幼少期の離乳食が将来の「咀嚼力」に大きく影響していた!|吹田市江坂駅の歯科・歯医者【安岡デンタルオフィス】

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歯科医師が教える歯の健康のための【歯のコラム】

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2017.11.15

幼少期の離乳食が将来の「咀嚼力」に大きく影響していた!

離乳食をどのように食べさせて過ごすか、というのが大人になった時の咀嚼力や咀嚼機能に影響するということを知っていましたか?ただ、「乳」から卒業するから「離乳食」というわけではなく、しっかりと噛む練習をさせることで咀嚼という行為を学習させるというような意味合いもあるのです。

咀嚼の発達

咀嚼の発達

離乳をする必要は、咀嚼の獲得が大きな目的です。赤ちゃんは生まれたときにはすでに乳を吸うこと(吸啜)や飲み込むこと(嚥下)について学習しています。

これらの機能は、羊水にいるときから学習してきてくれるのですが、咀嚼機能だけは学習していません。しかし、咀嚼という機能は生命維持に関わる重大な機能なので早期に発達します。 機能の獲得と同時に、咀嚼をする上で必要な歯ですりつぶすことや噛みきるといった成長も行われます。

ただし、咀嚼はそれだけの運動ではなく捕食と嚥下をつなげる運動の一つであるということを忘れてはいけません。 咀嚼機能の獲得の過程で気をつけなければいけないのは、舌の動きです。授乳をしている子は舌を歯茎の間から出す動きをします。この動きによって嚥下することを乳児型嚥下と呼び、通常では生後4か月程度で消失しますがこの乳児型嚥下が遅くまで残っていると歯がまっすぐ生えてくるときに邪魔をして前歯が開いてしまい出っ歯みたいになってしまうことがあります。

咀嚼獲得の道のり

離乳が完了するべき時期は生後15か月と言われています。離乳を開始してもよい目安の時期は生後5か月頃からで、この時期から固形食に興味を示す赤ちゃんが増えるようです。

また、スプーンから食べ物を食べることが可能にもなります。生後7~8か月で半固形食を食べることができるようになり、舌を口蓋に押し付け飲み込むことができるようにもなるといわれています。

離乳食は、だいたい3期に分けられることが多いです。 初期は、唇を使って食べ物を口に入れて、口に入った食べ物を嚥下反射が起きる咽頭部付近まで移送する働きがあります。 中期は、舌と口蓋のそれぞれで食べ物を押しつぶす動きが発達し、後期では食べ物をすりつぶして唾液と混ぜ合わせる動きが発達します。

咀嚼獲得が不十分な時

最近では、早く離乳食から大人と同じような食事に切り替える家庭があるようです。

これは夫婦共に共働きの家庭で多く、時間がないので離乳食だけを別に作り子供に食べさせる時間がないという背景があり、離乳食よりも早く大人と同じようなご飯を与えてしまうことがあるようです。 離乳食だけを温めることや調理することは確かに面倒かもしれませんが、離乳食の進め方は、子供に影響がでるかもしれませんので、気をつけましょう。

また、離乳食を卒業した後にも柔らかいものを食べることが多いと咀嚼機能が安定することが少ないです。近年の食生活では、食べ物が全体的に柔らかくなっており、噛む力が弱い子や顎の発達が未完成で顎が小さい子が多くなっています。

咀嚼の役割

咀嚼の役割

ここまで時間や手間をかけてまで咀嚼を獲得する必要はあるのでしょうか。

咀嚼は私たちの想像を超えて良いことを呼び込んでくれます。それは口だけでなく歯や全身にも及ぼします。

例えば、咀嚼をすることで唾液の分泌量が上がります。唾液には食べ物を固まりにするムチンという成分や、細菌の活動を抑制する抗菌作用があるペルオキシダーゼや食べ物の消化を促進させるアミラーゼが含まれています。

また食べ物を細かく噛み砕くことで胃の消化を助けます。胃での消化を助けるので胃もたれや消化不良が起きることも少なくなりますね。

またよく噛み砕くことで飲み込みやすくもなるので高齢者の人や嚥下機能が落ちている人にとっては咀嚼することで誤嚥することを防止できます。

噛むことで脳への血流が上がるので脳の活性化にも期待できます。

アセチルコリンや神経ヒスタミンなど脳内記憶促進物質が分泌されるので記憶能力も上がります。

さらには、噛むことでリラックス効果やストレス発散効果も得ることができます。満腹中枢を刺激することもできるので食べ過ぎや肥満を防止することもできます。

咀嚼力を維持するために

咀嚼力は普段からのトレーニングが必要なので、一気に向上するとは言えませんが、1日1歩ずつ向上させることができます。

この時に、硬い食べ物を食べれば咀嚼力が向上すると考える人が多いかと思いますが、そんなことはありません。一度で重いウェイトトレーニングをすると筋肉を傷つけてしまうことがあるのと同じことが言えるのですが、あまりに硬い食べ物を食べてしまうと、咀嚼筋を痛めるだけでなく顎関節も痛めてしまうことにつながります。

咀嚼力を維持するためには一度で硬い食べ物を食べるのではなく、一度の食事で何度も何度も噛むことが必要です。幼い時に離乳食からの移行がうまくいかず、咀嚼力が弱くなってしまっても何度も噛むことで咀嚼力は向上します。

歯が1本なくなっただけでも咀嚼力は大きく下がります。被せ物やブリッジ・入れ歯やインプラントなど自分にあった補綴物を歯医者さんと一緒に選びましょう。 余談ですが、咀嚼力の検査は歯科医院でも行うことができます。もし自分の咀嚼力がどのぐらいなのか興味がある人は安岡デンタルへ検査しに行ってみてはいかがでしょうか。

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