2018.07.25
虫歯治療をしたのに痛い?と思ったら試すべきこと
そのような状態になったら「なぜ治療を受けたのに痛い思いをしなければならないのか」という思いがこみ上げてくると思います。
このとき多くの患者さんは「先生がミスをしたのではないか」と疑います。その気持ちは理解できます。しかし虫歯治療後の痛みについては「歯医者のせい」ではないことがほとんどです。
詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)で虫歯治療したにも関わらず痛みが残るメカニズムを解説します。
しみるような痛みが起きるのはなぜ?
虫歯治療をしたのにしみるような痛みが走ると、「もう手立てがないのではないか」と暗澹(あんたん)たる気持ちになるかもしれません。
ただ、もし被せたものがセラミックではなく通常の銀歯だった場合、口のなかに入れた食材の熱が銀歯を経由して歯の神経に伝わっているからかもしれません。
ご存知のとおり、銀歯を含む金属は熱伝導率がとてもよいので、天然の歯よりも「忠実に」熱を神経に伝えてしまうのです。
ただ銀歯が原因でしみる痛みが発生している場合、治療から1週間も経てば治まるでしょう。
そのため、治療から1週間くらいは熱すぎる料理やアイスのような冷たいものは避けたほうがいいでしょう。
常温のものを食べているのに痛いのはなぜ?
常温の食材を食べているのに痛みが走ったら、それは銀歯の熱伝導率のせいではありません。考えられるのは、詰め物が高すぎたことによる「歯根膜(しこんまく)」のダメージです。
歯医者は詰め物や被せ物を調整するとき、どうしても「低すぎる」よりは「高すぎる」ほうを選んでしまいます。それは、高すぎれば後で削ればいいのですが、低すぎると詰めたものをつくり替えなければならないからです。
詰め物や被せ物が高いと、その歯と噛み合う歯が強く押されます。このとき歯根膜が傷ついてしまうのです。
歯根膜とは、歯と顎の骨の間にある薄い繊維状の膜で、クッションの役割を果たしています。歯にかかった力を分散させて顎の骨を守っているのです。
歯が強い圧力を受けると、歯根膜がずれてしまい、そのとき痛みが出てしまうのです。
うずくような痛みが取れないのはなぜ?
もし歯医者から「歯の根っこに膿が溜まっていたので、それを取り除きました」と言われていたら、治療後でもうずくような痛みが継続するかもしれません。
歯の根に膿ができる症状は、かなり重症です。そのため歯医者が膿を取り除いても炎症が続いてしまうことがあります。
炎症は神経を刺激するので、うずくような痛みが継続します。
しかし膿を取り除き、消毒し、その上から被せ物をしているのでその炎症もじきに治まるでしょう。
ちくちくした不快感が続くのはなぜ?
治療後に痛むほどではないものの、ちくちくした不快感が続くことがあります。これは神経が過敏になっているからと推測できます。
虫歯を発症すると、神経は少なからずダメージを受けます。そのうえ、治療で歯を削ったり、セメントを詰めたり、詰め物や被せ物をするわけです。
弱っている神経にそれだけの強い刺激を与えているのですから、神経が過敏になってうずくのは当然です。
しかしこの場合も、しばらくすると不快感は落ち着いてくるでしょう。このちくちく系の不快感は、「気がついたら消えていた」というふうに消えていきます。
治療後に痛みが残っていたらすぐに歯科クリニックに行くべき?
治療後に痛みが残っていたら、治療の翌日に歯科クリニックに行って診てもらうべきでしょうか。
我慢できないほどの激しい痛みの場合は、迷わず歯科クリニックに行ってください。
また、詰め物や被せ物が「高い」と感じた場合も、歯科クリニックに行ったほうがいいでしょう。
しかしもし治療を終えたとき、歯医者から「もしかしたら2~3日は痛みが続くかもしれません」と言われていたら、そのとおり2~3日待つことをおすすめします。
また歯医者が痛み止め薬を処方していたら、それを飲んで痛みを和らげたほうがいいでしょう。
なぜなら歯医者のほとんどは、虫歯の状態と治療方法と患者さんの痛がり方から、治療後の患者さんの痛みを推測できるからです。
単に痛みが残るかどうかだけでなく、痛みの質、痛む期間、痛みが治まる時期まで言い当てることができる歯医者もいます。
歯医者が「痛みが続くかもしれませんよ」と言ったり痛み止めを処方したりするということは「その治療後の痛みは大したことがない」と理解していいでしょう。
まとめ~4日以上痛みが続いたら歯医者に行きましょう
虫歯を治療した後の痛みは「珍しい症状」でも「深刻な事態」でも、ましてや「治療ミス」でもないことがほとんどです。2~3日程度で治まることが多いでしょう。
ただ強い痛みが4日以上続くようでしたら、歯科クリニックに相談してみてください。