2024.03.28
顎関節症はなぜ起こる?歯列矯正を用いた顎関節治療をご紹介!
「口を開くとパキパキと音がする」「口がなかなか開かない」など、顎の不調に関するお悩みを抱えている方は少なくありません。
こうした顎の不調は歯列矯正を行うことで改善される、という話を聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、顎関節症でお悩みの方、歯列矯正による顎関節治療をご検討中の方へ、そのメカニズムをご紹介していきます。
顎関節症とはどんな状況?原因について知りましょう
顎関節症は、顎の関節を支えている骨や筋肉、靭帯といった構造がバランスを崩してしまうことで起こる異変のことを指します。
顎関節症自体が患者様の命を脅かすことはほとんどありませんが、症状が悪化すると日常生活に支障をきたしてしまうため、気になる症状がある場合は歯科医院で検査を受け、適切な治療に臨むことが大切です。
まず、下記で顎関節症の症状やその原因について記載していきます。
顎関節症の症状
顎関節症の主な症状は「顎が鳴る」、「口を開けると顎が痛い」、「口が開きにくい」といったものが挙げられます。
患者様によっては顎だけの症状に限らず、首の痛みや頭痛が伴う場合もあるため、他の病気と間違われやすいのも顎関節症の特徴と言えるでしょう。
顎がカクカクする、顎の付け根に違和感があるといった場合は、まず歯科医院で検査を受けることをおすすめします。
痛みを伴わない場合には早急な治療は不要ですが、日常生活に支障がある場合などは早めに改善策を考えていくことが重要です。
顎関節症の原因
顎関節症の原因として、歯ぎしりや食いしばり、ストレス、前傾姿勢、そして歯並びや噛み合わせによる顎関節の負担などが挙げられます。
原因は一つだけではなく、さまざまな要因が絡み合うことで顎関節症は引き起こされると考えられています。
しかし、その多くは口腔習癖や歯列といったお口の問題です。
この問題をどのように改善してくかが、顎関節症の予防や治療にとって重要なポイントと言えます。
顎関節症と歯並び・噛み合わせの関係
顎関節症の発症には、歯並びや噛み合わせが深く関わっています。
顎関節症の治療を受けたことがある方の中には「歯ぎしりや食いしばりの癖がある」「不正咬合によって顎に負担がかかっている」という内容の診断を受けた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
顎関節症の改善を行っていくためには、まずはご自身のお口の状態、口腔習癖に着目して考えていきましょう。
ブラキシズムが顎関節症を悪化させる
皆様は「ブラキシズム」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
ブラキシズムとは、歯ぎしりや食いしばり、強い噛み締めのように歯やあごに大きな負担をかけてしまう口腔内の悪習癖の総称です。
ブラキシズムは、歯並びや噛み合わせを悪化させることはもちろん、顎に負担をかけることで顎関節症のリスクも高めてしまうとされています。
こうした習癖が強く見られる方は、就寝時に使用するマウスピース「ナイトガード」を用いた治療を行うことをおすすめします。
歯列矯正でブラキシズムを解消することは可能?
歯ぎしりや食いしばりの原因が噛み合わせにある場合は、歯列矯正を行うことでブラキシズムを緩和することができます。
歯並びを改善することでお口のバランスが整い、ブラキシズムが解消される可能性があります。
一方で、ブラキシズムは歯列矯正をしたからといって必ず治るものではないということは知っておいていただきたいと思います。
患者様一人ひとりのライフスタイルやお口の状況に合わせた改善方法を考え、実践していくことが早い段階でのブラキシズム解消に繋がっていくでしょう。
顎関節症は歯列矯正で改善できる?
上記で記載したように、顎関節症の原因はさまざまなものがあるため、歯列矯正をしたからといって必ずしも顎関節症が治るというものではありません。
一方で、顎関節症のリスクが高くなるとされている不正咬合を歯列矯正で改善することは、顎関節症の予防に繋がります。
また、歯並びや噛み合わせが悪い状態は、顎関節症にかかわらずさまざまなリスクを含んでいます。
マウスピース矯正やワイヤー矯正を用いて歯列矯正を行うメリットは、そういったあらゆるリスクを軽減できるという点です。
次に記載する不正咬合は、特に顎関節症と関連があると言われるものです。
開咬(オープンバイト)
開咬(オープンバイト)とは、口を閉じている状態の時に前歯が噛み合わない状態の不正咬合です。開咬は歯を噛んだ時に顎の関節にストレスがかかるため、顎関節症になりやすい状態です。
また、口がきちんと閉じないことで虫歯や歯周病といった口腔トラブルのリスクが高まったり、発声が不明瞭になったりとさまざまな問題が起こります。
見た目にもバランスが気になるということからマウスピース矯正やワイヤー矯正を用いた歯列矯正治療を行うことがあります。
歯列矯正で歯並びが改善されると顎にかかる負担も和らぐため、顎関節症の症状も緩和されていくでしょう。
下顎が後退した上顎前突
上の前歯の先端から下の前歯の表面までの水平的な距離をオーバージェットと言います。
理想的なオーバージェットの数値は2〜3mmですが、その距離が6~7mm以上の上顎前突は、顎関節症リスクを高くすると言われています。
上顎前突とはいわゆる「出っ歯」の状態を指します。
下の歯が極端に内側に入り込んでいたり、上の前歯が突出していたりする歯並びは、見た目が気になるという方も多いでしょう。
上顎前突には、上の前歯のみが突出したケースと、骨格的に上顎骨が突出した骨格性上顎前突の2つのケースがありますが、いずれも顎関節症のリスクが高い状態かつ歯並びや噛み合わせも乱れている状態なので、マウスピース矯正やワイヤー矯正で治療を行っていきます。
片側性交叉咬合
食事の際に左右いずれかで食物を噛む癖や頬杖をつくといった習癖があると、下顎は側方へズレていきます。
こうした周壁は徐々に噛み合わせの乱れにも繋がり、顎への負担も大きくなってしまいます。ズレにより左右の高さが変わることがあります。正面から顔の状態を見た時に「どちらかに歪んでいる」という場合には要注意です。
また、歯を噛み合わせた際に左右いずれかの一部分が逆になっていたり、部分的に歯と歯がぶつかっていたりする状態を交叉咬合と言います。
交叉咬合はマウスピース矯正やワイヤー矯正で治療が可能ですが、それと同時に口腔習癖の改善にも取り組んでいくことが重要でしょう。
まとめ
ストレスや口腔習癖、顎の骨格によるものなど、顎関節症の原因は人それぞれ違います。
そのため、全ての顎関節症が歯列矯正だけで綺麗に改善するとは言い切れません。
しかし、上記でお伝えしたような開咬、上顎前突、交叉咬合といった不正咬合が要因となって顎関節症が悪化している場合には、マウスピース矯正やワイヤー矯正での治療も重要です。
併せて歯ぎしりや食いしばりといったブラキシズムも意識的に改善していくことで顎の負担を減らし、顎関節症を改善していきましょう。
「顎がカクカクする」「パキパキと音が鳴る」「口を開けたり閉じたりすると痛い」など、顎関節症の症状が気になる方は早めに歯科医院で相談されてみることをおすすめします。
患者様の症状や原因に合わせて、適切な治療を行っていきましょう。
また、歯列矯正を行う際の費用や、歯列矯正のメリット・デメリットについても事前に知っていただくことで、治療の選択肢として検討いただけるきっかけになればと思います。