2024.07.06
ハイブリッドセラミックは保険が適用される?適用基準についても解説
保険適用で白い被せ物・詰め物を入れたい方に人気なのが、ハイブリッドセラミックです。しかし、ハイブリッドセラミックには、保険適用になるケースと保険適用にならないケースがあります。そして、保険が適用されるには、厚生労働省が基準をクリアしなければいけません。
今回は、ハイブリッドセラミックで保険適用になる基準、セラミックの種類や費用を抑える方法などについて詳しく解説します。「ハイブリッドセラミックにしたいけど費用が気になる」という方は、ぜひご一読ください。
ハイブリッドセラミックとは
ハイブリッドセラミックはレジンにセラミックを混ぜ合わせた素材で、ハイブリッドレジンとも呼ばれます。
表面がなめらかで汚れがつきにくく、自然な透明感が出せるのが特徴です。さらに、金属不使用なので、金属アレルギーの方にも適しています。
ただし、歯垢が付着しやすいため、虫歯になる可能性が高いです。選べる色も限られるので、歯の位置によっては不自然に感じることもあるかもしれません。
ハイブリッドセラミックは保険適用になる?
2023年に保険適用範囲が広がり、ほぼすべての歯を保険適用で治療できるようになりました。しかし、保険適用の基準を満たしていないと、保険適用になりません。基準は、以下の通りです。
保険適用になる歯科医院の基準
歯科医院で保険が適用される基準は、以下の4つです。
- 厚生労働省に施設基準の届け出を行い、認可されていること
- 歯科補綴治療に係る専門の知識及び3年以上の経験を有する歯科医師を配置していること
- 歯科用CAD/CAMを設置している場合、歯科技工士を配置していること
- 歯科用CAD/CAMが設置されていない場合、当該装置を設置している歯科技工所との連携が図られていること
保険適用になる種類・部位
保険適用になるハイブリッドセラミックは、CAD/CAMを使って作られたCAD/CAM冠およびCAD/CAMインレーです。CADの場合、コンピューターを使用し型が自動設計されるため、適合性の高い被せ物・詰め物の作成が可能です。
ただし、ハイブリッドセラミックでも技工士が手作りで製作するものは、保険適用外になるので、ご注意ください。
保険適用になる部位は、以下の通りです。
- 前歯(1番・2番目の歯)
- 犬歯(3番目の歯)
- 第1・2小臼歯(前から4・5番目の歯)
- 第1大臼歯(6番目の歯、いわゆる奥歯)
- 第2大臼歯(金属アレルギーのある方のみ)
なお、第一大臼歯(6番目の歯)の場合、第二大臼歯(7番目の歯)が1本でもなかったり歯ぎしりが強かったりすると、保険適用外になるのでご注意ください。
ハイブリッドセラミックの費用
ハイブリッドセラミックは、100%陶器のオールセラミックよりも費用が安いです。保険適用の場合、ハイブリッドセラミックの費用は4,000円~10,000円前後ですが、歯の部位によって異なります。
一方、保険適用にならない場合は、歯科医院が各自決めるため、治療費にはバラつきがあります。費用などをほかのセラミックと比較してまとめたので、参考にしてください。
〈セラミックの比較〉
種類 | 特徴 | 費用 | メリット | デメリット |
オールセラミック | セラミックのみを使用する | 8~18万 | ・天然歯と見た目がほぼ同じ ・天然歯との境目も自然・汚れが付きにくい ・金属アレルギーの心配がない | ・強い衝撃を受けると割れることがある・費用が高い |
ジルコニアセラミック | セラミックの一種であるジルコニアを使用する | 12~18万 | ・見た目がよい・強度が高い | 噛み合う歯がすり減る可能性がある |
ハイブリッドセラミック | セラミックと歯科用プラスチックを混合した材料 | 4~10万 | ・比較的安い ・柔らかいため噛み合う歯を傷つけない ・セラミックに近い美しさ | ・持ちはよいが削れやすい ・強い衝撃を受けると割れることがある |
e-max | ガラスセラミックを強化した素材 | 7~10万 | ・透明感ある自然な美しさ ・天然歯との境目もきれい ・汚れが付きにくい ・金属アレルギーの心配がない | 強い衝撃を受けると割れることがある |
ラミネートべニア | 歯の表面を削り、そこに薄いセラミックを貼り付ける | 8~14万 | ・歯を削る量が少ない ・歯肉の変色を防ぎやすい | ・強い衝撃を与えると割れることがある ・奥歯には使用不可 |
メタルボンド | 内側に金属、外側にセラミックを使用した被せ物 | 7~10万 | ・天然歯と見た目が似ている ・耐久性が高い ・汚れが付きにくい | ・金属アレルギーの心配がある ・歯茎の変色が起こる可能性がある |
費用を抑える方法
保険適用の条件に合わない場合は自費診療になるので、費用が負担になってしまう方もいるかもしれません。そこで、ハイブリッドセラミックの費用を抑える方法を4つご紹介します。
医療費控除を利用する
自費診療でも医療費控除を利用すれば、治療費を抑えることができます。医療費控除とは、世帯全員の年間の医療費の支出が10万円以上になった場合、確定申告することで医療費の一部が所得から控除されることです。
治療時にはいったん全額支払う必要がありますが、確定申告のときに税金の一部が返還されます。
複数の歯科医院で値段を比較する
ハイブリッドセラミックの場合、歯科医院により料金形態が変わることがあるので、複数の歯科医院で見積もりを取ることをおすすめします。極端に安いところや高いところは、避けた方が安心です。
ただし、費用だけで決めると、治療後に再治療になり、かえって費用が高くなる可能性があります。満足できる仕上がりにするためにも、歯科医の腕がよく信頼できる歯科医院を見つけましょう。
綺麗な状態を維持する
ハイブリッドセラミックを作り直す必要がないように、きれいな状態を維持しましょう。被せ物と歯の根っこの境目には汚れが溜まってしまいやすいので、毎日丁寧なお手入れを心がけてください。
そして、治療後も歯科医院の定期検診に通うことで、虫歯の早期発見・治療そしてハイブリッドセラミックを長く持たせることにつながります。
最初からオールセラミックにする
ハイブリッドセラミックはオールセラミックよりも費用の負担が小さいですが、強度が低いため、割れや欠けが生じてしまうことがあります。作り直しになるとかえって費用が高くなるので、最初からオールセラミックにするのも一つの方法です。
ハイブリッドセラミックを検討する際の注意点
ハイブリッドセラミックを検討する際は、以下の2点に注意することで、失敗を防ぎやすくなります。
診療前に希望の治療内容を伝える
完成後に「こんなはずじゃなかったのに」と後悔することのないように、診療前に自分の希望をしっかりと伝えることが重要です。考えを擦り合わせることで、同じゴールに向かって治療を進めることができます。費用面でも不安なことがあれば、カウンセリング時に相談しましょう。
ハイブリッドセラミックのリスクも理解しておく
CAD/CAMのハイブリッドセラミックにすると、虫歯ができたとき、健康な歯を削って神経を取るケースもあります。
また、耐久性が低いため、強い力が加わると破損する可能性もあります。ハイブリッドセラミックにする場合、費用だけでなくリスクも十分に理解しておきましょう。
まとめ
今回は、保険適用になるハイブリッドセラミックの適用基準や費用を抑える方法などについてまとめました。
費用も重要ですが、満足できる仕上がりになるよう、信頼できる歯科医院を見つけることが重要です。
安岡デンタルオフィスでは、カウンセリングで患者様のご希望を伺い、最適な治療プランを提案いたします。歯の治療にあたって被せ物や詰め物でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。