2025.03.22
乳歯と永久歯の違いは?生え変わり期の注意点やケア方法なども解説
「乳歯と永久歯って何が違うの?」「生え変わり期にどんなことに注意するべき?」など、乳歯や永久歯についていろいろな疑問がある方は、少なくありません。お子さんが乳歯から永久歯に生え変わる時期は、適切なサポートが必要です。
子どもが健康な歯を保てるように、親は乳歯と永久歯について正しい知識を身に付けておきましょう。今回は、乳歯と永久歯の違い、生え変わり期の注意点やケア方法などについて解説します。
乳歯と永久歯
一般的に、5~6歳頃になると乳歯が抜け始め、初めての永久歯が生えてきます。乳歯と永久歯は、どんな点が違うのでしょうか?また、乳歯から永久歯へ生え変わるのはどんな仕組みなのでしょうか?
ここでは、乳歯と永久歯の違い、永久歯へ生え変わる仕組みについて解説します。
乳歯と永久歯の違い
乳歯と永久歯は、本数・色や大きさ、厚さと歯質、生える位置などが異なります。お子さんの歯が乳歯と永久歯のどちらか一目でわかるように、違いを理解しておきましょう。
一つめは、歯の本数です。乳歯は20本ですが、永久歯になると親知らずも含めて32本になります。二つめは、歯の色です。乳歯は白に近い色ですが、永久歯はやや黄色味を帯びています。大きさは、乳歯の方が永久歯よりも小さいです。
三つめは歯の厚さと歯質で、乳歯の厚さはエナメル質・象牙質共に永久歯の半分です。歯質は柔らかく、酸に溶けやすいという特徴もあります。一方、永久歯は厚く丈夫ですが、生えたての約2~3年は「幼若永久歯」と呼ばれ、歯質が成熟していません。
四つめは、生える位置です。乳歯は上下とも左右5本ずつ生え、永久歯も手前から5本分は乳歯と入れ替わるように生えます。
しかし、前から6本目に位置する六歳臼歯とも呼ばれる第一大臼歯は、乳歯の歯列の最後方から、前から7本目の歯(第二大臼歯)、8本目の歯(親知らず)も、後方から生えてきます。したがって乳歯が抜けていなくても、前までなかった歯が生えてくる可能性があるのです。
乳歯から永久歯へ生え変わる仕組み
はじめに、乳歯の下で永久歯のもとになる歯胚が作られます。その後、歯胚が成長して久歯の歯冠部が出来上がり、歯根部が作られ始めます。
そして乳歯の根を溶かす細胞が出現し、乳歯の根が徐々に溶けていき、乳歯はグラグラになり抜け落ちて永久歯が出てくるという仕組みです。
生え変わり期に注意したいポイント
乳歯から永久歯へと生え変わるとき、いくつか注意したいポイントがあります。
- 乳歯が抜ける前に永久歯が生えたとき
- 永久歯が生えてから数年経っても乳歯が抜けないとき
- 乳歯が虫歯になったとき
乳歯が抜ける前に永久歯が生えたとき
お子さんの乳歯が抜ける前に永久歯が生えてきて、驚いた方もいるかもしれません。しかし、乳歯が抜ける前に永久歯が生えてくる可能性もあります。特に、下の前歯は、抜ける前に重なるように永久歯が生えてくることがあるため、要注意です。
永久歯が生えてから数ヶ月経っても乳歯が抜けないとき
永久歯が生えてから早い段階で乳歯が抜けたときは、歯の位置は正しい位置になります。しかし、永久歯が生えてから数ヶ月経っても乳歯が抜けていない場合、歯の位置が誤った位置になり、その後乳歯を抜歯しても歯並びを改善できない可能性が高いです。
さらに乳歯と永久歯が重なっている場合、乳歯が邪魔になって、歯磨きで永久歯の汚れを落としにくくなります。乳歯と永久歯が混在していることで、生えたばかりの永久歯が虫歯になるリスクが高くなるでしょう。
乳歯が虫歯になったとき
乳歯は一生あるものではないですが、だからといって虫歯を放置してはいけません。永久歯は乳歯の下で成長するため、乳歯の虫歯は永久歯に悪影響を及ぼす可能性があります。
乳歯が虫歯になると永久歯の成長を妨げるほか、永久歯を変色させたり形がバラバラになったりするほか、歯並びが悪くなることも考えられます。さらに、生えたばかりの永久歯は比較的弱いため、周りの乳歯が虫歯になると永久歯も虫歯になるリスクが高くなるでしょう。
そのほかにも、永久歯の歯並び・嚙み合わせが悪くなることがあります。永久歯を守るためにも、乳歯が虫歯になったときはできるだけ早く治療してください。
生え変わりの時期に親が行いたいケア
お子さんが乳歯から永久歯に生え変わる時期は、親の適切なサポートが必要です。子どもが健康な歯を保てるように、親は乳歯と永久歯について正しい知識を身に付けておきましょう。主なケアは、以下の3つです。
- 永久歯の虫歯を予防する
- 口内を観察する
- 定期検診を受ける
永久歯の虫歯を予防する
生えたばかりの永久歯は、歯質そのものが弱く虫歯になりやすいです。乳歯と永久歯が混在する時期は、磨き残しがあるお子さんは少なくありません。
特に、一番奥の乳歯の後ろに生えてくる「第一大臼歯(六歳臼歯)」は、歯の溝が深く汚れが残りやすい箇所です。汚れをしっかりと取り除くには、歯ブラシを口の真横から入れて磨くのがポイントです。
食後には必ず歯を磨く習慣をつけさせ、食べかすやプラークをしっかりと除去するようにしてください。毎日の歯磨きのほか、歯科医院で高濃度フッ素を塗布したり大臼歯にシーラントを施術したりしてもらうことで、虫歯になりにくい歯を作ることができます。
また、乳歯と永久歯が混在する時期は、大人が仕上げ磨きをしてあげましょう。フッ素入りの歯磨きを使うのもおすすめです。
口内を観察する
小学生高学年から中学生にかけては、虫歯が急増しやすい時期です。ときどき、親が歯磨きの仕方や歯並びをチェックしてあげてください。
乳歯が抜けた後、永久歯が正しい位置に生えてこない場合、矯正治療が必要になることもあります。少しでも気になる点があれば、早めに歯科医院に相談しましょう。
定期検診を受ける
年数回、歯科医院で定期検診を受けて、お子さんの歯磨きの仕方や歯並び、歯の生え変わりなどをチェックしてもらってください。乳歯が抜けた後に永久歯が正しく生えてこない場合は、歯科医師に相談して、適切な矯正治療を検討することも必要です。
また、歯並びが悪いと噛み合わせや発音に悪影響を及ぼすことがありますが、定期検診を受けることで、歯並びの異常を早期発見して必要な治療を行うことができます。
食事を工夫する
生え変わり期は、食事の工夫も必要です。小魚、いかやたこ、れんこんや人参など噛み応えのある食べ物、乳製品や緑黄色野菜などカルシウム豊富な食べ物などを取り入れてみましょう。
永久歯の歯並びが良くなるだけでなく、歯磨きがしやすくなり、虫歯や歯肉炎の予防にもつながります。
間食には、砂糖が多く含まれるお菓子やジュースは控え、噛み応えのあるおせんべい、歯に優しい果物やナッツ類などがおすすめです。規則正しく健康的な食生活を心がけ、子どもの歯の健康を守りましょう。
乳歯と永久歯に関するQ&A
乳歯と永久歯に関するQ&Aをまとめたので、ぜひ参考にしてください。
- 六歳臼歯ってどんな歯ですか?
- 仕上げみがきはいつまで必要?
- 乳歯から永久歯に生え変わるサインは?
六歳臼歯ってどんな歯ですか?
六歳臼歯は、5~6歳頃に最初に生えてくる永久歯で、噛む力が非常に強いのが特徴です。乳歯の奥に生えるため、なかなか気づかない人も少なくありません。完全に生えるまでの約1年は、手前の乳歯より背が低く、虫歯になりやすい箇所と言われています。
仕上げみがきはいつまで必要?
小学校低学年までは、仕上げみがきが必要です。寝る前に、奥歯の溝、歯間、歯と歯肉の境目など虫歯になりやすいところを重点的に仕上げみがきしましょう。寝かせみがきにすると、口の中がよく見えてブラッシングしやすいです。
乳歯から永久歯に生え変わるサインは?
乳歯がグラグラ揺れるかどうかが、乳歯から永久歯に生え変わるサインです。生え変わりが近くなると、乳歯の歯根が徐々に溶けていきグラグラ揺れ始めます。乳歯がグラグラしているときは、経過観察をしましょう。
歯根が完全に溶けると乳歯は抜け落ちて、永久歯が出てくるでしょう。なお、歯がグラグラすることで、お子さんによっては食べ物を噛んだときに痛みが伴うことがあります。
まとめ
乳歯から永久歯に生え変わる時期は、歯がグラグラしたり痛みがあったりして、お子さんも不安に感じることもあるかもしれません。親が乳歯と永久歯について正しく理解して、お子さんの歯の健康を守れるようにケアしましょう。
また、この時期は、虫歯のリスクや歯並びの乱れなどのトラブルも生じやすいため、定期検診を受けて、口内環境をチェックしてもらうことも必要です。
安岡デンタルクリニック 江坂院では、小児治療も行っております。乳歯の健全な成長を妨げる原因、虫歯や噛み合わせ、生え変わり時の異常などを見つけて、治療します。ブラッシング指導や小児矯正も行っておりますので、お子さんの乳歯や永久歯で気になることがありましたら、安岡デンタルオフィスまでお気軽にご相談ください。
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