2025.03.13
乳歯から永久歯へ、乳歯が抜ける順番とそのタイミング
子どもの歯から大人の歯に生え変わることは、お子さんの成長の証の一つです。
親御さんにとっても、初めて乳歯が抜けた日は大切な記念になるでしょう。
そんな嬉しい乳歯から永久歯への生え変わりですが、一方で「今抜けて大丈夫なの?」「乳歯が自然に抜けないのはなぜ?」など、この時期特有のお悩みを抱えている親御さんも多くいらっしゃいます。
今回はそんな乳歯が抜けるタイミングや順番、リスクについて、皆様に紹介していきます。
乳歯は、どの歯からどのようにして抜けていく?
結論からいうと、乳歯の永久歯への生え変わりは下の前歯からスタートし、奥歯が最後に生え変わります。
以下では、その時期について詳しく解説していきます。
乳歯が抜けていく順番
乳歯が抜ける順番には個人差がありますが、一般的には以下のような流れです。
なお、乳歯が抜けていく順番はあくまでも基本的な目安であり、お子さんによってはこの通りではないこともありますのでご了承ください。
下前の歯(中央の2本)
はじめに抜ける歯は、下の前歯2本です。
生え変わりは6~7歳ごろに始まることが多く、永久歯の中でも一番に生えてくるという特徴があります。
上前歯(中央の2本)
下の前歯に続き、上の前歯の生え変わりが起こります。
下の前歯が永久歯になった後、6~8歳くらいに抜けることが多いとされています。
側切歯(前歯の隣の歯)
前歯に隣接する歯は、上下ともに7〜8歳ごろに生え変わります。
先に生えている前歯(永久歯)との間に隙間ができやすいため、ケアを怠らないようにしましょう。
第一乳臼歯(奥歯の手前)と犬歯
犬歯は9~12歳ごろに生え変わることが一般的です。
奥歯の一つ手前にある第一乳臼歯も犬歯と同じくらいの時期に永久歯へと生え変わるでしょう。
第二乳臼歯(奥の乳歯)
奥歯は、最後に抜ける乳歯です。
10~12歳ごろに抜けて永久歯が生え揃ってきます。
乳歯が抜けて永久歯へ生え変わる仕組み
乳歯が抜けるタイミングでは、多くの場合、永久歯が乳歯の下で成長を始めることがきっかけです。
以下では、乳歯が抜けるまでのメカニズムを簡単に解説していきます。
永久歯が成長する
お子さんの成長に合わせて、永久歯が作られ、乳歯の根の部分を圧迫し始めます。
乳歯の根が溶ける
永久歯の圧力によって、乳歯の根(歯根)が徐々に吸収され、乳歯がぐらつき始めます。
乳歯が抜ける
歯茎だけで支えられている状態なった乳歯は、痛みを伴うことなく自然と抜け落ちていきます。
乳歯が抜けないまま永久歯が生えてくる?
理想的な生え変わりは、成長した永久歯に押された乳歯が自然と脱落することですが、中には乳歯が抜けないまま永久歯が生えてきたというケースも多く存在します。
以下では、乳歯がなかなか抜けない原因や、抜けない乳歯を放置することのリスクについて紹介していきます。
乳歯がなかなか抜けない原因
乳歯がなかなか抜けないケースでは、さまざまな原因が考えられます。
例えば、永久歯の成長がゆっくりである場合や、乳歯の根っこがしっかりと残っている場合、歯並びに問題があり、永久歯が別のところから生えてしまっている場合なども乳歯が残りやすくなってしまいます。
乳歯が抜けない状態はいつまで様子見する?
乳歯が抜けない状態は、そのままにして良いのか早めに抜歯すべきなのか迷ってしまうかもしれません。
結論としては、お口の状態を確認した歯科医師の判断になりますが、明らかに抜ける気配のない乳歯や、すでに永久歯の姿が見えてしまっている場合には、早めに処置を行うことが推奨されています。
乳歯が順番通りに抜けなかった場合の対処法
全てのお子さんが、適正な年齢で正しい順番の生え変わりを経験するということはありません。
乳歯の生え変わりはあくまでも基本的な目安であり、中には自力で乳歯が抜けないケースや上の歯から抜けたというケースも多く存在ます。
以下では、順番通りに乳歯が抜けなかったケースと対処法をいくつか紹介します。
順番を問わず乳歯がグラグラしている場合
乳歯を触るとグラグラしているなど、わずかでも動きがある場合には、経過観察をしていくうちに自然と抜ける可能性が高いでしょう。
順番通りに抜けず不安になることがあるかもしれませんが、基本的に自然と抜ける場合には、特に処置を行う必要はありません。
永久歯が生えているのに乳歯が抜けない場合
乳歯が抜けないまま、内側に永久歯が生えてしまったというトラブルはよくあることです。
こうしたケースでは、早めに乳歯の抜歯を行う方が望ましいことがあります。
乳歯を放置してしまうと、永久歯が正しく並べなくなったり、隙間ができて虫歯や歯周病のリスクが高まってしまう懸念があるためです。
抜けない乳歯の付近でトラブルが頻発する場合
乳歯がなかなか抜けず、付近の歯茎が腫れたり痛みが出たりする場合にも、早めの抜歯を提案されることがあります。
こうしたケースでは、乳歯の下で永久歯が萌出できず歯茎に負担を与えているなどの問題が考えられます。
破折などで抜ける順番が変わってしまった場合
転倒や怪我などによって前歯を折ってしまった、というトラブルはお子さんによくある問題です。
前提として歯の破折は、時期や状態によって治療方針が異なります。
もう抜けてしまって良いタイミングの乳歯であれば、無理にくっつけず経過をみることもありますが、まだ永久歯の影もなく「今抜けてしまっては歯並びに影響がある!」という場合には、仮の歯を一時的に装着することもあります。
乳歯から永久歯に生え変わるタイミングでよくある疑問
乳歯が抜けて永久歯が生えてくる時期は、親御さんにとってもお子さんのお口が心配なタイミングの一つだと思います。
「ちゃんと永久歯が生えてくるのか」「なかなか抜けない乳歯をどうしたらいいのか」など、この時期特有の疑問も多くあるでしょう。
以下では、そういった生え変わり時期の疑問について、いくつか紹介していきます。
乳歯が抜けても永久歯が見えないのは大丈夫?
乳歯が抜けるタイミングでは、永久歯が少しだけ頭を出しているイメージを持つ方が多いかと思います。
しかし、中には乳歯が抜けても永久歯が見えないというケースも多く存在します。
永久歯の萌出には個人差があるため、発育がゆっくりなお子さんの場合は、永久歯が生えるまで時間がかかる場合もあるのです。
基本的に心配はありませんが、数ヶ月経っても永久歯の姿が見えない場合は、歯科医院で相談してみてもいいでしょう。
乳歯に隙間がなさすぎると永久歯の歯並びが悪くなる?
乳歯がきっちり揃っていると、永久歯に生え変わるタイミングで歯並びがズレてしまう可能性もあります。
前提として歯並びは顎のスペースや歯のサイズによって決まるため、永久歯のサイズが歯列に収まらすず、内側に入り込んだり外に出てきてしまったりするのです。
こうしたケースでは、顎の成長や生え変わりが進むにつれて改善することもありますが、矯正治療で改善した方がいい場合もあります。
自力で抜けなかった乳歯の抜歯処置は痛い?
歯科医院で乳歯を抜歯する際には、麻酔を使用して痛みを取り除いた後で処置を行います。
親知らずの抜歯のようなイメージを抱く方も多いかと思いますが、親知らずの抜歯ほどの痛みや腫れは起こりにくいのでご安心ください。
乳歯が永久歯に生え変わる時期の注意点
乳歯から永久歯に生え変わる時期は、これまでよりお口の環境が変わりやすくなります。
そのため、トラブルが起こる可能性も高くなることを踏まえ、以下の注意点をしっかり意識するようにしましょう。
歯の生え変わるタイミングは、多かれ少なかれお子さんも違和感やストレスを感じる時期です。
親御さんがきちんとサポートして、正しい生え変わりを見守ってあげることが大切です。
順番で生え変わるため、歯の高さが異なる時期がある
乳歯から永久歯への生え変わりには順序があります。
そのため、一時的に歯の高さのバランスが崩れてしまうでしょう。
高さが違う歯は、ものを噛み切りづらくなったり、ブラッシングがしにくくなってしまったりと日常生活に違和感をもたらしてしまいます。
お子さんが歯を気にしている様子があったら、さりげなくサポートしてあげるようにしましょう。
隙間から虫歯や歯周病になるリスクをしっかり防止
乳歯と永久歯が混在している時期は、歯と歯の隙間が多くなります。
そのため、これまで通りのブラッシングだけでは汚れを落としきれなくなってしまうことが考えられます。
せっかく生えてきた永久歯が虫歯にならないためにも、定期的に歯科医院でクリーニングを受けるようにしましょう。
また、乳歯から永久歯に生え変わるタイミングを機に、デンタルフロスや歯間ブラシといったケアグッズを取り入れてみるのもいいかもしれません。
歯並びが気になったら歯科医院で相談
乳歯から永久歯に生え変わる時期は、一時的に歯並びが乱れて見えてしまうことも多くあります。
そもそも歯が抜けて隙間ができたり、高さが違ったりするので当然といえば当然ですが、もし永久歯が本来の歯列から大きく外れている場合には、早めに歯科医院で相談することも大切です。
まとめ
乳歯から永久歯に生え変わる順番は、基本的には下の前歯、上の前歯、前歯の隣、手前側の奥歯、最後に奥歯であることが一般的です。
とはいえ、全てのお子さんが必ずこの順番で生え変わるわけではありません。
中には、先に上の前歯が抜けたという方もいらっしゃるでしょう。
乳歯の抜ける順番に限らず、その後生えてくる永久歯を健康に維持するためにはお口全体のバランスを意識することが肝心です。
しっかり歯磨きをして口内環境を維持すること、永久歯の歯並びを定期的にチェックして気になることがあれば歯科医院に相談することで将来的に良好なお口の状態を維持できるでしょう。
また、なかなか乳歯が抜けなかったり、永久歯が歯列と違う部分に生えてきたり、気になることがあった場合には、早めに歯科医院へ相談されてみてください。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。お子様のお口のことでお悩みの方は、安岡デンタルオフィスの小児歯科詳細ページもぜひご覧くださいませ。