2024.07.08
出っ歯、すきっ歯…気になる前歯だけ矯正治療を行うことは可能？
矯正治療を検討されている方の中には、とにかく前歯のコンプレックスを解消したいと考えている方も少なくありません。
前歯だけ矯正治療を行うためには「部分矯正」について知っていただく必要があります。
本記事では、前歯だけ矯正治療をしたい方が正しい部分矯正を行うための情報を紹介します。
前歯の矯正を希望される患者様が抱える不正咬合
「前歯の歯並びが気になる」「前歯だけ矯正治療をしたい」と考えている患者様は少なくあありません。
お口を開けたときに目立つ前歯にコンプレックスがあると、うまく笑えなかったり自信が持てなかったりと、後ろ向きな気持ちになってしまうでしょう。
さて、前歯の矯正を検討されている方は、具体的な方法について考える前に、まずはご自身が抱えている前歯のお悩み＝不正咬合の種類について理解を深めてみましょう。
上顎前突（出っ歯）
上顎前突とは、いわゆる出っ歯のことを言います。
上顎や上の前歯が極端に前に突き出ている歯並びのことで、日本人に多くみられる不正咬合の一種です。
上顎前突は骨格の遺伝によって起こる場合もありますが、一方で後天的な理由から起こっている場合も少なくありません。
舌で歯を押す癖があったり、口呼吸になっていたり、幼少期からの口腔習癖（爪噛み、指しゃぶりなど）が要因となっているケースもあります。
叢生（歯のデコボコ）
叢生とは、日本人に最も多い不正咬合の種類です。
顎の大きさが極端に小さい、歯のサイズが大きいなどの理由から、歯が顎に収まりきれずに重なり合ってしまったり、本来生えてくるべきところと別のところから生えてしまったりと、歯並びがデコボコになってしまいます。
患者様によって歯並びの状態はさまざまなので、治療法についてもその方に合わせた方法を考える必要があります。
空隙歯列（すきっ歯）
空隙歯列は、歯と歯の間に隙間が目立ってしまう不正咬合です。
上の前歯に隙間がある場合には、専門用語では「正中離開(せいちゅうりかい)」と呼ばれています。
ある程度の隙間であれば、全体的な歯並びや噛み合わせには大きな影響を与えることはありませんが、見た目のバランスが悪いことや発音が不明瞭になることなどから、コンプレックスに感じる方も多くいらっしゃいます。
また、歯の隙間に汚れが溜まりやすくなってしまうことで虫歯や歯周病のリスクが高くなることも、治療を検討する方が多い理由の一つと言えるでしょう。
前歯だけの矯正＝部分矯正について
上記にて紹介した以外にも不正咬合の種類はいくつかありますが、こうした問題を解消する方法の一つが矯正治療です。
中でも、前歯だけの矯正のように希望する箇所のみの歯並びを改善する方法を部分矯正と言います。
部分矯正を行うためには、全体の矯正との違いやメリット・デメリットをきちんと理解することが大切です。
全体の矯正と部分矯正の違い
全体の矯正とは、お口全体の噛み合わせを改善することを目的とした治療です。
前提として、矯正治療は歯を正しく並べることで噛み合わせを整えるためのものです。
そのためには、歯を全体的に動かし、正しい位置へ導く必要があるのです。
一方で、部分矯正は歯並びが乱れている箇所をピンポイントで改善するための治療です。
奥歯にはアプローチすることなく、今あるスペースの範囲で前歯のバランスを整えていくというイメージです。
つまり、全体の矯正治療は「広範囲」かつ「全体的な噛み合わせの改善」が可能な治療であり、部分矯正は「気になる箇所を部分的に整える」という治療であるという違いがあります。
部分矯正を選ぶことのメリット
部分矯正は全体の矯正に劣ると思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、部分矯正にはピンポイントな治療ならではのメリットもあります。
例えば、お口全体の噛み合わせに大きな問題がなく、前歯の見た目を整えたいという場合には、負担の大きな全体の矯正をせずに気になる箇所だけを改善することができるでしょう。
また、全体の矯正を行う場合よりも治療期間が短く済むケースが多くあります。
治療期間が短胃ということは、その分費用も抑えられますし、通院の回数も少なく済みます。
「なるべく負担なく、気になるところだけ治したい！」という方にとっては、部分矯正はとても魅力的な方法と言えます。
部分矯正でできること、できないこと
部分矯正は、基本的にワイヤー矯正とマウスピース矯正の両方で行うことができます。
近年では、全体の矯正同様、マウスピースによる治療が主流となっています。
部分矯正では、主に歯の高さを整えたり、多少の重なりを改善したり、歯の隙間を目立たなくしたりといった治療を行います。
また、噛み合わせに大きな問題がなく、ある程度スペースが確保できている場合には、突き出ている前歯を後ろに下げるといった治療も可能でしょう。
一方で、重度の叢生や、複数の不正咬合が複雑に重なっている状態、歯を動かすスペースが一切ない状態、全体的な噛み合わせに大きな問題が見られる場合などは、部分矯正による治療は難しい場合もあります。
部分矯正が適応できる症例とは
軽度の叢生、スペースが確保できる場合の上顎前突、軽度の空隙歯列などの不正咬合は、部分矯正によって治療ができるでしょう。
「前歯の高さが気になる」「前歯が捻れているのを解消したい」「2本の前歯をきちんと並べたい」などのお悩みは、部分矯正が適応できる可能性が高いので、まずは歯科医院で相談されることをおすすめします。
マウスピース型の装置を用いた前歯の部分矯正
従来の矯正治療といえばワイヤー矯正が主流でしたが、近年はマウスピースタイプの矯正装置を用いた治療を選択される患者様が多くいらっしゃいます。
部分矯正でも同様に、マウスピースタイプの矯正装置を用いる治療が可能です。
とはいえ、症例によってはワイヤー矯正の方が適しているケースや、ワイヤー矯正を行った後でマウスピース矯正に移行すべきケースなどもありますので、方法については歯科医師と相談の上、お口の状態に合わせた内容で治療を進めるようにしましょう。
マウスピース矯正の特徴
マウスピース矯正のメリットは、装置が目立たないこと、ご自身で取り外しができるためお食事や歯磨きのストレスが少ないことなどが挙げられます。
部分矯正の場合でも、マウスピースの形状は全体の矯正と変わりません。
歯全体を覆う形の装置を使用しながら、必要な歯に対してのみ力を加えて動かしていきます。
マウスピース矯正で有名な「インビザライン」では、動かしたい歯の本数に合わせたマウスピースが選べます。
例えば、前歯1本から治療をしたい場合には「インビザラインエクスプレス」で短期間の治療が行えます。
前歯5本のバランスを整えたい場合には「インビザラインGo」で広範囲の治療が可能です。
前歯だけの部分矯正にかかる費用
矯正治療は自費診療に分類されるため、治療を検討する際には費用面もしっかり確認しておく必要があります。
特に矯正治療は高額な費用が発生するため、事前にきちんと内容を把握しておくようにしましょう。
一概には言えませんが、部分矯正は、全体的な矯正治療に比べると比較的費用は抑えやすい傾向にあります。
例えばインビザラインによる部分矯正を行う場合、最も短期間な装置では25万円〜35万円ほどで済むケースもあります。
前歯5本の矯正治療を行う装置では、40万円ほどで治療が可能です。
費用は患者様のお口の状態や治療期間によって変動しますので、事前のカウンセリングで具体的な内容を確認した上で治療を開始することが大切です。
まとめ
前歯だけの矯正（部分矯正）を行うためには、事前に歯科医院でお口の検査を行い、部分的な矯正が可能かどうかを診断する必要があります。
軽度の不正咬合であれば部分矯正が可能ですが、全体的な噛み合わせへのアプローチが必要な場合には、全体の矯正を検討する必要があるでしょう。
また、インビザラインなどマウスピース装置での部分矯正も可能です。
治療を行う場合には、事前のシミュレーションやカウンセリングを通じて費用や期間についてきちんと確認しておくようにしましょう。
