混同されやすいですが、両者には大きな違いがあります。歯髄炎には細菌感染や炎症があるのに対し、知覚過敏には細菌感染や炎症がありません。
また、知覚過敏はしみたり痛みを感じたりすることはありますが、ほとんどの場合一過性のもので、持続することはありません。軽度の症状であれば、歯科医院でしみ止めの薬を塗ったりフッ素で再石灰化を促したりして症状を改善することも可能です。
歯髄炎の種類
歯髄炎には、可逆性歯髄炎と不可逆性歯髄炎の2種類があります。可逆性歯髄炎は、適切な処置を行うことで完治します。細菌感染がまだ起こっていない状態で、冷たいものや甘いものがしみることはあっても、ズキズキと痛むことはほぼありません。
一方、不可逆性歯髄炎は、適切な処置を行っても元の状態には戻りません。冷たいものや甘いものがしみるのは可逆性歯髄炎と同じですが、ズキズキと痛むこともあります。
さらに、痛みが治まったかと思えばまた痛くなるといったことを繰り返すうちに、神経が死んでしまう可能性もあります。歯髄が壊死すると痛みや温度を感じなくなりますが、細菌感染がさらに進行することで、壊死した歯髄が腐敗して悪臭を放つようになるのです。
歯髄炎の原因
歯髄炎には、さまざまな原因があります。もしかして歯髄炎かもと思ったときは、参考にしてください。
細菌感染
歯髄炎の主な原因は、虫歯による細菌感染です。虫歯が進行すると象牙質とエナメル質が溶けて、細菌が歯髄にまで到達し、その結果歯髄炎となります。
特に、被せ物と歯の隙間に虫歯が発生していると見つけにくいだけでなく、歯髄に近いため重症になりやすいので、注意が必要です。また、歯周病の悪化によって細菌感染したことで、歯髄炎を引き起こすこともあります。
外部からの刺激
歯髄炎は、さまざまな外部からの刺激で起こることもあります。例えば、事故や転倒などにより歯が折れたり欠けたりしたことで、歯髄が露出して内部に細菌が侵入し、歯髄炎になることも考えられます。
そのほか、歯ぎしりや食いしばりの癖があると神経に負担がかかりやすいため、歯髄炎になる可能性もあるでしょう。また、知覚過敏になると些細な刺激や冷たいものを食べただけで痛みを感じるので、刺激によって歯髄炎になる可能性があります。
薬剤などの影響
虫歯などの治療で使う薬剤に刺激されて、歯髄炎を引き起こすことがあります。また、同じ箇所に何度も虫歯が出来て治療を繰り返すことで、歯髄が刺激を受けやすくなり、歯髄炎になる可能性も否めません。
歯髄炎の治療法
歯髄炎の治療には3つの方法がありますが、薬で炎症を抑える方法または歯髄を取り除く根管治療をするケースが一般的です。
薬で炎症を抑える
歯髄炎の初期段階の場合、抗生物質や抗炎症薬を使用して炎症を抑えます。虫歯が原因の痛みの場合は、患部を削り薬剤を詰めてから、仮の詰め物で歯を覆います。
症状が落ち着いてから被せ物や詰め物を入れることで、歯の機能を取り戻すことは可能です。また、知覚過敏が原因の痛みの場合、知覚過敏の薬を塗って痛みを抑えることもあります。
根管治療
虫歯や外傷により歯髄が細菌感染している場合または壊死している場合、根管治療が必要です。根管治療とは歯を残すための治療のことで、細菌に感染した歯髄を取り除きます。根管治療後、根管が再感染したり感染が残っていたりする場合、再度根幹治療が必要です。
ただし、歯髄を取り除いた歯は、歯髄のある歯よりも強度が落ちやすいのは否めません。
抜歯
塗り薬、根管治療でも対応できない場合は、抜歯します。抜歯後はブリッジやインプラントによって失った歯を補うのが一般的です。ブリッジとインプラントどちらも不可能な場合は、部分入れ歯を検討します。
歯髄炎の痛みがあるときの応急処置
歯髄炎の痛みがあるものの、仕事などさまざまな事情で、すぐに歯科医院を受診できないこともあるかもしれません。そこで、歯髄炎の痛みがあるときの応急処置をご紹介します。
患部を冷やす
歯髄炎の原因の一つは血液の流れなので、患部を冷やして血液の流れを抑えると痛みが和らぎやすいです。濡らしたタオルや冷却シートなどを頬側から当てて、歯を冷やす方法を試してみてください。
痛み止めを飲む
歯髄炎を治療後4、5日で痛みがなくなることが多いですが、人によっては痛みが残ることもあります。歯科医院で抗生物質を出された場合は、最後まできちんと飲みましょう。
ただし、歯髄炎による痛みがひどい場合または患部の状態が悪い場合は、痛み止めを飲んでも効果を得られないこともあります。
歯に刺激を与えない
歯髄炎によって噛むと痛い時は、歯に刺激を与えないことが重要です。炎症が歯髄だけでなく、歯の周辺の歯根膜まで広がっている可能性があります。ヨーグルトやゼリー飲料など、噛む必要がないもので栄養と水分を摂るようにしてください。
うがいするときも、刺激を与えないようにぬるま湯でうがいするようにしましょう。
歯髄炎を予防する方法
歯髄炎になると日常生活にも支障が出るため、歯髄炎をできるだけ防ぎたいものです。歯の健康を維持して歯髄炎を予防するには、以下の方法を試してみてください。
歯磨きを丁寧に行う
毎日の歯磨きは、虫歯や歯周病、歯髄炎の予防につながります。歯の表面だけでなく歯と歯茎の隙間もしっかりと磨いてください。歯ブラシのほかに、デンタルフロスや歯間ブラシも使うとよいでしょう。
歯科検診を定期的に受診する
お口の中のプラークをセルフケアだけで取り除くのは、至難の業です。歯科検診で、磨き残したプラークを定期的に除去してもらいましょう。歯科医院を受診することで、虫歯や歯周病を早期に発見できるため、歯髄炎の予防につながります。
専門的なクリーニングにより歯垢や歯石も除去できるので、歯科検診を定期的に受けるようにしましょう。
食生活を見直す
虫歯を予防するには、食生活の見直しも必要です。食事の回数が多い人、糖分を摂り過ぎている人や軟らかい食べ物ばかり食べている人は、口内に汚れが溜まりやすいため、虫歯になる可能性が高いです。
食生活を今一度見直して、食事や間食の回数を意識したり歯ごたえのある物を食べたりするようにしましょう。歯の一部に圧力が加わるような食べ方も、避けた方がよいです。
歯の痛みを感じたら早めに歯科医院を受診しよう
歯髄炎は放置すると、歯を失ってしまう恐れがあります。自然に治ることはありませんので、虫歯による細菌が歯髄まで到達して歯髄炎を引き起こした場合、虫歯はかなり進行した状態です。痛みが引いても放置せず、早めに歯科医院を受診してください。
「痛みを抑えた治療」がモットーのかわらもと歯科 江坂院では、医療設備を積極的に導入し一歩先の歯科医療をお届けできるよう、日々尽力しています。当院の診療室はすべて個室なので、周囲の目を気にすることなくリラックスしていただけます。歯の痛みを感じたら、お気軽にご相談ください。