2024.10.08
見た目や痛みによる虫歯の見分け方と初期虫歯の治療法を紹介!
虫歯とは、口の中にいる細菌(虫歯菌)が、糖分を取り込んで作り出した乳酸によって、歯が溶けてしまった状態のことを指します。虫歯は、歯周病と同じく初期には自覚症状が少ないため、症状が進んで痛みが出るまでは気づきにくい特徴があります。
- 冷たいものを食べたり飲んだりした時に歯がしみる
- 噛んだ時に歯に痛みを感じる
- 歯に茶色っぽいシミがある
などの兆候があるものの、痛みなどが一時的な場合、虫歯か迷われる方も多いでしょう。
この記事では、虫歯の見分け方や初期虫歯の特徴、初期虫歯が見つかった場合の対処法などをご紹介します。
虫歯の見分け方
歯の表面による見分け方
歯の表面に茶色や黒い点がある、歯の溝に黒い線がある場合は、虫歯と着色汚れの可能性が考えられます。
着色汚れとは、カレーやコーヒーなどの色の濃い飲食物に含まれる色素やタバコのヤニなどが、歯の表面にこびりついたもの。
- すべての歯にまんべんなく色が付いている
- 痛みがない
以上の場合は着色汚れが疑われます。
一方、
- 常に痛みがある
- 歯が部分的に茶色い
- 奥歯の溝に沿って黒い線がある
- 歯と歯ぐきの間が白い
- 小さな穴が開いている
- 詰め物の周りが変色している
などの場合は、虫歯の可能性が高くなります。
痛みによる見分け方
歯の痛みの原因には大きく分けて、虫歯と知覚過敏の2つがあります。知覚過敏とは、歯が冷たい飲食物、甘いもの、風にあたった時などに感じる一過性の痛みのことです。
- 常に歯の痛みを感じる
- しみる感覚や痛みが1分以上続く
- 歯を叩いた時に内部に響くように痛む
- 歯ブラシなどでその歯を磨くと痛みが強くなる
などの場合は、虫歯が疑われます。一方で、冷たいものを口にした時だけしみるなどの症状の場合は、知覚過敏の可能性もあります。
初期の虫歯を見逃さないためにチェックしたいこと
鏡で歯の状態をチェックする
歯の表面に白く濁った斑点のようなものが見られたり、茶や黒に変色したりしている部分がないか、歯と歯ぐきの間が白くなっていたりしないかを鏡でチェックしましょう。
ただしプラークがあると、歯の表面に変化があっても隠れてしまう場合があるため、丁寧に歯を磨いた後に歯の状態を確認するのが大切です。
デンタルフロスを活用する
目で見て確認しづらい歯と歯の間の状態には、デンタルフロスを活用しましょう。
デンタルフロスを使用した際に
- フロスが引っかかって抜きづらい
- 引き抜いたフロスが毛羽立っている
などの状態が見られたら、歯と歯の間で虫歯が進行している可能性があります。
歯科医院を受診する
やはりプロである歯科医師や歯科衛生士にチェックしてもらうことが、一番確実です。初期虫歯は、歯科医院での定期検診で見つかることが多いのです。定期検診で初期虫歯が見つかった場合、適切な治療やケアをすることで歯を削ることなく治療を終わらせられる可能性が非常に高くなります。
初期虫歯の症状は? 虫歯の進行状況
虫歯の進行は次の5つの段階に分けられます。C0はセルフケアで修復できる初期虫歯であり、C1以降は治療が必要となってきます。
C0 初期虫歯
- 歯表面が酸で溶けてツヤがない
- 歯表面が白く濁っていたり、薄茶色に見えたりする
- 歯に穴は開いていない
- 痛みなどの自覚症状はない
C1 エナメル質の虫歯
- 歯の表面のエナメル質に穴ができる
- 歯表面が白く濁っていたり、黒く見えたりする
- 痛みやしみる感覚はない
C2 象牙質までの虫歯
- エナメル質の内側にある象牙質まで穴が開く
- 歯の表面が黒く見える
- 冷たい飲食物や噛む時に痛みを感じることもある
- 痛みを感じない場合も多い
C3 神経まで進んだ虫歯
- むし歯が歯髄まで進んでいる
- 穴が大きくなく、内部で広がっている場合もある
- 激しい痛みを感じる
C4 歯根だけが残った虫歯
- 歯ぐきから上の見える部分が大きく壊れて、歯根だけ残る
- 神経が死んでいるので、痛みを感じなくなる。
- 神経が露出し、細菌に感染すると根の先に膿が溜まったり、痛んだりすることがある
初期虫歯の治療法
初期の虫歯であれば、早期に適切な処置をすることで、進行を抑えられる可能性が高まります。自宅で自分でできることもあるので、以下を参考にしてください。
歯科医院でフッ素を塗ってもらう
歯では、次のようなふたつの状態が同じ程度、繰り返されることによって健康な状態が保たれています。
- 虫歯菌が作り出した乳酸によって、歯表面のエナメル質からカルシウムやリン酸が溶け出してしまう「脱灰」
- 脱灰によって溶け出したカルシウムやリン酸が唾液によって、歯に戻り、歯が元に戻る「再石灰化」
甘い物を頻繁に食べたり、歯磨きを怠ったりして口腔内の環境が悪い状態が続くと、脱灰が促進され、再石灰化の修復スピードが追いつかず、初期虫歯へと進んでしまいます。
しかし、エナメル質が溶けて歯が白濁しているだけの状態であれば、フッ素を塗布することで歯の再石灰化が促され、進行を抑えられる可能性が高くなります。
フッ素配合の歯磨き粉を使用する
虫歯の症状の程度が軽ければ、フッ素配合の歯磨き粉で丁寧にホームケアをするだけでも効果があります。フッ素配合の歯磨き粉はドラッグストアなどで購入できるほか、歯科医院では高濃度のフッ素配合の歯磨き粉を取り扱っている場合も多いので、かかりつけ医に問い合わせてみましょう。
フッ素配合の歯磨き粉で歯を磨いた後は、たくさんうがいをしたり、すぐに飲み物を飲んだりすることは避けましょう。折角、取り入れたフッ素の定着が妨げられる可能性があります。
キシリトール配合のガムを噛む
歯の再石灰化には、唾液に含まれるカルシウムやミネラルといった成分が必要です。唾液を多く分泌するためには、キシリトールガムを噛むのもひとつの方法です。人工甘味料を含むキシリトールガムは、甘みで味覚を刺激し、唾液の分泌を促進します。
また、人工甘味料は虫歯の原因となる乳酸を作らないので、時間を気にせず噛めるのも利点でしょう。
歯科医院でPMTCを受ける
PMTCとは歯科衛生士による専門的な器具を用いたクリーニングのこと。歯の表面のプラークに加え、歯磨きでは取り除けない歯石や虫歯菌を取り除くことができます。
虫歯になりにくくなるために知っておきたい虫歯の原因
細菌
口の中には様々な種類の細菌がたくさん住んでいます。この中に虫歯の原因になる細菌(虫歯菌)もいます。有名なものではミュータンス菌があります。
虫歯菌が、食べ物や飲み物に含まれる糖分を栄養にして増える際に、周囲にネバネバとした物質・グルカンを作ります。グルカンの中で虫歯菌が増え、プラークという白い塊を形成。プラークの中では虫歯菌が糖分を取り込んで乳酸を作り出します。その結果、プラーク内部は酸性となり、接している歯の表面のエナメル質が溶けてしまいます。
この状態が続くと穴が開いてしまい、虫歯と呼ばれる状態になります。
糖質
糖質とは、炭水化物から食物繊維を除いたもの。よく知られているものに、でんぷんや糖類があります。糖質の中でも糖類は、虫歯菌が酸を作る材料に使われます。
- 間食が多い人
- 飴など長い時間口の中に留まるお菓子をよく食べる人
- ジュースなど糖類が含まれるドリンクを常に飲む人
は、歯の表面が乳酸にさらされる時間が長いため、虫歯になりやすくなってしまいます。
歯の質
歯の表面を覆うエナメル質の質によっても、虫歯になりやすさが変わってきます。エナメル質が丈夫であれば、虫歯菌が出す酸にさらされる機会や時間が多くても、歯の表面が溶けにくく、虫歯になりにくいのです。また乳歯や生えたての歯はエナメル質が薄く、虫歯になりやすいので注意が必要です。
唾液不足
唾液は、口の中の細菌や細菌が作り出す酸を洗い流す・薄めるなどの働きをもっています。全身の病気や加齢などで唾液の量が少なくなってしまうと、虫歯ができやすくなります。また、唾液には歯の再石灰化を進める力もあるので、唾液が少なくなると、虫歯の進行も早くなってしまいます。
日々のお手入れ不足
上でも伝えましたが、プラークが作られることで虫歯が引き起こされます。プラークは歯磨きで除去することができるのですが、歯磨き習慣がなかったり、歯磨きをしていても磨き残しが多かったりすると、プラークを除去しきれず、虫歯を引き起こしてしまいます。
虫歯を放置するリスク
強い痛みや腫れ
初期の虫歯は痛みなどの自覚症状がほとんどありません。しかし、虫歯が進行し、エナメル質からその内側にある象牙質に達すると、冷たいものや甘いものを食べた際にしみる感覚が出るようになります。
そのまま放置しておくと、虫歯が歯の髄にある神経まで達してしまい、常に痛みを感じるようになります。また、最近が歯の根に達すると、歯根の周りに膿がたまって、口周りがパンパンに腫れることもあります。
歯を失う
虫歯を放置すると、歯茎から上の部分がほとんどなくなり、歯の根しか残っていない状態に行き着きます。そうすると、歯を抜くことが一般的な治療となります。
歯を失った場合は、入れ歯やブリッジ、インプラントなどの治療が別途必要となってきます。
全身的な病気につながる
虫歯を放置すると、歯の根の中で虫歯菌が大量に増えます。その虫歯菌が根の先からあふれ出て、血流にのって全身をめぐると、全身のさまざまな部位に炎症を引き起こす場合があります。脳梗塞や心筋梗塞など、重大な病気につながることもあるので、注意が必要です。
虫歯の早期発見したいなら安岡デンタルオフィスへ
「虫歯かな?」と思っても、仕事や学業で忙しく、歯科医院をなかなか受診できない間に、常に痛みを感じるようになり、あわてて歯科医院に駆け込むといった経験がある方も多いと思います。
虫歯は初期であれば、痛みを感じることなく、短い期間で治療することが可能です。虫歯を疑うような症状がある場合は、早く歯科医院にかかるようにしましょう。
また虫歯を初期で見つけるためには、定期的に歯科医院にメンテナンスに通うのもおすすめです。自分では磨きにくい部分をプロの手で清掃してもらうことは、虫歯リスクの低減にもつながります。
当院では虫歯や歯周病の予防を目的とした予防歯科にも力を入れております。虫歯のなりやすさを測る唾液検査や、虫歯の原因から取り除くバイオフィルム除去などのメニューもありますので、ご興味のある方はぜひ以下のリンクも参考にしてください。