2024.02.17
差し歯とインプラントの違いとは?選択に迷う方へメリット・デメリットを解説
差し歯とは?
差し歯とは、むし歯や歯が割れたりした場合など、歯の大部分は失われた時に人工的な材料を使用したかぶせ物で補う方法です。
残っている自分の歯根に土台を取り付け、その上にかぶせ物をする方法です。かぶせ物は(クラウン)と呼ばれることもあります。「歯根」とは、歯ぐきに埋まっている歯の部分のことで、歯を骨にしっかり固定し、安定させる役割を担っています。通常、むし歯にかかっても歯根が残っていれば差し歯が可能です。
インプラントとは?
インプラントとは、歯を失った箇所の骨に人工の歯根を埋め込み、その上にセラミックなどの人工歯を装着する治療法です。
歯を抜いてしまうと歯根が失われるので、その場合は不可能な治療です。そのため、歯根の有無で治療方法が異なり、歯根がない場合はインプラントなど他の治療法を検討する必要があります。
差し歯のメリット・デメリット
メリット
手術が不要で治療期間も短く、手軽に治療できます。また、銀歯や硬質レジンなどの素材によっては保険適用になるため、費用を安くできます。ほとんどの歯医者で対応可能なため、手軽な選択肢といえるでしょう。
デメリット
歯根がない場合には治療できません。素材によっては目立ちやすく、自然な見た目を求めるなら保険適用外の素材(セラミックやジルコニアなど)を選ぶ必要があり、費用も高額になります。一方で安価な素材を使用すると目立ちやすく、歯の寿命も短くなる可能性があります。
インプラントのメリット・デメリット
メリット
自然な噛み心地と見た目を手に入れやすいことです。また、周囲の歯に負担をかけずに歯を補うため、より自然な感覚が得られます。適切なケアやメンテナンスで歯の寿命を長くし、耐久性も優れていると言われています。
自然に噛むことができるため、外見の印象だけではなく、機能面も優れています。
デメリット
費用
保険適用外で自由診療になるため、どうしても費用が高額になってしまいます。また、患者さんの骨の量や糖尿病、心臓病、がん治療などを受けている場合には選択できないこともあります。
外科処置
インプラント治療の手術は、通常1〜2時間かかります。手術時に切開した傷口は糸で縫合されますが、もし何かのきっかけで傷口が開いてしまうと雑菌が入り、感染症にかかってしまう可能性があります。
手術後しばらくは、食事によって傷口を開かせないように注意が必要です。インプラント手術後 2〜3 日程度は、なるべく噛まずに食べられるようなヨーグルトやスープ・豆腐・おかゆなどの柔らかなものを食べていただき、温度もできるだけぬるめを意識してください。
さらに、手術後は出血や痛み・腫れの原因にならないよう、歯ブラシが傷口に当たらないようゆっくり磨いたり、2~3日間はハードな運動や湯船につかることは控えましょう。
治療期間
人工歯根を埋めるために手術が必要であり、治療期間もそれなりにかかるでしょう。保険適用外で治療期間は個人差はありますが、約2〜6ヶ月になります。また歯茎の移植や骨の移植が必要になる場合もあり、そうすると治療期間は延びます。
骨や歯の組織が残っており、その部分だけを治療する場合、トータルで2ヶ月~2ヶ月半の治療期間になります。しかしチタンのネジを、抜けてしまった天然の歯の代わりに骨の中に植える際には、ご自身の骨とネジがくっついてくれるまでに下の歯で3~4ヶ月、上の歯で4〜5ヶ月かかります。
治療の注意点
差し歯の治療、インプラント治療、いずれにおいても注意するべきことがあります。
差し歯をすることや、治療自体が悪いわけではありませんが、治療のやり方によっては口臭の原因となる可能性があります。
口臭の原因として、「歯周病のコントロールができていないこと」「歯茎の構造を治療によって破壊されてしまうこと」の2点が考えられます。
歯周病のコントロールができていない
例えば、芸能人や有名人など、忙しい人は、一日(短期間)で白い歯にしようとする方が多いです。しかし歯周病の症状があるまま、セラミックを入れると、歯周病の原因となっている菌の働きによって口臭が発生します。
家を建てる時と同じように、セラミックなどの治療においても土台(基盤)が重要です。口臭が起こる原因は、土台工事ができていない状況です。
歯茎の構造を治療によって破壊されてしまう
歯茎は1mmの歯肉溝と2mmの上皮付着と結合組織性付着の合計3mmの構造でできています。健康な歯茎の状態であっても治療によって、この構造が破壊されることで、口臭が起こってしまうことがあります。
例えば、歯と被せ物の隙間に黒い線が見えたりしないように、深めにセラミックを入れることで破壊されます。見た目に関してクレームが出ないように深く被せ物を入れてしまうことがあり、これが原因で歯茎の構造が破壊されます。
破壊されることで、歯茎が炎症を起こし、赤みが出たり、出血がでたり、腫れたりします。結果、歯周病と同じ理由で、口臭が起こってしまいます。
短期間で白い歯が手に入れられることは魅力的かもしれませんが、カウンセリングを行ってもらえるところや、理論を分かっている先生に治療してもらいましょう!
差し歯とインプラントの違いを示した比較表から治療を検討する
以下の表は、差し歯とインプラントの違いについて、治療の対象者、費用、治療期間、寿命、見た目などを比較しています。
差し歯 | インプラント | |
対象者 | 歯根が残っている人 | 歯根がない人 |
費用 | ・1本あたり3,000~1万円 (保険適用)・1本あたり4万~20万円 (自由診療) | 1本あたり30万~60万円程度(自由診療) |
保険適用 | 素材によって適応あり | なし病気や事故などの外傷といった特殊ケースのみあり |
手術 | 不要 | 必要 |
治療期間 | 1~2か月程度 | 2か月~最長で1年以上 |
寿命 | ・5~8年程度 (保険適用)・10~20年程度 (自由診療) | 10~15年以上 |
見た目 | 素材により審美性が大きく異なる | 自然かつ美しい |
噛む力(天然歯と比較) | 健康な歯の60%程度(過度な負担には注意が必要) | 80~90%程度天然歯に近い噛み心地 |
メンテナンス | 必要 | 定期的な通院が必要 |
インプラントについては特殊なケース以外で保険適用はありませんが、差し歯については保険適用の治療か自由診療かを選べます。
インプラントや差し歯以外に入れ歯やブリッジも可能か?
歯根がなければ差し歯は不可能で、インプラントを選択すると解説してきましたが、実は状態によっては入れ歯やブリッジも選択可能かもしれません。
入れ歯は歯が抜けた箇所によって部分入れ歯か総入れ歯となり、取り外し可能な義歯です。保険でつくると安価で短期間で作成可能であり、修理も可能です。しかし、違和感や噛み心地の悪さ、食べカスの問題、見た目の悪さ、取り外しが煩わしいこと、顎の骨の痩せなどの欠点もあります。
ブリッジは欠けた歯の隣に人工歯を取り付け、橋のようにつなげる治療方法です。ブリッジの作成は早く、費用も保険で安くできますが、健康な歯を削る必要があり、清掃が難しいことや見た目が悪くなる可能性、そして顎の骨が痩せやすくなるという欠点もあります。
差し歯とインプラントの違いでよくある質問
- 差し歯とインプラントでよくある質問を紹介します。
- インプラントと差し歯の違いは何ですか?
- 差し歯をすると口臭がキツくなるって本当ですか?
- インプラントと差し歯、治療後に見た目の違いはありますか?
- インプラントや差し歯は、むし歯になりますか?
- インプラント、差し歯、入れ歯、ブリッジの違いって何ですか?
- 抜歯をした後に差し歯はできますか?
インプラントと差し歯の違いは何ですか?
インプラントは抜歯などで失った歯の代わりに人工の歯根を埋め込んで新しい歯を作る方法です。差し歯は残っている自分の歯根に土台を取り付け、その上に人工的なかぶせ物をする方法です。治療の選択肢は歯根(歯の根っこ)の有無に依存します。
差し歯をすると口臭がキツくなるって本当ですか?
差し歯自体が口臭の原因にはなりませんが、手入れが不十分であると、口臭の原因になる可能性があります。例えば、差し歯と歯茎の間に隙間があると、そこに歯垢がたまって、腐敗臭の原因になることがあります。定期的なクリーニングや歯科医の指示に従い、適切に手入れすることが重要です。
インプラントと差し歯、治療後に見た目の違いはありますか?
インプラントと保険適用でつけた差し歯には、外見の美しさに大きな違いがあります。インプラントは自然で美しい仕上がりになります。差し歯でもより自然な見た目を望むなら、自由診療でジルコニアやセラミックなどの素材を選択してください。
インプラントや差し歯は、むし歯になりますか?
インプラントや差し歯自体はむし歯にはなりませんが、周囲の歯や歯ぐきは依然としてむし歯や歯周病にかかる可能性があります。適切なケアや定期検診でチェックやクリーニングを受けることが大切です。
インプラント、差し歯、入れ歯、ブリッジの違いって何ですか?
インプラントは人工の歯根を骨に埋め込み、その上にセラミックなどの人工歯をかぶせる治療法です。差し歯は自身の残っている歯根に土台を取り付け、その上に人工的な歯をかぶせます。入れ歯は取り外し可能な装置で、歯ぐきにフィットするプラスチックや金属製の土台に人工の歯が取り付けられます。ブリッジは抜けた歯の両隣の歯を削って橋を渡し、その上に人工歯をかぶせる治療法です。さらに詳しい違いについては下記リンクをご覧ください。
抜歯をした後に差し歯はできますか?
抜歯は歯根まで取り除くことを指しますので、差し歯はできません。インプラントなど他の治療法を検討してください。
差し歯とインプラントで迷ったら安岡デンタルオフィスへ
「差し歯」と「インプラント」の違いは、歯の根っこである「歯根」があるかどうかで、選択できる治療が異なることがわかりましたね。しかし、歯根については、そもそも残っているのかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。抜歯した場合は歯根がないと覚えておいてください。もしわからなければ、担当医にお尋ねください。
差し歯にするかインプラントにするかで迷っている方は多いかと思いますが、お困りでしたら安岡デンタルオフィスへ気軽にご相談ください。当院ではナチュラルで透明感を追求する審美歯科や、失った歯をできるだけ自然な感じで回復させたい方向けのインプラント治療も充実しています。