2024.11.19
片方の頬が腫れて、押すと痛い時は何科に行けば良い? 原因と治療法を紹介
当院では、朝起きると頬が片方だけ腫れて、押すと痛いという症状で受診される方も一定数いらっしゃいます。原因はさまざまで、歯科疾患のほか、耳鼻科疾患や皮膚科疾患である場合も少なくありません。
歯科疾患だと思われる場合、痛みがひどくないとそのまま放っておいて様子を見ようする方も多いのですが、治療をしないと症状がどんどんひどくなり、受診時には歯を抜かないといけない状態になっていることも。
また歯を残すことができても、治療が長期化したり治療費が高額になったりする可能性もあります。
そうならないために、この記事では頬が片方だけ腫れて押すと痛みがある時に考えられる疾患について詳しく紹介をします。ストレスで繰り返す歯茎の腫れからくる頬の腫れへの対処法についてもお伝えしますので、最後までご覧ください。
頬が腫れて押すと痛い時に考えられる疾患は?
頬が腫れて押すと痛い時に考えられる疾患には、大きく分けて歯に由来するもの、鼻に由来するもの、皮膚に由来するものの3つがあります。
歯や歯茎の炎症
虫歯や歯周病、親知らずが原因の炎症によって膿が溜まり、頬が腫れ押すと痛みを感じることがあります。問題のある歯の周りに症状が現れるので、腫れや痛みは片頬のみでる場合が多いのが特徴です。次の項目で詳しく紹介します。
副鼻腔炎(蓄膿症)
副鼻腔(ふくびくう)とは、鼻の奥から頬やおでこ部分の骨に広がる空洞のこと。上顎洞・篩骨洞・蝶形骨洞・前頭洞の4つの洞穴があり、特に上顎洞に炎症が起こり、膿がたまると頬の痛みを感じやすくなります。
主な症状には、鼻水や鼻詰まり、顔の痛みや圧迫感、発熱が挙げられます。ただ、鼻水や鼻詰まりがなくても、副鼻腔炎になっている可能性もあります。
耳下腺炎(おたふく風邪)
耳の前にある耳下腺にウイルスや細菌が感染して、耳下腺炎を起こすと下顎のエラ付近が腫れて、痛みや発熱を伴うことがあります。おたふく風邪(流行性耳下腺炎)も耳下腺炎の一種です。
腫瘍
副鼻腔(特に上顎洞)や耳下腺、唾液腺に腫瘍ができて頬が腫れることがあります。片側だけに症状が現れ、ゆっくりと大きくなります。ただ、腫瘍の場合は痛みを伴わないこともあるので注意が必要です。腫れに気づいたら、早めに受診するようにしましょう。
皮膚科疾患
かぶれやじんましん、虫刺されなどでは、赤く腫れる・患部が熱を持つ・押すと痛みを感じる場合があります。また皮膚の下にできた袋に角質や老廃物が溜まってできる粉瘤(アテローム)は、細菌感染を伴うと赤く腫れて痛みを伴います。
頬の腫れを引き起こす口腔内の疾患
疾患名 | 症状 | 原因 | 治療法 |
根尖病巣
(こんせんびょうそう) |
歯茎の腫れと痛み。
病状が進行すると頬が腫れる場合もあります。 |
虫歯や歯周病、智歯周囲炎、抜歯後の細菌感染が主な原因。
以上の疾患で、歯の神経が死んでくさることによって膿が溜まって引き起こされます。 |
切開による膿の排出と同時に、抗生物質(化膿止め)を飲んで炎症反応を抑えます。
抗生物質の点滴をすることもあります。 炎症反応が落ち着いてから、死んでくさった歯の神経を除去するなどの治療を行います。 |
蜂窩織炎
(ほうかしきえん) |
のほか、
などの全身症状も現れます。 |
根尖病巣がさらに進行し、その膿が歯の周りの筋肉や歯ぐきの結合組織の隙間を通って、頬やアゴの下などに広がることで、頬やあごの腫れを引き起こします。 | |
唾液腺炎
(だえきせんえん) |
|
あごの下や耳の前下方の辺りにある唾液を作る組織が、炎症を起こしている状態。
細菌やウイルスの感染、石ができて詰まってしまうことが原因と考えられます。 |
CTやMRIによる唾液腺の状態検査、血液検査、細菌検査などの検査により、炎症の程度や原因細菌・ウイルスの特定。
治療は痛み止めや抗生剤、抗ウイルス薬などの内服を中心に、膿がたまっていたり、石ができたりした場合は切開し、排出します。 |
頬が片方だけ腫れた時は何科を受診すれば良い?
頬の腫れや痛み以外にも、鼻水や鼻づまりなど、風邪のような症状もあるようであれば、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
一方、歯が痛い・歯茎が腫れているなど、口腔内にも症状がある場合は歯科へ。腫瘍が疑われる場合も、歯科でも対応可能です。実際、歯科でのX線検査・CT検査で腫瘍が発見されるケースもあります。
また、両頬が痛い時は、歯科疾患よりも耳鼻科疾患の可能性が高いと言われています。頬の腫れに加えて、全身にむくみが見られるなどの場合は、まずは内科を受診するのが良いでしょう。
何度も繰り返す頬の腫れの原因はストレスかも?
受診しても原因となる疾患が見つからなかったのに、頬の腫れを繰り返すこともあります。その原因として考えられるのはストレスによる歯茎の腫れ。
ストレスが溜まると自律神経のバランスが乱れ、それが免疫力の低下につながります。その結果、歯茎が細菌に感染して、歯茎が腫れ、痛みを感じるなどの症状が現れることも少なくありません。
また、自律神経の乱れは唾液の分泌量の減少も引き起こしてしまいます。呼吸が浅くなる・口呼吸が多くなる・眠りが浅くなることで、口腔内が乾燥することも唾液の分泌を考えると良くありません。
唾液は食べ物の消化を助けるだけでなく、歯垢や食べかすを洗い流す働き、口の中の細菌の増殖を抑える働き、歯の再石灰化を促す働きがあり、虫歯や歯周病などから、口腔内を守ってくれる大切な存在。唾液の分泌が少なくなることで、細菌の活動が活発化し、歯茎の腫れを引き起こしてしまう可能性が高まります。
ストレスによる頬の腫れを繰り返さないために大切なこと
寝不足や過度の疲労が続くことは、身体に大きなストレスを与えてしまいます。ストレスを溜めないようにするためには、規則正しい生活で体内時計を整えることが大切です。
睡眠をしっかり取る
睡眠が不足すると、考えがまとまらなかったり、イライラしたりするなど、心身に不調が表われます。ストレスが溜まってくるとスマートフォンやタブレットなどの電子機器を見るのがやめられず、寝るのが遅くなってしまう人も多いと思いますが、寝る前にスマートフォンなどを見ると、眠りの質が悪くなるという研究結果もあります。
疲れたと感じる人は、寝る前の2~3時間前に入浴し、入浴以降は電子機器は触らず、いつもより早く就寝するのがおすすめです。
生活習慣を整える
生命活動を保つために必要な生理機能は、一日の中で決まったパターンで変化します。これは体内時計と呼ばれる仕組みです。体内時計に最も影響を与えるのが光で、人間は毎朝、光を浴びることで体内時計をリセットしていると言われています。体内時計が狂うと、生理機能にうまく働かなくなって、ストレスが溜まりやすい・よく眠れないなどの症状が現れることがあります。
- 体内時計を維持するために、
- 朝は決まった時間に起きて、太陽の光を浴びる
- 午前中は少しでも戸外で過ごす(難しければ、なるべく窓際で過ごす)
- 食事をほぼ決まった時間に摂る
- 寝る前にスマートフォンやパソコンなど強い光を浴びない
を心がけるようにしましょう。
暴飲暴食を続けない
好きな物を好きなだけ食べてストレスを発散する方も多いと思います。食べ過ぎた・飲み過ぎたがたまにであれば、すぐに身体に悪影響が出る可能性はそう高くはありません。
問題は、暴飲暴食が習慣化すること。胃腸や肝臓に不調が現れ、免疫力が低下したり、重篤な疾患にかかってしまったりすることもあります。
暴飲暴食をしてしまったら、翌日は水分を良く摂って消化の良い物を少なめに食べる、運動をするなどを心がけるようにしましょう。1週間を通して見た時に、大きくバランスを崩さない日々を送るのが大切です。
唾液の分泌を促進する
しっかり噛んで食べることで唾液の分泌が促されます。食事の際は1口30回を目安に、よく噛んで食べるようにしましょう。ガムなどを噛むのも良い効果があります。しっかり噛むと食べ物が細かくなり、胃や腸の負担も軽減される効果もあります。
他にも
- 麦茶や水などの糖分とカフェインを含まない水分を良く摂る
- 鼻呼吸を心がける
- 舌を動かす(口の中で上下に動かすだけでOK)
- 唾液腺をマッサージする
ことも唾液量を増やすのによい影響を与えてくれます。
身体を冷やさない
身体を温めることでリラックスし、ストレスが軽減されると言われています。また冷えは、頭痛や肩こり、便秘・下痢、免疫力低下を引き起こします。バスタブにぬるめのお湯を張ってゆっくりと浸かる、運動をするなどのほか、太い血管が通る首の後ろを温めるだけでも効果が感じられるでしょう。
自律神経の乱れによる冷えは、身体を温めるだけでは改善しないことも多いので、漢方などを用いることも対策のひとつです。
寝る前の歯磨きは念入りにする
ストレスを溜めない生活を心がけていても、なかなか難しい面もあります。その場合でも、寝る前の歯磨きを念入りにし、細菌のエサとなる食べかすを除去することでなるべく歯茎の腫れを引き起こさないようにすることは可能です。
正しいブラッシング方法で歯と歯茎の間を中心に丁寧に磨くようにしましょう。歯と歯の間はどうしても歯ブラシだけではきれいにしづらいので、歯間ブラシやデンタルフロスを併用するのが大切です。
時間を掛けて磨いていても間違った方法だと効果は半減してしまいます。歯科医院で歯のプロである歯科衛生士から正しい方法の指導を受けてみてはいかがでしょうか。
急に頬が片方だけ腫れて押すと痛い時は安岡デンタルオフィスへ
- 腫れがなかなか治まらない
- どんどん腫れてきた
- 痛みが強い
- 熱が出てきた
などの症状があれば、早急に病院や診療所を受診するようにしてください。
歯科疾患で歯の根に膿が溜まっている場合は、放っておいて治癒することは決してありません。症状が進行し、歯を抜くことになったり、全身に原因菌が巡り、別の重篤な疾患を引き起こしたりする可能性があります。
ただ、歯茎の腫れが頬に影響を与えている場合で、2~3日で症状が落ち着くケースであれば、休息を大切に日々を過ごすことを心がけ、次の歯科医院でのメンテナンス時に相談するのもひとつの手です。
口腔内に異常を感じたら、お気軽に安岡デンタルオフィス江坂院までお問い合わせください。